BL 生徒会長が怖い

47話 初めての 7

「んっ...ぐ...！ふぁっ...」

唇が重なり南原さんの舌が入ってくる。
これやだ。息が出来ない。苦しい。怖い。

...でも、不思議なことに、それだけじゃなかった。

舌を絡ませてきたり上顎を舐められたりと、手加減なく口内を侵されるが、そこに嫌悪感はあまり無く。むしろ、お互いの唾液をまんべんなく絡ませるようにぬるぬると動き回る舌に、少なからず快楽を感じてしまっている。

「ん...あ...ふああぁっ...！？」

舌先を軽く吸われると、びくびくっと体が痙攣し、力が抜けた。それに気づいたらしい南原さんは、ほう、と感心したような声を上げる。

「薄々分かっていたが、お前は相当感度がいいらしいな。キスだけでこんな顔になってしまうなんて。」

「ち、違っ...！そんなこと...！み、南原さんが上手いだけでっ」

「ククッ...。」

からかわれたと思い、恥ずかしさから両手で顔を隠しながら反論すると南原さんは楽しそうに喉を鳴らした。

きっと俺は今物凄くみっともない顔をしている。
前が霞んで見えるから多分涙目だろうし息も上がっていて顔だって熱い。
羞恥で目眩がしそう。それなのに...。

「隠すな。手をどかせ。逆らったら...分かるよね？」

「っ...！」

非情な命令が下った。
くそっ...！鬼畜生徒会長め...覚えてろよ。

羞恥に顔をしかめながら手を下ろすと、それでいい、と満足そうに口角を上げる南原さんと目が合った。

いつか絶対仕返ししてやる、と心に決め、キッとできる限りきつく睨み付ける。しかし南原さんは、余計に楽しそうな表情になって言った。

「その目、好きだよ坂北くん。どんな状況でも光を失わないその目はとても綺麗だ。」

「っえ...？んあぁっ！ちょっ...！」

嫌みでもなく、バカにするでもなく、澄んだ声で囁かれた言葉。その意味を理解する前に、敏感な脇腹をするりと撫でられて、何も考えられなくさせられる。

「俺に身を委ねて。今回は、優しくする。」