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2話

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 とある冒険者の町で、初心者冒険者となったピエール。
 偶然にも、この町一番の最強冒険者パーティーの仲間になったピエール。
 荒くれ冒険者達が、錯乱状態を起すほどの存在感を示す最強パーティー。

 そんな最強パーティーからのダンジョンへの招待。
 
 一体、どんなスキルを放ちモンスターを討伐していくのだろう。
 ピエールのワクワクは止まらなかった。

 最強パーティーの3人についていくピエール。

 まずは、改めて自己紹介をした方がいいかな! 礼儀は大事だ。

 ギルドの表に出ると元気な声で自己紹介をするピエール。

 「こんにちは! 改めて自己紹介しまっす! ピエール15歳 本日、冒険者になりました! この町一番の最強冒険者パーティーに誘ってもらい光栄です!! 今後も、よろしくお願いしまっす!! 」

 完璧だ!

 すると、最強パーティーのメンバー達が顔を揃えてポカーンとしている。

 えっ!?

 「何言ってるんだよ!! ピエール」
 「そうよ! ぴエーね」
 「ふにょにょにょ ピエーネ!!」
 「何を今更言っているのさ!! ピエーネ 俺達は君の名前は完全に覚えたんだよ? 」
 「え… あのう」
 
 「そうよ ピエーネ 今更、自己紹介とか 可笑しい クスクス」
 「ふにょにょ そうだぜ! ロバート!! 」
 「いや… あのう だから… 」

 「おっけー!! 早速ダンジョンに向かおうじゃないか!! ロバート!! 」

  微かにだが、ピエールは異変に気付く。自分の名前が、何時の間にかロバートになっていた… 合っている部分は"ー"しかない。異変に気付くのが、かなり遅いピエールだった。

 「あのう… もう、ロバートでいいんで あなた達の名前が知りたいんですが教えて貰っても構いませんか?… 」

 「あっ、言ってなかったっけ? 」
 「はい… 」
 「じゃあ、やっとく? 」
 「そうね やっときましょうよ! 」
 「あー あーあーあー マイクテス マイクテス」

 それは、突然の事だった。

 「ふにょにょ 俺の名はパルマ!! 闇を切り裂く煉獄の呪術士! 」

 両手に、手刀を作ると右手の手刀を自分のおでこに当て、左手の手刀を自分の腰の辺りで止めるとつま先で立ちはじめた。
 足がプルプルと震えている…

 「俺の名はネイジ!! 闇を切り裂く煉獄の騎士! 」

 盾を前に突き出し、剣を抜き後ろに突き出す。腰を中腰まで下ろすとバランスを取りはじめた。サーフィン?… そんなことより、あなたも闇を切り裂く煉獄なんですか…

 「あたしの名はエラルデ!! 闇を切り裂く煉獄のマジシャン! 」

 背中に背負ったリックサックから、シルクハットとステッキを取り出すとシルハットの唾の部分に指をかけステッキをクルクルと回しはじめた。最高の笑顔でステッキを回し続ける。ああ… そういえば、君も闇を切り裂く煉獄だったよね。なんでもいいですけど…


 そして、感の良い方は お気付きだろう… そう、彼らの名前は

 パルマ
 ネイジ
 エラルデ

 名前の最後で マ・ジ・デ
 名前の最初で パ・ネ・エ

 荒くれ冒険者達が呟き続けた『マジデパネエ』とは、この事だったのだ!! 頭の悪いピエールも、さすがに気がついたようだ。そして、何時までも決めポーズを崩さず維持し続けるマジデパネエがそこにいた。

 「ど… どうも ご丁寧にありがとうございます」

 ピエールが、お礼を言うと満足そうにポーズを崩した3人。

 「ふぅー… 決まったな! 」
 「ねっ! あたし達イケてるぅ~」
 「ふにょにょ あたぼうよ!! 」

 「「「いえ~い!! 」」」

 3人は、円を作り叫びながらくるくると回りだした。

 「と… とにかくダンジョンに向かわないですか? 」

 ピエールの一言で3人の動きがピタリと止まった。

 「ああ… 確かそんな事、言ったような うーん… おっけー!! 」
 

 ―― 歩く事1時間

 ここでピエールは、彼らの衣服や持ち物に違和感を感じた。ここで違和感を感じるピエールも大概だった。

 まず、最初に呪術士のパルマ。何で背中に太鼓を担いでるのだろう。通常の呪術士であれば杖が定番のはずなのに… 頭には、どう見ても作業現場で使うヘルメットを被っていた。安全第一とシールが張られている…

 次に、騎士のネイジ。鎧は鉄製だろうか、かなり頑丈そうだ。だが、下が競泳用の水着を装着していた。足元はハイヒール…じゃあ頭に被っているのはゴーグルや水中眼鏡と思いきや、普通の王冠だった。一体、何処で手に入れたんだろうか…

 最後は、マジシャンのエラルデ。何となくそれっぽい格好はしていたが、どうしてもリックサックの中身が気になる。時々、泣き声がするのだ。
 クルッポー クルッポー 
 鳩!?… 一体、何の為にリックサックに入れて移動しているのだろう。
 
 …

 ようやく、ダンジョンに辿り着く。長く険しい道のりだった… この間、約5分おきに彼らの奇声が鳴り響いた。その奇声とはギルドの中で叫んでいたあの言葉…

 「マジシャンて素敵や~ん」
 
 彼女は、その言葉を発するだけで満足そうな顔をするだけだった。その1~2分後にネイジが剣を抜き、空に突き立てる仕草をはじめる。同時に発する

 「タンタカターン!! 」

 この繰り返しが約1時間行われたのだ。本当に長く険しい道のりだった…

 そして、初めてのダンジョンへと足を踏み入れるピエールであった。
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