彷徨うペンギン

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敵も義務も食料も水も無い

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 ペンギンはひたすらに砂の上ペタペタと歩いていた。
 感じていた不安や恐怖と言った感情はいつの間にか消えていた。

 むしろ、次第に砂の上を歩くという新鮮な感覚を楽しみ始めたところだ。
 氷のような固い地面でもなく。冷たくも無い。
 さらさらざらざらとしていて、踏むと足が沈む。
 
 そして、なにより暖かい。

 そんな氷の上では決して味わえない感覚をペンギンは楽しんでいた。

 外敵も、周りの目も気にしなくていい。
 一人だけのなんでも許される空間。叫んでも、寝転んでも、だらだらしていても。
 誰も何も言わない。守るべき規律も義務も無い。
 そんな自由をペンギンは楽しんだ。

 しかし、楽しめば楽しむほどお腹は空いてくるものだ。
 次第に喉も乾いてきた。

 こんな殺風景なところでは、水も食料もあまり期待できない。

 しかし、今の自由を楽しんでいるペンギンには関係が無かった。
 ただ今を楽しんでいる。そして、何より気分は絶好調だった。
 空腹も喉の渇きも楽しむぐらいに気持ちは高揚していた。

 何とかなる。

 ペンギンは謎の確信を持って、ひたすらに楽しく砂漠を歩き続けた。
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