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いきなり異世界転生編
10・異世界フレンズ
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「あれ?」
「どうした?」
「ごしゅじん、大丈夫か?」
「……葉菜花?」
みんなして心配してくれるので、ちょっと嬉しかった。
「ごめんなさい、なんでもないの。スライムのときと違うなあって思っただけ」
「本当に大丈夫なのか?」
シオン君に頷いて、もう一度魔力を注ぎ始める。
違うと思ったのは大きさだけじゃない。
スライムの魔石のときは、中にあるなにかを引き出す感じだった。
彫刻家が石や木材の中に形を見出すのって、こんな感じかなって思ってた。
逆にダンジョンアントの魔石は空っぽだった。
中になにもない。
これが含有魔力が少ないってことなのかな。
でもそれだけじゃない。
スライムの魔石が硬い石や木材なら、ダンジョンアントの魔石は粘土だった。
……柔らかくて自由。なんでも作れる気がする。
だったら、だとしたら──
魔力を注いだ魔石が薄く光り、ボコボコと蠢き出す。……やっぱり気持ち悪い。
だけど、それは変成できるということでもある。
さっき火属性のスライムの魔石からタンドリーチキンサンドを作ったんだけど、わたしはそんなもの食べたことがなかった。
家族でカレー屋さんに行ったとき、サイドディッシュのタンドリーチキンを食べたことはあるよ? 美味しかったよ?
でもサンドイッチにしたことはない。ナンにも挟んだことはなかった。
なのになぜか、火属性のスライムの魔石はタンドリーチキンサンドになった。
シオン君やベルちゃんには好評だったよ?
わたしは食べてないけど美味しくないとは言わないよ。というか美味しいに決まってる。
でもね! チキンサンドならもっとほかにもあると思うの!
バンバンジーを挟んでもいいし、唐揚げを挟んでもいい。
イギリス料理のコロネーションチキンを挟んでも美味しそうだと思う。
それでね、今わたしが食べたいチキンサンドは、
鳥肉をしょう油とみりん、砂糖の甘辛なタレで包んで──
「照り焼きチキンサンド?」
シオン君の声が耳朶を打つ。
「美味しそうだぞ」
「……」
わたしの手の中にはそれがあった。
二枚の白いパンに挟まれた赤く染まった鳥肉。
赤いけど辛いだけじゃないの、甘辛いの。
甘みを活かすために少し苦いレタスを添えた、照り焼きチキンサンド。
さすがにこれは譲れなかった。
「シオン君、これ食べても大丈夫だよね?」
「ああ。……混沌属性だな。特出した魔力属性がないからか?」
「ごめんね、ベルちゃん。これはわたしが食べるね」
「……葉菜花の元気があったら、また作って。……美味しそう」
「ラケルには半分あげるね」
「わっふう!」
というわけで、実食です。
「……もぐもぐ……」
「……わふわふ……」
……美味しーい!
でも……コンビニやお店で食べたことのある味じゃない。
フルーツサンドも食べたかったコンビニの味とは違ったんだよね。
『異世界料理再現錬金術』の限界なのかな。
わたしのレベルが1だからかもしれない。
レベルが上がったら完璧に再現できる?……うーん、その場合食べたことのないものはどうなるのかな?
「ごしゅじん、美味しいぞ!」
「良かった」
わたしはロイヤルミルクティーを飲んで、照り焼き味の口内を潤した。
作ったときはほど良い冷たさだったドリンクがぬるくなっている。
錬金術で作ったからって劣化しないわけじゃないみたい。
完成した時点で普通の食べ物と同じになるのかな。
「葉菜花」
照り焼きチキンサンドを美味しく食べて落ち着いていると、シオン君に呼ばれた。
あ、照り焼きチキンサンドは防御力上昇だそうです。
「なぁに?」
「貴様のその力は、この世界を救うぞ!」
「そうなの?」
「俺達がどんなにダンジョンアントを退治しても、地中に潜む何千万匹もの小さなアリがダンジョンコアに触れて進化する。おまけに魔石の処分方法がなかった。ラトニー以外の国はそれがどういう意味を持つのかを考えてもいない。このままでは各地の冒険者ギルドの魔石倉庫がアリ専用になるところだった」
ダンジョンアント怖い。
ただ小さな昆虫のアリは体重の数十倍のものを運べるのだけれど、ダンジョンアントは鍛えた人間と同じくらいの筋力しかないそうです。
自分を倒した相手にもたらす『呪い』などのスキルを得た反動ではないかとのこと。
とはいえ弱いわけではなく、外殻が硬くて倒しにくいモンスターなんだって。
しかも魔石の含有魔力が少ない上に、ダンジョン外で倒したときに得られる魔殻もほとんど価値がないという……うーん、そりゃだれも退治したがらないわけです。
「……コンセプシオン王子」
ベルちゃんが立ち上がり、そっとわたしの背後に立つ。
「あ、ごめん。すぐなにか作るね」
今度はおにぎり作れないかやってみよう。お米食べたい。
「……ありがとう。……コンセプシオン王子」
「どうした、聖女殿」
「……確かに葉菜花の力はすごい。だからといってあなたが葉菜花を利用しようと言うのなら、私は許さない。止めてみせる」
「貴様も利用しているではないか」
「あ、ふたりには助けてもらってるから、役に立てるなら頑張るよ?……はい、ベルちゃん。わたしの故郷のソウルフード、梅干しおにぎりです」
ダンジョンアントの魔石からは、おにぎりもできた。
「ベルちゃんコップ貸して。おにぎりだから麦茶かほうじ茶ができないかやってみる」
「……葉菜花」
「聖女、食わないなら俺に寄越せ。それも美味いぞ。『鑑定』でわかる」
シオン君は真面目な話のときは聖女『殿』で、そうじゃないときは呼び捨てなのかな。
『聖女』で呼び捨てって言うのも変だけど。
ベルちゃんはおにぎりを手にして首を横に振る。
「……これは葉菜花が私にくれた」
「うん、食べてねー。あ、シオン君食べても大丈夫だよね?」
おにぎりだから、なんの根拠もなく大丈夫だと思ってた。
だって、おにぎりだもの。
シオン君が頷いて、ベルちゃんは自分の椅子をわたしの近くに引き寄せてから座り直した。
おにぎりを齧ったベルちゃんが微笑む。
「……初めて食べるけど、酸っぱくて美味しい」
「混沌属性なのは変わっていないが、神聖属性の含有率が増加して邪毒系状態異常に対する耐性が上昇する効果を持っている」
梅干しは体にいいものね。
……なんかハイになってきた。仕方ないよね?
サンドイッチだけじゃなくておにぎりも作れたんだもん。
魔石ごはんって呼んでるんだから、ごはんが作れなくっちゃ駄目だよね。
麦茶やほうじ茶も作れるよー。ひゃっほー!
シオン君に明太子おにぎり(攻撃力上昇)を渡して、わたしはラケルとおかかのおにぎり(知力上昇)を半分こした。
おにぎりは、ほんのり温かい。
このおかかはしょう油とみりんで味付けされていて、ちょっぴり甘め。
カツオ節の旨みがお米に染みている。
「ごしゅじん、美味しいな」
「ふふっ、そうだね」
──混沌属性のダンジョンアントの魔石は、スライムと違って作れるものが限定されていなかった。サンドイッチでもおにぎりでも思いのままだ。
おにぎりも三角形まん丸俵型、どんな形でも作れる。
形によって付与効果が変わることはない。
ただし限界のようなものはあった。
大きさだ。
ダンジョンアントの魔石で作ったサンドイッチは、スライムの魔石で作ったものよりも小さかったのだ。スライムが1だとすると、ダンジョンアントは3分の2くらい。元の魔石の大きさと割合が同じかも。
なんとなくだけど、スライムの魔石で作れるのは百円から二百円のもの、ダンジョンアントの魔石で作れるのは百円以内のもの、のような気がした。
あと付与効果が一時間なのは一緒で、上昇量が違うってシオン君が言ってた。
いろいろ試したあと、明日以降のわたしの予定について考えてくれてから、ふたりは帰っていった。明日の夕食も食べに来るそうです。……たぶん毎日来ると思う。
魔石ごはん目当てでも、心配してくれてるんだからありがたいです。
……友達、って思ってもいいのかな? 図々しいかな?
ラケルと一緒にお風呂に入ってフルーツ牛乳(状態異常耐性上昇)を飲んで、『浄化』の魔道具で歯を磨いて、ベルちゃんにもらった着替えの中から寝巻を出して着て──ラケルの寝息を聞きながらちょっとだけ泣いて、その日は眠りに就いたのでした。
「どうした?」
「ごしゅじん、大丈夫か?」
「……葉菜花?」
みんなして心配してくれるので、ちょっと嬉しかった。
「ごめんなさい、なんでもないの。スライムのときと違うなあって思っただけ」
「本当に大丈夫なのか?」
シオン君に頷いて、もう一度魔力を注ぎ始める。
違うと思ったのは大きさだけじゃない。
スライムの魔石のときは、中にあるなにかを引き出す感じだった。
彫刻家が石や木材の中に形を見出すのって、こんな感じかなって思ってた。
逆にダンジョンアントの魔石は空っぽだった。
中になにもない。
これが含有魔力が少ないってことなのかな。
でもそれだけじゃない。
スライムの魔石が硬い石や木材なら、ダンジョンアントの魔石は粘土だった。
……柔らかくて自由。なんでも作れる気がする。
だったら、だとしたら──
魔力を注いだ魔石が薄く光り、ボコボコと蠢き出す。……やっぱり気持ち悪い。
だけど、それは変成できるということでもある。
さっき火属性のスライムの魔石からタンドリーチキンサンドを作ったんだけど、わたしはそんなもの食べたことがなかった。
家族でカレー屋さんに行ったとき、サイドディッシュのタンドリーチキンを食べたことはあるよ? 美味しかったよ?
でもサンドイッチにしたことはない。ナンにも挟んだことはなかった。
なのになぜか、火属性のスライムの魔石はタンドリーチキンサンドになった。
シオン君やベルちゃんには好評だったよ?
わたしは食べてないけど美味しくないとは言わないよ。というか美味しいに決まってる。
でもね! チキンサンドならもっとほかにもあると思うの!
バンバンジーを挟んでもいいし、唐揚げを挟んでもいい。
イギリス料理のコロネーションチキンを挟んでも美味しそうだと思う。
それでね、今わたしが食べたいチキンサンドは、
鳥肉をしょう油とみりん、砂糖の甘辛なタレで包んで──
「照り焼きチキンサンド?」
シオン君の声が耳朶を打つ。
「美味しそうだぞ」
「……」
わたしの手の中にはそれがあった。
二枚の白いパンに挟まれた赤く染まった鳥肉。
赤いけど辛いだけじゃないの、甘辛いの。
甘みを活かすために少し苦いレタスを添えた、照り焼きチキンサンド。
さすがにこれは譲れなかった。
「シオン君、これ食べても大丈夫だよね?」
「ああ。……混沌属性だな。特出した魔力属性がないからか?」
「ごめんね、ベルちゃん。これはわたしが食べるね」
「……葉菜花の元気があったら、また作って。……美味しそう」
「ラケルには半分あげるね」
「わっふう!」
というわけで、実食です。
「……もぐもぐ……」
「……わふわふ……」
……美味しーい!
でも……コンビニやお店で食べたことのある味じゃない。
フルーツサンドも食べたかったコンビニの味とは違ったんだよね。
『異世界料理再現錬金術』の限界なのかな。
わたしのレベルが1だからかもしれない。
レベルが上がったら完璧に再現できる?……うーん、その場合食べたことのないものはどうなるのかな?
「ごしゅじん、美味しいぞ!」
「良かった」
わたしはロイヤルミルクティーを飲んで、照り焼き味の口内を潤した。
作ったときはほど良い冷たさだったドリンクがぬるくなっている。
錬金術で作ったからって劣化しないわけじゃないみたい。
完成した時点で普通の食べ物と同じになるのかな。
「葉菜花」
照り焼きチキンサンドを美味しく食べて落ち着いていると、シオン君に呼ばれた。
あ、照り焼きチキンサンドは防御力上昇だそうです。
「なぁに?」
「貴様のその力は、この世界を救うぞ!」
「そうなの?」
「俺達がどんなにダンジョンアントを退治しても、地中に潜む何千万匹もの小さなアリがダンジョンコアに触れて進化する。おまけに魔石の処分方法がなかった。ラトニー以外の国はそれがどういう意味を持つのかを考えてもいない。このままでは各地の冒険者ギルドの魔石倉庫がアリ専用になるところだった」
ダンジョンアント怖い。
ただ小さな昆虫のアリは体重の数十倍のものを運べるのだけれど、ダンジョンアントは鍛えた人間と同じくらいの筋力しかないそうです。
自分を倒した相手にもたらす『呪い』などのスキルを得た反動ではないかとのこと。
とはいえ弱いわけではなく、外殻が硬くて倒しにくいモンスターなんだって。
しかも魔石の含有魔力が少ない上に、ダンジョン外で倒したときに得られる魔殻もほとんど価値がないという……うーん、そりゃだれも退治したがらないわけです。
「……コンセプシオン王子」
ベルちゃんが立ち上がり、そっとわたしの背後に立つ。
「あ、ごめん。すぐなにか作るね」
今度はおにぎり作れないかやってみよう。お米食べたい。
「……ありがとう。……コンセプシオン王子」
「どうした、聖女殿」
「……確かに葉菜花の力はすごい。だからといってあなたが葉菜花を利用しようと言うのなら、私は許さない。止めてみせる」
「貴様も利用しているではないか」
「あ、ふたりには助けてもらってるから、役に立てるなら頑張るよ?……はい、ベルちゃん。わたしの故郷のソウルフード、梅干しおにぎりです」
ダンジョンアントの魔石からは、おにぎりもできた。
「ベルちゃんコップ貸して。おにぎりだから麦茶かほうじ茶ができないかやってみる」
「……葉菜花」
「聖女、食わないなら俺に寄越せ。それも美味いぞ。『鑑定』でわかる」
シオン君は真面目な話のときは聖女『殿』で、そうじゃないときは呼び捨てなのかな。
『聖女』で呼び捨てって言うのも変だけど。
ベルちゃんはおにぎりを手にして首を横に振る。
「……これは葉菜花が私にくれた」
「うん、食べてねー。あ、シオン君食べても大丈夫だよね?」
おにぎりだから、なんの根拠もなく大丈夫だと思ってた。
だって、おにぎりだもの。
シオン君が頷いて、ベルちゃんは自分の椅子をわたしの近くに引き寄せてから座り直した。
おにぎりを齧ったベルちゃんが微笑む。
「……初めて食べるけど、酸っぱくて美味しい」
「混沌属性なのは変わっていないが、神聖属性の含有率が増加して邪毒系状態異常に対する耐性が上昇する効果を持っている」
梅干しは体にいいものね。
……なんかハイになってきた。仕方ないよね?
サンドイッチだけじゃなくておにぎりも作れたんだもん。
魔石ごはんって呼んでるんだから、ごはんが作れなくっちゃ駄目だよね。
麦茶やほうじ茶も作れるよー。ひゃっほー!
シオン君に明太子おにぎり(攻撃力上昇)を渡して、わたしはラケルとおかかのおにぎり(知力上昇)を半分こした。
おにぎりは、ほんのり温かい。
このおかかはしょう油とみりんで味付けされていて、ちょっぴり甘め。
カツオ節の旨みがお米に染みている。
「ごしゅじん、美味しいな」
「ふふっ、そうだね」
──混沌属性のダンジョンアントの魔石は、スライムと違って作れるものが限定されていなかった。サンドイッチでもおにぎりでも思いのままだ。
おにぎりも三角形まん丸俵型、どんな形でも作れる。
形によって付与効果が変わることはない。
ただし限界のようなものはあった。
大きさだ。
ダンジョンアントの魔石で作ったサンドイッチは、スライムの魔石で作ったものよりも小さかったのだ。スライムが1だとすると、ダンジョンアントは3分の2くらい。元の魔石の大きさと割合が同じかも。
なんとなくだけど、スライムの魔石で作れるのは百円から二百円のもの、ダンジョンアントの魔石で作れるのは百円以内のもの、のような気がした。
あと付与効果が一時間なのは一緒で、上昇量が違うってシオン君が言ってた。
いろいろ試したあと、明日以降のわたしの予定について考えてくれてから、ふたりは帰っていった。明日の夕食も食べに来るそうです。……たぶん毎日来ると思う。
魔石ごはん目当てでも、心配してくれてるんだからありがたいです。
……友達、って思ってもいいのかな? 図々しいかな?
ラケルと一緒にお風呂に入ってフルーツ牛乳(状態異常耐性上昇)を飲んで、『浄化』の魔道具で歯を磨いて、ベルちゃんにもらった着替えの中から寝巻を出して着て──ラケルの寝息を聞きながらちょっとだけ泣いて、その日は眠りに就いたのでした。
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