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二匹目!+一羽目
47・モフモフわんこ達はお留守番できるかな?
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神社で待っていたボタンとPrimrose、英語で桜草と合流してメイド喫茶へ向かう。この子の命名は花が足りなかったからじゃなくて、サクラ子と被らないよう英語にしたのだ。
メイド喫茶は駅前にある。
久しぶりに『ダンジョン冒険者協会』の前を通った。
アーサーさんとソフィアさんは国へ帰ったらしい。帰国はニュースにはならなかった。全世界に波紋を巻き起こす重大事件があったからね。
少しはミドルポーション+を持って帰ったのかな。
呪われてる人が助かるといいんだけど。
鷹秋さんは休憩時間を終えて仕事中だろうか。
建物の窓に目をやったが、中が見えるような作りではない。
のん気にしていて、お昼寝から目覚めたタロ君ニコちゃんを寂しがらせてもいけないので、わたしはダンジョンの前に立つ警察官にお辞儀をして駅前へ向かった。そのときに、今日はワンちゃんいないんですか、と聞かれてしまった。ここにもうちの犬の虜が!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「お帰りなさいませ、ご主人様!……って、晴じゃん!」
「えへへ、元気? 顔が見たくて来ちゃったよ」
メイド喫茶は思ったより空いていた。
今度の日曜日は花火大会だけじゃなくて、都会で同人誌の即売会があるんだっけ。
メインの客層がそっちの準備で忙しいのかもしれない。
「歓迎するし。……ウチ、もうちょっとで休憩時間だけど?」
「今日はお客さん。お勧めは?」
「ロールケーキセット。マジ美味いし、ウチらがチョコペンで愛情注いであげるし、追加料金+でウチらメイドが話し相手するし」
「じゃあそれで。ドリンクはホットのミルクティで、話し相手もお願いします」
「かしこまりました、ご主人様……じゃなくてお嬢様」
ウインクして厨房へ向かう乙女ちゃんの後ろをボタンがついていく。
これで目的は果たした。乙女ちゃんは動物映画だけじゃなく、結構ホラーも好きだったはずだ。……霊感持ちだから?
真朝ちゃんを護衛させているフヨウも毎日一緒に恋愛映画やドラマを観ているというし、レイスの趣味も尊重しなくちゃね。
──乙女ちゃんに愛情を注いでもらったロールケーキを食べながら、向かいに座った彼女とよもやま話をする。
「……晴。ウチの話してもいい?」
「うん、聞きたい。お店の人手が足りてなかったって聞いてたけど無理してない?」
「あーバイトじゃなくて、プライベートの話」
「例の人と進展あったの?」
わたしの質問に、乙女ちゃんは顔を真っ赤にする。
「んー。明後日の即売会の売り子頼まれたし」
「すごいじゃん。一日一緒だね」
「もーう、からかうなし」
恥ずかしそうにくねる乙女ちゃんのメイド服の下で、豊満な胸部が揺れている。
乙女ちゃんも玲奈ちゃんも親友なんだけど、乙女ちゃんのことを玲奈ちゃんに紹介できない理由がこのたわわだ。
気にすることないのに、なんていうのは、気楽な外部の意見に過ぎない。機嫌を損ねて抹殺されるのはわたしなのだ。
「コスプレするの?」
「コスプレは先に許可取ってないとダメじゃね?」
乙女ちゃんの好きな人はダンジョンオタクで、ダンジョンモンスターのリアルなカラーイラスト集を頒布しているのだという。
イラストにはリアルダンジョンでの特徴と同名モンスターが出てくる神話やゲームの解説を併記してあるのだとか。
ほうほう、それはダンジョンマスターとして興味が湧きますな。
「面白そう」
「お土産に買って来ようか?」
「お土産じゃなくてお金払うよ。……ここの料金も奢りにしないでね」
「……」
乙女ちゃんは口笛を吹く振りをして誤魔化した。
彼女の胸には優しさが詰まり過ぎている。
しばらくおしゃべりを楽しんだ後、ちゃんと料金を全額払って店を出た。休憩時間はゆっくり休んでほしかったので、わたしはそのままダンジョンへ帰ったのだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
急いでダンジョンに戻ったのは、タロ君ニコちゃんが目覚める前に帰りたかったのもあるのだけれど、二匹はすっかり起きていた。
わたしがいなくなってすぐに目覚めたらしい。
「吾はマスターに行ってらっしゃいしたかったのだ! ぷんぷん!」
「ニコもですの! ぷんぷん、ですわー!」
「ごめんごめん。ただいまー」
(お帰りなさいませ、ハル様)
(((お帰りなさい、マスター)))
(それはそうと私もBBQ行きたいです! 焼き立てお肉食べたいです!)
アジサイの念話がうるさい。
……鷹秋さんに余ったお肉をもらえたら、ダンジョンでBBQしようかな。なんて考えちゃうのは甘い?
でもサンゴのダンジョンでだけBBQをしたら、うちのダンジョンのスライム達に悪いよねえ。
メイド喫茶は駅前にある。
久しぶりに『ダンジョン冒険者協会』の前を通った。
アーサーさんとソフィアさんは国へ帰ったらしい。帰国はニュースにはならなかった。全世界に波紋を巻き起こす重大事件があったからね。
少しはミドルポーション+を持って帰ったのかな。
呪われてる人が助かるといいんだけど。
鷹秋さんは休憩時間を終えて仕事中だろうか。
建物の窓に目をやったが、中が見えるような作りではない。
のん気にしていて、お昼寝から目覚めたタロ君ニコちゃんを寂しがらせてもいけないので、わたしはダンジョンの前に立つ警察官にお辞儀をして駅前へ向かった。そのときに、今日はワンちゃんいないんですか、と聞かれてしまった。ここにもうちの犬の虜が!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「お帰りなさいませ、ご主人様!……って、晴じゃん!」
「えへへ、元気? 顔が見たくて来ちゃったよ」
メイド喫茶は思ったより空いていた。
今度の日曜日は花火大会だけじゃなくて、都会で同人誌の即売会があるんだっけ。
メインの客層がそっちの準備で忙しいのかもしれない。
「歓迎するし。……ウチ、もうちょっとで休憩時間だけど?」
「今日はお客さん。お勧めは?」
「ロールケーキセット。マジ美味いし、ウチらがチョコペンで愛情注いであげるし、追加料金+でウチらメイドが話し相手するし」
「じゃあそれで。ドリンクはホットのミルクティで、話し相手もお願いします」
「かしこまりました、ご主人様……じゃなくてお嬢様」
ウインクして厨房へ向かう乙女ちゃんの後ろをボタンがついていく。
これで目的は果たした。乙女ちゃんは動物映画だけじゃなく、結構ホラーも好きだったはずだ。……霊感持ちだから?
真朝ちゃんを護衛させているフヨウも毎日一緒に恋愛映画やドラマを観ているというし、レイスの趣味も尊重しなくちゃね。
──乙女ちゃんに愛情を注いでもらったロールケーキを食べながら、向かいに座った彼女とよもやま話をする。
「……晴。ウチの話してもいい?」
「うん、聞きたい。お店の人手が足りてなかったって聞いてたけど無理してない?」
「あーバイトじゃなくて、プライベートの話」
「例の人と進展あったの?」
わたしの質問に、乙女ちゃんは顔を真っ赤にする。
「んー。明後日の即売会の売り子頼まれたし」
「すごいじゃん。一日一緒だね」
「もーう、からかうなし」
恥ずかしそうにくねる乙女ちゃんのメイド服の下で、豊満な胸部が揺れている。
乙女ちゃんも玲奈ちゃんも親友なんだけど、乙女ちゃんのことを玲奈ちゃんに紹介できない理由がこのたわわだ。
気にすることないのに、なんていうのは、気楽な外部の意見に過ぎない。機嫌を損ねて抹殺されるのはわたしなのだ。
「コスプレするの?」
「コスプレは先に許可取ってないとダメじゃね?」
乙女ちゃんの好きな人はダンジョンオタクで、ダンジョンモンスターのリアルなカラーイラスト集を頒布しているのだという。
イラストにはリアルダンジョンでの特徴と同名モンスターが出てくる神話やゲームの解説を併記してあるのだとか。
ほうほう、それはダンジョンマスターとして興味が湧きますな。
「面白そう」
「お土産に買って来ようか?」
「お土産じゃなくてお金払うよ。……ここの料金も奢りにしないでね」
「……」
乙女ちゃんは口笛を吹く振りをして誤魔化した。
彼女の胸には優しさが詰まり過ぎている。
しばらくおしゃべりを楽しんだ後、ちゃんと料金を全額払って店を出た。休憩時間はゆっくり休んでほしかったので、わたしはそのままダンジョンへ帰ったのだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
急いでダンジョンに戻ったのは、タロ君ニコちゃんが目覚める前に帰りたかったのもあるのだけれど、二匹はすっかり起きていた。
わたしがいなくなってすぐに目覚めたらしい。
「吾はマスターに行ってらっしゃいしたかったのだ! ぷんぷん!」
「ニコもですの! ぷんぷん、ですわー!」
「ごめんごめん。ただいまー」
(お帰りなさいませ、ハル様)
(((お帰りなさい、マスター)))
(それはそうと私もBBQ行きたいです! 焼き立てお肉食べたいです!)
アジサイの念話がうるさい。
……鷹秋さんに余ったお肉をもらえたら、ダンジョンでBBQしようかな。なんて考えちゃうのは甘い?
でもサンゴのダンジョンでだけBBQをしたら、うちのダンジョンのスライム達に悪いよねえ。
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