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第2章 王への道

二十一話 本戦 第2ブロック

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第2試合です。
更新が遅れて申し訳ありません。
相変わらずゴリゴリと削れるお気に入りに戦々恐々としてます。
その手で世界を覆せ、という作品を始めました。読んでいただけると嬉しいです。

ーーー

『さてさて!最初から怒涛の展開を見せてくれた大武闘大会本戦、第2ブロックの試合を開始致します!』

   再び十五分の間隔を開けた後、セレアさんの放送により、第2ブロックの戦いが幕を開けた。

 彼女のいう通り、第1ブロックの試合がジェイドによって大きな盛り上がりを見せたため、次の試合への期待も高まっている。

 観客たちは、今か今かと次の試合が始めるのを待ち望んでおり、会場全体がソワソワとした雰囲気に包まれていた。

   そんな中、第1ブロックの時と同様、ステージを囲う壁がせり上がって、五人の選手たちが入場する。

 すると、紹介もまだなのに観客が歓声をあげる。「いいですね~」とつぶやきながら、セレアさんが彼らの紹介をした。
 
『エントリーNo.307!その雄々しいタテガミと、刃のような爪から、ついた二つ名は〝獣刃じゅうじん〟!獅子人族の冒険者、レオルドォォォォ!』

「ガルルルル!!!」

 紹介の通り、荒々しい黄金のタテガミが特徴的な大柄の獣人が、唸り声をあげて長い爪をかち合わせる。そこから飛び出た火花に、若い男たちが拳を振り上げた。

『エントリーNo.228!この大陸において、一部にしか流通していない希少な〝銃〟の使い手!黒い森からやってきたダークエルフ、リージア!』

「……」

   胸を押し上げるように腕を組んでいた褐色の肌をした女性が、ピッと顔の横でジェスチャーをする。歓声が半分、唾を飲む音が半分だった。

『エントリーNo.89!その恐ろしい見た目とは反面、地元では有名な自警団のリーダー!よく子供達と遊んでいる姿が路上で見られる魔人族の、フォボーイ!』

   巻き角にコウモリの翼、先端の尖った尻尾を生やした、民族衣装姿の青年が爽やかな笑顔でサムズアップした。すると、子供のものと思われる歓喜の金切り声が聞こえてきた。

『エントリーNo.184!狂人無比なその外皮と、いかなるものをも打ち砕く最強のツノ!ホーンライノセラスの戦士、ダーサ・イー!』

「オオオオオオオ!」

   灰色の皮膚の、精悍な顔つきのサイ頭の魔物が雄叫びをあげる。名前に反して、鍛え上げられた肉体は格好良く、魔物の女性からキャーキャーという声が上がっている。

『そしてラスト!エントリーNo.190!燃え上がる様な赤い肉体、同種の中でも随一の立派な角!上位牛人グレーターミノタウロスの、ゴズ!』

「ブルルルル!」

   筋骨隆々の、深紅の闘牛の様な二足歩行の魔物が、鼻息荒く足を踏みならす。いかにも打たれ強そうで、観客も期待のこもった声援を向ける。

   全員の紹介が終わり、ステージに五人の選手たちが向かい合う。中でも、ダーサ・イーとゴズが互いを殺気立った目で睨み合っていた。

   全員が臨戦態勢になり、会場が静まり返ったところで……。

『それでは、第2ブロック、スタァアァァァトッ!!!』

   セレアさんが腕を振り下ろし、銅鑼が鳴らされて、第2ブロックの試合の皮切りを告げた。

「ルオオオオオ!」
「ブモォオオオ!」

   その瞬間、それまで一触即発の雰囲気だったダーサ・イーとゴズが、雄叫びをあげて同時に、お互いめがけて突進した。

   前項姿勢になっていた二体の魔物は、自慢の突進で相手に頭突きをかました。そして接触した瞬間、衝撃波がステージに広がる。

   そのまま、ダーサ・イーとゴズはガッチリと腕を組み合い、歯を食いしばりながら至近距離で睨み合っていた。

   二体とも足の筋肉が膨張し、神経が浮かび上がっており、一歩も引かない力比べが行われているのがありありとわかった。

『おっとぉ!ダーサ・イー選手とゴズ選手、はやくも正面からの大激突!まるで彼らの闘志が可視化できるほど、凄まじいせめぎ合いです!』
『……もとより、ホーンライノセラスとグレーターミノタウロスは、どちらがより強い突進ができるかでいがみ合っている魔物じゃ。これはある意味、二種族の雌雄を決する戦いでもあるな』

  二人の解説に答える様に、雄叫びをあげながらダーサ・イーと、ゴズは超至近距離のまま殴り合いを始めた。

   片や鎧の様な外皮包まれ、片や丸太のように極太の、二つの拳が振るわれるたびに、歓声が上がる。

   一発どちらかの拳が入れば、お返しと言わんばかりに拳が顔にめり込む。しかし、一瞬もよろめくことなく、拳打の嵐が飛び交っていた。

   その様子はまさに圧巻の一言であり、小細工なしの堂々とした殴り合いに、会場の声援が二つに割れている。

「グルァァアアアァッ !」
「……!」

   一方、〝獣刃じゅうじん〟ことレオルドは、ダークエルフのリージアに襲いかかる。どうやら、弱そうな相手から潰していくつもりらしい。

   対して、リージアは予想していたのか、すぐに反応して腰のホルスターから二丁の銃を引き抜く。ガン=カタの使い手のようだ。

   凄まじい速度で迫るレオルドに、リージアの手に握られたリボルバー式と自動式、二つの型の銃が火を吹いた。

   
ドンッ!ドンッ!


   腹の底に響く様な音を立てて、銃弾がレオルドに迫る。しかし、獅子の獣人はそれを難なく爪で弾き、切り裂いた。

   防御されるのはわかっていたのか、リージアは引き続き銃の引き金を引く。連続して、次々と弾丸がレオルドに飛んで行った。

   だが、レオルドも中々の実力のようで、その体に見合わぬ俊敏な動きで回避、直撃を躱している。

   その代わりに、途切れることのない弾幕によってリージアとの距離は一定に保たれていた。

『ダーサ・イー選手とゴズ選手が熱いせめぎ合いを見せる中、レオルド選手とリージア選手も卓越した技量で熾烈な戦いを繰り広げる!しかし、リージア選手の弾丸が途切れないのはどういうことでしょうか?』
『あれは、自分の魔力、あるいは別の何かから魔力を供給して弾を作ってる。一種の魔道具だな』
『ほう、詳しいですね龍人さん』
『まあ、あれの原型は此奴が作った銃じゃからな。知っていて当然というものだろう』

えっ、そうだったの?

   思わずエクセイザーを見ると、彼女はうむ、と頷いた。まさか俺の〝オールスMr.I〟が原型だったとは。

   たしかに、神眼に見えるあの銃の魔力回路の構造は、俺のオールスのものとよく似ているが……

   しかし、それにはシドとの戦いで木っ端微塵になったオールスを復元して、構造を完全に理解する必要がある。

  もしかして、レイたち【三猿騎】の装備や、スクリーンなどを作った例の人物だろうか。いつか会ってみたいな。



閑話休題。



「グオオオオ!」
「くっ……!」

   俺が思案している間にも、試合は進んでいた。リージアの銃撃を見切り始めたレオルドが、少しずつ近づいていたのだ。

   それまで無表情だったリージアの顔に焦りが浮かび、弾を撃つ速度が速くなる。それでもすでに見切られているのか、レオルドには効かない。

「チッ、温存しておきたかったけど…!」

   すると、舌打ちした彼女は自動式の方の銃を下ろすと、始めて腰にぶら下げていた弾倉を装填する。

   レオルドは、彼女の弾幕が薄くなった隙に跳躍し、一気に距離を縮めた。そして爪を伸ばすと、リージアへと振るう。

『おおっと、ここでレオルド選手の獅子族固有のスキル〝変爪〟が発動した!リージア選手、どう対応する!?』

   観客がハラハラと見守る中、リージアの顔には…全く焦りはなかった。いつの間にか、もとの無表情に戻っている。

   そんなリージアの手にある、弾丸を装填した銃の引き金が引かれた。当然、レオルドに向かって弾丸が飛んでいく。

「……変じよ、〝魔弾〟」

ビキビキビキッ!


   リージアが何かを呟くと、空中で弾丸が膨張し、別のものへと変わっていった。おおっ、と驚く観客。

   一秒にも満たない時間が経過した後、弾丸は……六本の触手がついた、頭頂部の尖った魔物へと変貌していた。

   これには、流石に空中にいるレオルドも驚く。そんなレオルドの鳩尾に、初速以上の速度で魔物がめり込んだ。

   吹き飛ばされ、観客席とステージを隔てる結界にぶつかるレオルド。そのまま場外へと落ちていく。

   が、寸前のところで〝変爪〟によってステージに爪を食い込ませ、縮小させてステージ上へと戻った。

「ぬぅ、面妖な……!」
「まだまだいくよ」

   冷や汗を流すレオルドに、無情にもリージアが連続して引き金を引く。それは、自動式の方の銃。

   撃った弾の数だけ、空中を漂っている魔物と同じ魔物が出来上がり、レオルドに襲いかかった。慌てて逃げるレオルド。

   魔物は追尾能力を持っているようで、逃げるレオルドを延々と追いかけていった。さらに、時折振るわれる〝変爪〟をひらりと避ける。

『なんと!リージア選手が使用した弾丸が魔物に変わり、レオルド選手を追いかけている!一気に形勢が逆転、レオルド選手の方が防戦一方になったしまいました!』
『式神の類だな。きっと弾丸に陣を刻んで、魔力を込めて撃つことで展開するようになってるんだろう』
『ふむふむ。そういえば、【三猿騎】直属の精鋭部隊、〝五芒星ごほうせい〟はもとは式神だったと聞きましたが?』
『ああ、それも龍人のものじゃな。あの時、大精霊が加護を与え、こやつが息を吹き返した時、眷属として生を得た』

   またしても、俺の知らない新事実が舞い降りた。

   俺の作った式神は、式神用の術式を刻んだ五枚の鉄札、それを核として周囲にある物質で肉体を生成する。

   しかし、術式に霊力を送る主人が死ねば、エネルギーの供給は絶たれて、仮初めの体は塵に還り、もとの鉄札に戻る仕組みになっている。

   つまり、俺がシドにやられた時点で彼らは土へと帰ったはずだ。それが、俺が人から神へ昇華した時に、本物の命を得たというのか。

   それにしては、復活してから一度も会ってない。親みたいなものなのだから、顔くらい見せに来るべきじゃないだろうか。

   しかし、名前が無限連鎖において、互いを牽制し合い、魔を封じ込める〝相克〟を司る五芒星とは。

「行け」
「くっ……!」

   それはともかく、式神らしきものを操るリージアは、確実にレオルドを追い詰めていた。

『レオルド選手、ピーンチ!リージア選手の操る魔物によって退路を防がれ、どんどん追い詰められていく!』

   六体の魔物に追いかけられているレオルドは、必死の抵抗を見せたものの、尋常でない回避能力と追尾能力により、体力が尽きかけているようだった。

   そこに、ここぞとばかりに魔物たちが押し寄せて、傷を負わせていく。いつの間にか、リージアのワンサイドゲームになっていた。

   そして、最後の抵抗と言わんばかりに両手を振り回していたレオルドが、取り囲む魔物たちに隠れて見えなくなる。

『おっと、レオルド選手の姿が見えなくなった!これは勝負が決まったか!?』

   セレアさんの言葉に、誰もがレオルドの敗北を予期した、その瞬間。



「グルァァアァアアァアァアア!!!」
   


   雄叫びとともに、魔物たちが包囲の内側から飛び出た無数の刃に貫かれた。

   そのまま、砂になって崩壊すると……中から、変貌したレオルドが姿を現した。上半身が裸になり、肩や額から刃…いや、爪を生やしている。

『あ、あれは!獅子人族に伝わる、肉体変化のスキル!レオルド選手、奥の手を出してきたか!?』

   セレアさんの言葉に答えるように、ゴキリとレオルドは首を鳴らし、リージアにどう猛な笑みを向けた。

「散々やってくれたな、小娘。ここからは本気でいかせてもら「ブモォオオオオオ!?」ごふっ!?」

  が、セリフの途中でなにかが飛来し、それと一緒に、間抜けな声をあげながら場外まで吹っ飛んでいった。

   呆然とするリージアと俺たち。いきなりの展開に、観客の声も一瞬止まる。今、なにが起きた?

   そう思って見てみれば…レオルドは、目を回しているゴズの下敷きになって、ステージ外で伸びていた。

「ウォオオォォオッ !!!」

   そして、ステージの真ん中ではダーサ・イーが両手を振り上げて雄叫びをあげていた。どうやら、勝利をつかんだのはこちららしい。

   ということは…おそらく、ダーサ・イーにぶっとばされたゴズの進路上にたまたまレオルドがいて、巻き込まれたのか。

   なんとも言えない雰囲気が流れるが、そこは実況に命をかける女、と自称するだけあって、セレアさんが声を張り上げる。

『ここでまさかの、ダーサ・イー選手とゴズ選手の戦いに決着がついたァ!それに巻き込まれる形で、不幸にもレオルド選手も場外へ!しかし、戦いにハプニングはつきものです!これもまた、時の運というものなのでしょう!ということで、両選手とも、場外で失格です!』

   バァーン、と銅鑼の音が聞こえると、ようやく客の空気が動いて、ダーサ・イーに歓声をあげた。どうにか持ち直したか。

   さて、ということは…後に残ったのは、ダーサ・イーと、微妙な顔をしているリージア。

   あとは、あの魔人族のフォボイという青年…。

『……あれ、そういえばフォボイ選手は?』
『む、確かにどこにも……』

「はっはっはっはっ!この時を待ってたぜ!」

   俺のつぶやきと、それに反応したエクセイザーに答えるように、フォボイの声が響く。その場所は、上空。

   バッ!と全員が空を見上げれば、そこには無数の黒い魔力玉を周りに浮かせた、フォボイの姿があった。

「レオルドとゴズのおっさんがいなくなりゃ、こっちのもんだ!食らいやがれ、【死雨タナトス】!」

   フォボイが腕を振り下ろすと、それに伴い魔力玉が細い槍状に変化、まるで黒い雨のようにステージに降り注ぐ。

   その威力と数は絶大で、轟音を立てながら瞬く間にステージ上を黒く染め上げた。あっという間に、またステージが見えなくなる。

   やがて、針のむしろのようになったステージから槍が消えると……そこには、大の字に倒れている、ボロボロのダーサ・イーの姿が。

『だ、ダーサ・イー選手ダウン!これまでどこかに隠れていたフォボイ選手の魔法を受け、再起不能となりました!よって、失格です!』

   慌てて、セレアさんが宣言を入れる。またしても鳴り響く銅鑼の音。もはや聞き慣れてきたな。

「へへっ、やったぜ!これで俺の勝ちーー」
「後ろはもらったよ」
「うぉっ!?」
  
   が、油断しきっていたフォボイの背後から、どこからともなく現れたリージアが銃撃をする。

   それはフォボイの翼を貫通し、地に落とした。それを追いかけるように落ちるリージア。

   スタリ、とリージアがステージに降り立つと、腕もかすめたのか手で押さえるフォボイが、ギロリと彼女を睨む。

「くっ、どうやって避けた!?」
「……簡単なこと。貴方が上空にいた時点で、この〝転移弾〟で逃げさせてもらったわ」

   ピン、と見せつけるように魔法陣の刻まれた、青い弾丸を指で弾くリージア。フォボイは悔しげに呻く。

「それで、まだやる?かなり魔力を消費したようだけど」
「……へっ、ここで諦めちゃあ、男が廃るってもんよ!ガキどもも見てるしな!」

   そう言って、フォボイは不敵な笑みを浮かべながら立ち上がった。手元に魔力で槍を作り、構える。

   はぁ、とため息をつきながらも、リージアはどこか楽しげな感情を瞳に乗せて、自分もまた銃を構えた。

「うおおおお!」
「ふっ…!」

   そして、フォボイとリージアの戦いが始まった。それはまるで、最初のダーサ・イーとゴズの姿のように、一歩も譲らない戦い。

   リージアが例の魔物の弾と普通の魔力弾を織り交ぜながら銃撃をすれば、それをことごとくフォボイは弾き返す。

   厄介な特性を持つ魔物の攻撃も、あえて突撃してくるのを待ち、相手の速度を利用して槍で両断するという離れ業も見せつけてくれた。

「おらおらどうした、そんなもんか!?」
「チッ……!」

『リージア選手の猛攻に、一歩も引かないフォボイ選手!さすがの彼女にも、焦燥が見られます!』

   流石に御しきれないと悟ったのか、舌打ちしたリージアは口笛を吹く。すると、二体の魔物がリージアの方へと戻る。

   そのまま、魔物はそれぞれ一体ずつ、銃にまとわりついた。触手を腕にからませると、本体も変形する。

   そして、リージアは両腕に魔物による突撃槍スピアと銃が合体したかのような武器を装着した。

「へっ、随分とゴツくなったな!」
「……悪いけど、ちょっとだけ本気でいくわよ」

   静かに呟いたリージアは、フォボイに突進する。それまで遠距離攻撃一択だったのに、一気に距離を詰めたな。

「はぁあああっ!」
「しっ……!」

   そして今度は、至近距離での戦いが始まる。これもまた非常に激しいもので、観客の熱狂っぷりが凄かった。

 リージアが刺突を繰り出せば、フォボイがそれを切り裂く。そして反撃と言わんばかりに、叩きつけるように槍を振り下ろした。

   それを回避し、リージアがゼロ距離で射撃すれば、再生した翼を使って後方に跳び、魔法で牽制する。

『これはこれは、先ほどの試合に勝るとも劣らない応酬です!このセレア、これほど実況のしがいがある試合を連続で見ることができようとは、感激でございます!』
『まさに一進一退、目を離す隙がないな』

「ふっ……」
「ぐうっ!?」

   しかし、大技を使ったのと、最初の不意打ちが決まったせいか、徐々にリージアが優勢になっていう。

   最初はどうにか互角に見えたものの、完全に押され始め、最後にはレオルド同様、逃げながら応戦する形となる。

 それに、子供の魔物が応援を送り、それに応えるように全力の抵抗を見せるフォボイ。しかし、リージアの方が一枚上手だった。

そして…

「…チェックメイト」

 静かな声とともに、リージアの腕に張り付いていた魔物が高速で射出される。

「ごはっ!」

 それは寸分たがわず、フォボイの胸に直撃して吹き飛ばす。そのまま場外になるかと思ったが、ギリギリのところで止まった。

 カメラが、倒れたフォボイに近づく。すると、スクリーンに白目をむいて気絶しているフォボイの姿が映った。

『試合、終~~~了~~~!』

 それを見たセレアさんが、大きく声をあげた。同時に、審判が銅鑼を鳴らす。

 結界が一瞬発光して、次の瞬間にはステージ上に最初の場所で五人が立っていた。

『第2ブロックを制したのは、ダークエルフのリージア選手!まさに圧巻、見事な駆け引きでした!』
『うむ。全員、とても良い試合であった。観客も、大いに満足じゃ』
『勝ち負けに関わらず、五人ともの力と誇りを感じた、良い戦いだった。会場の皆、どうか大きな拍手を』
 
 悔しげな顔をしていたリージア以外の四人だったが、観客たちに大きな拍手を送られ、まんざらでもなさそうである。

 対して、ほぼ危なげなく勝利を収めたリージアは、余裕の表情で腕を組んでいる。戦うときは、十分に注意しなくては。



こうして、第2ブロックが終了した。



ーーー

次回は怒愚魔がでます。
モチベーション維持になりますので、感想をお願いします。
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