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33話 交渉
しおりを挟む「俺に話?今?別に構わないが...。寝てなくていいのか。」
「はい...!今しか話せないと思うので。」
南原さんが優しい、今しか。
それから俺は、まず家の事情や亜奈月高校に入学した理由、父との約束のことなど、自分の事を南原さんに全て話した。布団を頭まで被ったままで。
話し合いだけであの卑猥なお仕置き制度が無くなるなら、それが一番良いに決まっている。
きっと俺がいくら知恵を絞ったところで南原さんには敵わないから。今日のようにあっさり受け流されてしまうことは目に見えてるし、そもそも先生まで味方に着けていて、個人的な戦闘力まで高い南原さんに対抗できる方法なんて思い付かない。
知恵も力も劣る俺は、話し合いでどうにか出来なければ、詰みだ。
本当は、こんな人に自分の事を話したくなかった。だけど、ただあの制度を止めてくれと言ったって聞いてはくれないだろうし、上手く説得出来そうにない。だから、正直な気持ちを知ってもらおうと思った。
「もし、この制度が無くなったら、また亜奈月は荒れるかも知れません。先生たちも困るかも...。南原さんだって、その、ヤれなくなります...。でも俺は、俺は...そんな事はどうでもいいっ...!俺には今しか無いんです!たった一時でも楽しい学校生活を送ってみたいんです。だから、どうか亜奈月高校の制度を...」
「やだよ。」
「っ...!」
これまで静かに聞いてくれていた南原さんが不意に冷たい声を出して、俺の願いは遮られた。
「俺も、男子高校生とヤりまくる為に、かなり努力したんだよ?それなのに何で譲らなきゃいけないわけ?」
「え、ど、努力?」
ヤるための努力ってなんだよ...。
「ああ。俺は生徒会長になって校則と制度を都合の良いように変えたかった。だから必死に勉強して常に学年トップだったし、先生に媚びを売りつつヤンチャな生徒達からも信頼されるようにしていた。まぁ今は生徒からの信頼なんて微塵もないけどね。それから、暴れる奴でも無理矢理ねじ伏せられるように力も着けた。俺も自由が欲しかったんだよ。そしてようやく手に入れた。絶対に手放したくないに決まってるだろ?」
...絶対、努力の方向が間違ってる...。
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