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二匹目!+一羽目
42・モフモフわんこは妹と遊ぶ。
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「行くぞ、ニコ!」
「はいですわ、タロ兄様!」
「『騒霊』!」
「きゃっふう!」
ダンジョンマスター生活四十七日目。
わたしはサンゴのダンジョンに来ていた。
お土産に持って来たコロッケを食べ終わって、タロ君とニコちゃんがフリスビーを始める。タロ君が魔法スキル『騒霊』で飛ばし、ニコちゃんがジャンプして取るのだ。わたしが投げたときより上手く行っていて、ちょっと悔しい。
(ハル様、ありがとうございます。おかげで明日からでも訪問者を受け入れられそうです)
「第一層はこのままモンスター無しの空きフロアにしておくの? 突然モンスターがポップしても、今待機してる自衛隊員の人達なら大丈夫だと思うよ」
(((このままでいいと思いますわ、マスター)))
「アジサイ」
犬のフリスビーを鑑賞しつつサンゴとダンジョン運営について話していたら、スライムのアジサイが混じってきた。
(((第一層は傷ついたスライムが体を癒すためのセーフティゾーンにしてください)))
毎日少しずつ作成してきたモンスター達はうちのダンジョンと違って訪問者にすぐ倒されないので、力をつけてスライムを襲い始めたようだ。
「モンスターがいないだけでセーフティゾーンになるの? なにか回復の……アジサイ?」
(((てへぺろ)))
どこで覚えた、そんなこと!
わたしと玲奈ちゃんがDSSSとともに訪れた日から(翌日ではない)、このダンジョンには自衛隊員が常駐するようになった。階段の結界は解いていないので、第一層にテントを張って待機している。
ダンジョンイーターが湧いたときに備えて第一層にも何体かのスライムを派遣していたのだが、どうやら例の動画のときのように自衛隊員から食べ物やプラスチックゴミをもらっているらしい。
「はあ……サンゴがいいなら、いいけど」
(ワタシはかまいません。アジサイ様達にいていただけるだけで大助かりですから)
このダンジョンのダンジョンイーターは、ニコちゃんを襲っていた大きいヤツだけではなかった。
棲みついたアジサイ達を狙って、小さいのが壁の穴からニョロニョロ出てきたのだ。
ニコちゃん以外のモンスターを消していたときにこっそり増えていたというわけ。アジサイ達は健康そのものなので返り討ちにしたけど、数的に新しいモンスターの魔力を吸って生まれたばかりのスライムでは太刀打ちできなかったと思う。
……あー、思い出しただけで全身に鳥肌立つ。
ここはニコちゃんのいた最下層、第三十階層だ。
最初にサンゴとこれからのダンジョンの指針について話し合ってたときにも、壁の穴から一斉に出て来たんだよね。今はもうアジサイ達によって穴は塞がれている。
「第二層から第十層のフロアモンスターは下級のホーンラビットと動く草、エリアボスは豚肉」
わたしはスマホのメモ機能を呼び出して、現在のダンジョン状況を確認した。
兎派の方には大変申し訳ないのだが、わたしの中では兎は食材なのだ。
ボスモンスターのタロ君ではなくダンジョンコアのサンゴと作成しているので、モンスターの属性は縛られることはなかった。
「第十一層から第二十層のフロアモンスターは中級のポイズンラビットと動く花、エリアボスは牛肉」
少し悩んだのだけど、第十一階層からは状態異常を起こすスキルを持つ中級モンスターを出現させている。
この世のすべてのダンジョンをわたしが管理することはできないから、せめて状態異常を回復できるアイテムコアをドロップさせて、ほかのダンジョンを攻略するときの助けにしてもらおうと思ったのだ。わたし製のアイテムコアをこの世界の人間が装備したのなら、ほかのダンジョンでも付与効果が発動する、はず。
ダンジョンを攻略したってなにか起こるわけでもないものの、サンゴに思わせぶりなこと言わせちゃったし、それがなくても人はダンジョンに挑み続けるだろうしね。せめてもの後方支援です。
状態異常を回復するアイテムコアは現在制作中。
タロ君やニコちゃんの影コアで作ると価値が高くなり過ぎてドロップ率がコンマ以下になるので、二匹にこのダンジョンのモンスターを狩らせてコアを集めてる。
第一層の階段結界解除後、自衛隊員が第十一層に到達するまでに完成させたい。でもなあ、こう、なんか……どうしたらそうできるのか、っていうヒントがないんだよなあ。
「第二十一層から第二十九層のフロアモンスターは上級のラッキーラビットと動く樹、エリアボスは鶏肉」
ラッキーラビットは変更するかも。
特殊スキルに『即死・小』があるんだよね。
ラッキーラビットのラッキーは角の一突きで敵を即死させられる幸運のこと。ラッキーなのは彼らであって訪問者のほうではないのだ。
アイテムコア作りの原料には、主に動く樹を使っている。
前に下級モンスターの変異種のコアを使おうとして壊しちゃったことがあるけれど、変異種ですらない下級モンスターのコアはさらに使いにくいのである。
それに、なんとなく、わたしもサンゴも樹木には恨みがあるというか……まあ、いくらタロ君ニコちゃんがボスモンスターとはいえ、ラッキーラビットの『即死』も怖いしね。
今いる第三十層には今のところモンスターはいない。
いずれはダンジョン全体のボスモンスターを配置しないと。
本当はエリアボスも階層ごとに変えたほうがいいんだろうけど、僕はもう疲れたよ、タロ君ニコちゃん。
状態異常回復アイテムは激レアドロップ品設定予定で、レアドロップ品設定はポーションで統一している。浅い階層のエリアボスのレアドロップ品は魔法属性を高める食肉を設定したいという欲望が沸き起こってるのだが、この世界の人間は魔法使えないからなあ。まだ食べたことないんだけど、味はどうなんだろう?
ここで待機している自衛隊員のみなさんはリアルラックが高いといいな。
うちのダンジョンでの訓練も継続されてるし、そろそろリアルラックの高い人がダンジョンに来てもいいと思う。
「上手いぞ、ニコ!」
「お褒めに与り光栄ですわ、タロ兄様!」
「次だ。『騒霊』!」
「きゃっふう!」
タロ君とニコちゃんは、延々とフリスビーを続けている。
仲が良くてなにより。
楽しそうだから、今日は動く樹狩りはお休みしてもいいかな。僕はもう疲れたよ、タロ君ニコちゃん(大事なことなので二回言う)。
「はいですわ、タロ兄様!」
「『騒霊』!」
「きゃっふう!」
ダンジョンマスター生活四十七日目。
わたしはサンゴのダンジョンに来ていた。
お土産に持って来たコロッケを食べ終わって、タロ君とニコちゃんがフリスビーを始める。タロ君が魔法スキル『騒霊』で飛ばし、ニコちゃんがジャンプして取るのだ。わたしが投げたときより上手く行っていて、ちょっと悔しい。
(ハル様、ありがとうございます。おかげで明日からでも訪問者を受け入れられそうです)
「第一層はこのままモンスター無しの空きフロアにしておくの? 突然モンスターがポップしても、今待機してる自衛隊員の人達なら大丈夫だと思うよ」
(((このままでいいと思いますわ、マスター)))
「アジサイ」
犬のフリスビーを鑑賞しつつサンゴとダンジョン運営について話していたら、スライムのアジサイが混じってきた。
(((第一層は傷ついたスライムが体を癒すためのセーフティゾーンにしてください)))
毎日少しずつ作成してきたモンスター達はうちのダンジョンと違って訪問者にすぐ倒されないので、力をつけてスライムを襲い始めたようだ。
「モンスターがいないだけでセーフティゾーンになるの? なにか回復の……アジサイ?」
(((てへぺろ)))
どこで覚えた、そんなこと!
わたしと玲奈ちゃんがDSSSとともに訪れた日から(翌日ではない)、このダンジョンには自衛隊員が常駐するようになった。階段の結界は解いていないので、第一層にテントを張って待機している。
ダンジョンイーターが湧いたときに備えて第一層にも何体かのスライムを派遣していたのだが、どうやら例の動画のときのように自衛隊員から食べ物やプラスチックゴミをもらっているらしい。
「はあ……サンゴがいいなら、いいけど」
(ワタシはかまいません。アジサイ様達にいていただけるだけで大助かりですから)
このダンジョンのダンジョンイーターは、ニコちゃんを襲っていた大きいヤツだけではなかった。
棲みついたアジサイ達を狙って、小さいのが壁の穴からニョロニョロ出てきたのだ。
ニコちゃん以外のモンスターを消していたときにこっそり増えていたというわけ。アジサイ達は健康そのものなので返り討ちにしたけど、数的に新しいモンスターの魔力を吸って生まれたばかりのスライムでは太刀打ちできなかったと思う。
……あー、思い出しただけで全身に鳥肌立つ。
ここはニコちゃんのいた最下層、第三十階層だ。
最初にサンゴとこれからのダンジョンの指針について話し合ってたときにも、壁の穴から一斉に出て来たんだよね。今はもうアジサイ達によって穴は塞がれている。
「第二層から第十層のフロアモンスターは下級のホーンラビットと動く草、エリアボスは豚肉」
わたしはスマホのメモ機能を呼び出して、現在のダンジョン状況を確認した。
兎派の方には大変申し訳ないのだが、わたしの中では兎は食材なのだ。
ボスモンスターのタロ君ではなくダンジョンコアのサンゴと作成しているので、モンスターの属性は縛られることはなかった。
「第十一層から第二十層のフロアモンスターは中級のポイズンラビットと動く花、エリアボスは牛肉」
少し悩んだのだけど、第十一階層からは状態異常を起こすスキルを持つ中級モンスターを出現させている。
この世のすべてのダンジョンをわたしが管理することはできないから、せめて状態異常を回復できるアイテムコアをドロップさせて、ほかのダンジョンを攻略するときの助けにしてもらおうと思ったのだ。わたし製のアイテムコアをこの世界の人間が装備したのなら、ほかのダンジョンでも付与効果が発動する、はず。
ダンジョンを攻略したってなにか起こるわけでもないものの、サンゴに思わせぶりなこと言わせちゃったし、それがなくても人はダンジョンに挑み続けるだろうしね。せめてもの後方支援です。
状態異常を回復するアイテムコアは現在制作中。
タロ君やニコちゃんの影コアで作ると価値が高くなり過ぎてドロップ率がコンマ以下になるので、二匹にこのダンジョンのモンスターを狩らせてコアを集めてる。
第一層の階段結界解除後、自衛隊員が第十一層に到達するまでに完成させたい。でもなあ、こう、なんか……どうしたらそうできるのか、っていうヒントがないんだよなあ。
「第二十一層から第二十九層のフロアモンスターは上級のラッキーラビットと動く樹、エリアボスは鶏肉」
ラッキーラビットは変更するかも。
特殊スキルに『即死・小』があるんだよね。
ラッキーラビットのラッキーは角の一突きで敵を即死させられる幸運のこと。ラッキーなのは彼らであって訪問者のほうではないのだ。
アイテムコア作りの原料には、主に動く樹を使っている。
前に下級モンスターの変異種のコアを使おうとして壊しちゃったことがあるけれど、変異種ですらない下級モンスターのコアはさらに使いにくいのである。
それに、なんとなく、わたしもサンゴも樹木には恨みがあるというか……まあ、いくらタロ君ニコちゃんがボスモンスターとはいえ、ラッキーラビットの『即死』も怖いしね。
今いる第三十層には今のところモンスターはいない。
いずれはダンジョン全体のボスモンスターを配置しないと。
本当はエリアボスも階層ごとに変えたほうがいいんだろうけど、僕はもう疲れたよ、タロ君ニコちゃん。
状態異常回復アイテムは激レアドロップ品設定予定で、レアドロップ品設定はポーションで統一している。浅い階層のエリアボスのレアドロップ品は魔法属性を高める食肉を設定したいという欲望が沸き起こってるのだが、この世界の人間は魔法使えないからなあ。まだ食べたことないんだけど、味はどうなんだろう?
ここで待機している自衛隊員のみなさんはリアルラックが高いといいな。
うちのダンジョンでの訓練も継続されてるし、そろそろリアルラックの高い人がダンジョンに来てもいいと思う。
「上手いぞ、ニコ!」
「お褒めに与り光栄ですわ、タロ兄様!」
「次だ。『騒霊』!」
「きゃっふう!」
タロ君とニコちゃんは、延々とフリスビーを続けている。
仲が良くてなにより。
楽しそうだから、今日は動く樹狩りはお休みしてもいいかな。僕はもう疲れたよ、タロ君ニコちゃん(大事なことなので二回言う)。
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