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最終章(6年後)

お昼のトップニュース

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54歳になった私は、結城大輔と昼食を共にしていた。すでに彼は私の義父ではなくなっていた。しかし由愛との間に生まれた子供を通じて血縁関係は継続しているし、ビジネスパートナーとして様々な事業を一緒に手掛けるようになっていたこともあり、仕事の時は常に顔を合わせていた。私の保育ビジネスは彼の力を借りて大きくなり、S県南部では最大の幼児・児童を預かり、教育する事業所を展開する会社となっていた。その拠点は傘下に納めた事業所を含めると50か所に及んでいた。世界を襲ったパンデミックにより行き場を失った子供たちを預かり、楽しませながら教育するビジネスは大きく成長を遂げた。不況の大企業から大量の人材を受け入れることが出来たのも成長の一因だった。世の中は暗いニュースが続く中、その日、昼のトップニュースとして流れてきたのは

「ハリウッド映画の脚本入札の最高金額が4半世紀ぶりに更新されました。その記録を打ち立てたのは、日本で生まれ育ち現在はアメリカ国籍を取得している、タケル・アイダ氏の作品です…」
「やったな、たける」ニュースは続いていたが、大輔が声を上げた
「ああ、今回はかなり自信があったようだ」すでにたけるからは入札に脚本を出したことは聞いていた
「しかし、まさかポルノから、一気に一般作品の人気脚本家なんて、あいつも考えたな」
「ああ、ポルノからだったら逆に入り込みやすいと読んでたのはさすがだよ」
「まったくだ」
「あら、たけるくんのニュースでしょ」現在の私の妻、同級生の美代子が隣に座った。由愛と別れた後、彼女と二人の娘、そして私との間に生まれた長男を呼び寄せた。
「さすがね、たけるくん」大輔の妻、由布子と美咲もそばに座った

アナウンサーはたけるの経歴を読み上げた
「タケル・アイダ氏は現在29歳、日本で育ち、現役で東大に合格、卒業後は会社を経営しましたが、奥さんのサキ・アイダさんと渡米、奥さんを主演とした3部作の脚本を手掛けています」
早紀が主演したポルノ映画の内容はさすがに昼のニュースではコメントできないなようだ…
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