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一匹目!

17・モフモフわんこはジャーキーを食べる。

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 昨日はダンジョンでアイテムコアを作成した後でアパートに帰り、シチューを作って食べてからタロ君とキリンのぬいぐるみで遊んで寝た。
 タロ君は賢いので、キリンのぬいぐるみを傷めないよう力を調節して遊んでくれた。
 今日はいつものように昼ごろ起きてシチューの残りで作ったグラタンを食べて、ステータスボードを確認する。

【現在のDP  :80000DP】
【昨日の消費DP: 6000DP】
【※消費DP内訳 ダンジョンコア消費:1000DP】
【        ダンジョン施設消費:1000DP】
【        ボスモンスター消費:3000DP】
【        モンスター消費  :1000DP(百体分)】
【昨日の生産DP:12000DP】
【※生産DP内訳 訪問者ビジター生産:12000DP(十二体分)】

 アイテムコアの作成はモンスターコアとダンジョンマスターわたしのMPを消費しただけだから、DPの変動はない。
 このまま毎日訪問者ビジターが来てくれたら生き延びられる。
 余裕ができたらモンスターを増やして、訪問者ビジターなしでもDPが生産されるようにしたい。

 でもタロ君が持っている大地属性と闇属性でモンスターを作っても、相性がいいから敵対しにくいんだよね。
 DPは、敵対するモンスター同士の戦闘で生産される。
 タロ君のレベルが上がったら、ほかの魔法属性も設定できるんだけど。

「ふう……」

 タロ君のレベルが上がったら、その分消費DPも増える。
 消費DPは新しく作るモンスターの分も増える。
 溜息をついてステータスボードを消したわたしのところへタロ君が、てってって、とやって来た。

「DPの確認終わった? お散歩に行くのか?」
「暑そうだから日が落ちて涼しくなってからね」
「そうかー」
「キリンのぬいぐるみで遊ぶ?」
「んー。昨日も遊んだしー」

 お散歩も昨日行ったじゃない、と思ったが、あれはお買い物だからノーカウントなのかな。
 まあわんこの散歩はぬいぐるみ遊びと違って毎日しなきゃいけないことだけど。
 ……モンスターでもそうなのかな?

タロ君モンスターはダンジョンにいるときもお散歩するものなの?」
「んーん。吾はボスモンスターだから、本当ならボス部屋から動かないぞ」

 ダンジョンのモンスターにはさまざまな違いがある。
 種族、魔法属性、ランク(下級・中級・上級)、そして移動範囲。
 後、変異の有無とか。

 ひとつのフロア部屋の中を動き回るのがフロアモンスター。
 そのエリア階層内なら通路も通って複数のフロアを自由に行き来するのがエリアモンスター。
 階段を利用してほかのエリアへも移動するのがフリーモンスター。
 ボス部屋にいて階段を守っているのがボスモンスター。最下層以外のボスモンスターはエリアボスと呼ばれている。

「うちのダンジョンは一階層だけで階段がないから、タロ君がボス部屋にいなくてもいいもんね」
「ん」
「あ、でもどこのダンジョンも最下層のボス部屋には階段がないか」

 ダンジョンによってはボス部屋のない階層もある。
 その場合は特定のエリアモンスターやフリーモンスター、名前のついた特別なユニークモンスターを倒すことで階段が出現するらしい。
 一度出現した階段は、そういったキーモンスターがリポップするまでの間だれでも通行可能だ。

 ……タロ君はボスモンスターな上にユニークモンスターでもあるんだな。

「そういえば最下層のボスを倒すとどうなるの?」
「景品が出るのだ」
「景品?」
「ん。人間をダンジョンに呼び寄せるための、その世界で価値を持つアイテムコアだ」

 うちの最下層ボスモンスターはタロ君なので、倒される予定はないし景品もありません。
 フロアモンスターがドロップするポーションで満足して欲しい。
 DSSSの調査員、今日も来るかなあ。

「マスターどうした? DPが足りないのか?」
「そんなことないよ。それよりタロ君、ジャーキー食べてみる?」
「食べるのだ!」

 わたしは昨日ペット用品店で買った、国産の細長いジャーキーの袋を開けた。
 タロ君は黄金の瞳をキラキラと煌めかせて、わたしの手元を見ている。

「ん? どうして千切るのだ?」
「このジャーキー長いから一気に食べるとうえってなっちゃうよ」
「大丈夫なのだ。吾は自分で噛み千切るのだ」
「そうなの?」

 恐る恐る一本手にして差し出すと、タロ君は鼻の付け根に皺を寄せて噛み千切った。
 おお! 野性的ワイルド~!!
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