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一匹目!

※ダンジョンわんこ日記 十九日目

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 今日は新しい魔法属性を設定してもらって、マスターと一緒に新しいモンスターを作ったのだ。

 ──レッドボア。
 炎属性の赤い猪である。
 『火球ファイアボール』の魔法スキルは少々厄介だが、吾とマスターのダンジョンに通っている人間達はマスターがドロップ品設定で動きを止めてやったこともあり、簡単に倒していた。うちのエントランスは広々としていて遮蔽物がないので『突進』のスキルはあまり活かされていなかったな。

 マスターは人間にモンスターを倒させることに悩んでいたが、吾らダンジョンモンスターはリポップするのだから気にする必要はない。
 正々堂々戦って(卑怯な手段を講じる種族もいるぞ)負けたら、リポップしてまた挑めばいいだけなのだ。
 もっとも今回のレッドボアで、マスターも少し吹っ切れたように感じる。猪は『食材』だからと言っていたっけ。

 猪肉を使った有名な料理はぼたん鍋という。……吾も食べてみたいな。
 残念ながらダンジョンモンスターは肉を落とさない。
 ドロップ品に設定したらべつだけど、マスターはレッドボアのドロップ品もポーションにしていたぞ。

 ドロップ品は一種類のモンスターにつき、三品まで設定できる。
 といってもノーマルのモンスターコアは固定だ。
 厳密にはレアと激レアだけがダンジョンマスターによって設定できる。マスターはガチャみたいだね、と笑っていた。

 レアはノーマルよりもドロップ率が低くなり、激レアはさらに低くなる。
 ポーションが珍しくなくなるくらい社会に行き渡ったら、アイテムコア作成のスキルで作ったものを激レアに設定してもいいかも、とマスターが言っていた。
 でも……マスターの言うリアルラックが低いのか、うちのダンジョンに来る人間達のポーションゲット率は相変わらず十パーセントくらいだぞ?

 後、スライムの実(薬草の完成形)が生った。
 これならハイポーションとミドルポーションの中間、ミドルポーション+とでもいうべき効能のポーションが作れるのではないかな。
 吾のシャドウコアを使えば三千瓶くらいできるはずだ。吾はもうレベル4だからな、えっへん。

 んふー。吾のマスターは優秀だから、吾もスライム達も成長が速いのだ。
 フロアモンスター達の変異種レア発生スパンも短いしな。
 スライムの実はこの世界のカカオという植物の実に似ているそうだ。カカオはチョコの原料である。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 吾のレベルが4に上がって新しいモンスターを作った日の夜はアイスを食べて、マスターと一緒に歌音かのんのためのマントを作ったのだ。吾はMP譲渡係である。
 マントは吾とお揃いでフードに耳、裾に尻尾がついてるぞ!
 色は歌音かのんの大好きなピンクだから、見せたらきっと大喜びするぞ。

 マスターの作ったシャドウのマントはカッコいいから、ドロップ品の激レアに設定したら人間達がダンジョンに押し寄せるだろう。まあ吾のシャドウコアが原料で価値が高いため、一億分の一くらいのドロップ率になると思うが。
 もっともシャドウのマントはマスターが吾と歌音かのんのために作ってくれたものだから、簡単にドロップさせるべきではないかな。
 春人や冬人にならあげてもいいぞ。

 モンスターを作ったりアイテムコアを作ったりといろいろしてるから、マスターもそろそろレベルが上がるんじゃないだろうか?
 マスターのダンジョンマスターレベルが上がったら、トイレや買い物のときも吾と一緒にいられるようなスキルを習得するといいのになー。
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