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64話 お泊まり
しおりを挟む「今日は俺の家に泊まれ。」
「は......えっ...?あ...えっと...?」
放課後、生徒会室で会うなり思ってもみなかった事を南原さんに命じられ、思考が停止した。
南原さんの家に...?泊まる...?
そして、状況が整理できないまま、俺は今、南原さんの家に向かって二人で歩いている。
待って、待って、やだ怖い!なにこれ?なんでこんなことになってんの!?てっきり前みたいに生徒会室でヤられると思ってたのに。
頭の中で警報が鳴った。もしかして学校では出来ないような事をするつもりなのだろうか。いや、そうに違いない。ただ抱くだけなら、前のように生徒会室で十分なはずだ。
このままついていったら何をされるか分かったもんじゃない。
だけど、それでも俺に逃げるつもりはない。そう決めたから。
今俺に出来ることは、少しでも心を落ち着けて、何をされても耐え抜けるように心の準備をすること。
すぅーと息を深く吸って、はぁーとゆっくり吐いた。
「ククッ、そんな真っ青な顔で深呼吸をして...。怖いか?」
「っ...!」
び、びっくりした。
ずっと黙って歩いていた南原さんが急に話しかけてきたので、肩が跳ねた。
「......怖くない...です...。」
自分に言い聞かせるように蚊の鳴くような小さい声を発した。これは、本心じゃなくてただの強がり。
「ふーん。なら良かった。いつまでもこの前のように優しく抱いていたら、俺の欲求が満たされないからな。今日からは俺のやりたいようにやらせてもらうよ。いいね?」
「っ...ぅ...はぃ...。」
やっぱりそうだよね。そんなこと、言われなくても分かってた。なのに、こんな風にわざと現実を突き付けられて恐怖を煽られれば、もっともっと辛くなる。
縛られて一方的に殴られる?
なにか恥ずかしいことを強要される?
こわい...。
嫌なことばかりが頭に浮かんでは消え、浮かんでは消え。考えたら余計に怖くなると分かっていても、想像してしまう。
「あぁその怯えた顔、ほんとに堪らないな。これだから苛めたくなる。」
うっとりとした南原さんの声はサディスト全開で、俺は早くも目に涙が溜まってしまった。
...頑張らないと。自由に皆と過ごせる日々を続けたいなら、俺が頑張らないといけない。
どうか、耐えられないほど酷いことはされませんように。そう願いながら、南原さんについて歩いていった。
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