上 下
15 / 65
一章「秘密基地をダンジョンに」

#14 女子メンバー参加!

しおりを挟む
「いやぁ。絶好の秘密基地日和ですなぁ!」

 翌日、バーベキューをした河原にて、ぼく、ケンゴ、コータ、カナちゃん、アリサが全員集合した。
 昨日のことなど何もなかったかのように、ケンゴはご機嫌だった。

「楽しみだね」

 とカナちゃんもご機嫌なので、ぼくのテンションも上がりっぱなしだ。
 ちなみに、現地集合にしたのは、全員でぞろぞろ基地へ向かうと、人目について、バレかねないと水無月さんが言ったからだ。

「で、どこなの?秘密基地」

 とアリサ。

「こっちだ! さあ、付いてこい!」
「なんでケンゴが仕切ってんのよ」
「リーダーだからだな!」

 そう言って、ケンゴが先頭に立って、川沿いをザクザク歩く。

「見ろ、あそこに赤い岩があるだろ」
「あるわね」
「アレが目印だ」
「……基地は?」
「ふふふ、見て驚くなよ……」

 ケンゴがウッシッシと笑う。

「そんな大げさな。どうせちょっとした小屋とかでしょ?」
「いや、水無月さん、小屋じゃないよ」
「小屋じゃないの?」
「うん、多分驚くと思うよ」

 まぁ……驚くだろうね。

「行ってからのお楽しみってことでいいじゃない。ね、アリサ」

 カナちゃんがウキウキとした足取りでアリサに駆け寄る。

「そうね。男子たちが自慢げだし、ちょっとは期待しよっか」

 アリサがニヤリと笑う。
 だから怖いって。

「ここで曲がる!」
「…何もないじゃない」
「ん? アリサ、アレじゃない?ほらあそこ……」
「一倉さんよくわかったね。そう、あそこが秘密基地への入り口」
「おおお、思いの外秘密っぽいわ……男子侮りがたし」
「あなどりってなんだ?」

 ケンゴが首をかしげる。

「馬鹿にできないってこと」
「馬鹿にしてたのか!」
「だから『馬鹿にできない』って言ってんじゃん……馬鹿ね」
「そうか、ならいい……ん? 今馬鹿って言わなかった?」
「いいから先に行って。いつまでたっても着かないじゃない」
「お、おぅ……」

 茂みに足を踏み入れて、石段を登る。

 ぼくはこの石段を登るときの雰囲気が好きだ。
 どこか異世界への入り口のような、不思議な雰囲気があると思う。
 女子二人も、思ったよりも凄い場所でちょっとおっかなびっくり歩いている。

「よくこんな場所見つけたね」
「おお、ダイチが見つけたんだ」
「お婆ちゃんももちろん知ってるよ、時々来てるみたい」

 そうして洞窟にたどり着く。
 女子二人は口をポカンとあけて、

「「おおおおおおーーーー……」」

 と固まっている。
 あー、ぼくらも最初こんな感じだったなぁ……。

 ケンゴは、ザクザクと進み、洞窟前の祠で手を合わせて、

「ようこそ、我らの秘密基地へ!」

 と大げさなポーズで振り返った。


* * *


「さて、いつものように、会員証を出せ!」

 ケンゴが皆に言うと、みんなゴソゴソとお守りを取り出す。

「確かに。入場を許可する。アリサ、カナ。歓迎するぜ」

 ニッとわらって、ケンゴは秘密基地に足を踏み入れた。

「「おおおおお~~~~~!!」」

 カナちゃんとアリサは、テンションが上がりっぱなしだ。

「なにここ……何かの遺跡?」
「随分奥があるみたい。ね、この奥には何があるの?」

 カナちゃんの質問に、ケンゴが答える。

「ダンジョンだ」
「「ダンジョン?!」」
「そうだ」
「馬鹿じゃないの?」

 アリサが呆れたように言う。
 いやぁ、それが本当にダンジョンっぽいんだよなぁ……。

「百聞は一見にしかず」

 コータがすっくと立ち上がって、懐中電灯を取り出す。

「ひゃくぶん? って何だ?」

 ケンゴが首をかしげる。

「見ればわかるよってこと」

 そう言ってぼくたちは女子二人をつれて洞窟の奥へと足を踏み入れた。

「うわー、なにここ!?」
「すごい、本当にゲームに出てくるダンジョンみたい……」

 その光景にポカンとしている二人(ポカンとしててもカナちゃんは可愛い)に、ぼくは

「ここ、めちゃくちゃ深いんだよ」

 と説明する。
 といっても今日はさすがに二人を連れて中へは入れない。
 何といっても女の子だし、暗いから怖いだろうしね。

「奥、見てみたいな」

 カナちゃんがポツリと言うので、慌てて止める。

「奥は真っ暗だし、けっこう怖いんだ。ちゃんと説明するから、それでも入ってみたければ次の機会にちゃんと準備してから連れて行ってあげる」

 そう言うと、カナちゃんは「ありがと」と小さくお礼を言ってくれた。
 ホッとしていたら、

「えー、なんで?奥連れてってよ」

 と、今度はアリサがごね始めた。

「いや、ダメだ。マジで危険なんだって」
「どう危険なの?」
「迷ったら出てこられない。それに、奥の方に行くとスマホとかゲームの電源が切れちゃうし、もっと奥に行くと懐中電灯も消えちゃうんだ」
「……どういうこと?」
「だから、奥の方に行くと明かりがないってこと」
「いや、そうじゃなくて」

 あ、アリサは気づいたみたいだ。

「圏外になるってんならわかるけど、電源が入らなくなるってどういうこと?」

 うん、ぼくもずっと気になってた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します

カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。 そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。 それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。 これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。 更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。 ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。 しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い…… これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...