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「ウォールウォール様、私達に知識と養分を与えて下さり有難うございました」
「これから魔王城で活躍する事を祈っているわ。ではね」
二人は一礼をした後、ファーストの元へ行ってしまった。彼等が行った後すぐに別の種が送られてきたのは言うまでもない。
話は替わるけれど、人間達は魔法で名を縛るという話だが、得られた情報では弱らせた魔獣や魔物を隷属化するという魔法があるらしい。
一種の契約魔法で真名が必要なのだとか。ただし、これは人間の方が強いという前提があるようだ。
私は一見とても弱いが、これでも全てのダンジョンの管理者。それにもう何百年も生きているのでどれだけ人間が私を痛めつけようとダンジョンは隷属化できない産物なので隷属化することは不可能らしい。
そして私を殺すと全てのダンジョンは消滅する。
つまり、私が狙われることはないようね。
まあ、人間が魔人を隷属させて扱おうと思っているのが笑えるわ。
一応言っておくけれど、魔人同士で隷属化もありえない。種は制約があるからね。
私やファーストが魔獣を隷属しても意味もない。今とほぼ変わらないし。
他に原初の魔族はいないのかって?
今は原初の魔獣や魔人はほぼいない。ファーストが潰して回ったからね。私とファーストは自分で言うのもなんだが、仲が良いのだと思うわ。
そうそう、ドランとカーくんのこと。
いつもドラゴニートとカーバンクルと呼ぶのだけれど、これからドラゴニートもカーバンクルも数を増やす予定なので二人には名前を付けた。
ドランとカーバンクルのカーくん。呼びやすくていいでしょう? 二人も名前を付けたことを喜んでくれているわ。
「ウォールウォール様、これからどうされますか?新しいダンジョンを造りに行く予定なのでしょうか?」
不安そうに聞いてきたのはドランだ。ダンジョンが完成したからここにおいていかれるとおもっているのかしら?
「そうね、でもまだまだ貴方達が暮らしやすいような場所を増築する予定なのよ。ここの暮らしはどうかしら?」
「ここはとても暮らしやすいです。妖術師が作ってくれた人間の変身薬で街まで出掛けて人間の暮らしを学んで楽しいです」
「ドランやカーくんには私の護衛に付いてもらいたいの。あとの貴方達はリーダーとしてこのダンジョンを発展させていって欲しいのよ。
定期的に帰ってくるから必要な物を逐一教えて欲しいし、空間も広げるわ?」
「私達も付いて行きたいです!! ですが! 任された以上ここは涙を飲んで……このダンジョンを地上よりも発展した都市にさせる事を誓います!」
私はアラクネに種を多めに渡して新たな場所を探すことになった。
今回はドランもカーバンクルのカーくんもいるので空からのんびりと瘴気の濃い場所を探せばいいのよね。
一応はファーストにも連絡済み。場所が被るのは良くないもの。
ファーストからの返事は『好きなところで好きなように造ればいい』と素っ気なかったわ。
ただ、返事と共にイヤーカフが送られてきた。魔力を凝縮させて作った宝石があしらわれている。
この魔力を使えば魔人の二人や三人は簡単に倒せそうな魔力。有難く耳に付けるとカーくんがやきもちを焼いている。
「キュィ!(僕だって主を守れるほど強いんだよ)」
私はヨシヨシと頭を撫でるとカーくんは満足したようだ。
人間の活動時間は日が出ている時間帯なので夜まで待ち、夕闇と共にダンジョンの外に出た私達。
スッと飛び上がろうとするとドランが私を抱えて飛び上がった。
「ウォール様は魔力を使う必要はありません。私がお抱えします」
「あら、ドラン。有難う。じゃぁ、まず南に向かってちょうだい。あっちの方に瘴気の渦が見えるのよね」
「畏まりました」
もちろん私はカーくんを抱えている。龍魔人であるドランは翼を広げて南の方へ飛び始めた。
魔人の目は人間よりもよく見えているので夜に活動しようが朝に活動しようが特に問題はない。
一時間位飛び続けた頃、瘴気の渦が目視できるまでにやってきた。
「ウォール様、瘴気の渦が見えてきました。どうされますか?」
「そうね、もう少し近寄ってみようかしら?」
私達は渦の手前まで足を運ぶ。瘴気は地上から上空に吹き出すような感じに見えている。森の中で吹き出す瘴気。
瘴気の影響で周辺は草も生えていないようだ。
「ここで新たなダンジョンを造りますか?」
私は瘴気の中にズカズカと入っていき、濃度を感じてみる。
「うーん。ここはいまいちね。ダンジョンは造れるけど、そこまで大きな物を作るほどの濃さじゃないわ。でも放置していると魔獣が湧くかもしれないから種を植えておくかしら」
私は魔植物の種数種類を取り出し、土の上に蒔いた。するとすぐに種はシュルシュルと根や葉を出し始める。植物であれば長生きだし、森の中では人間に切り倒されることはないだろう。
「ここは魔族のオアシスになりそうね」
私の出した魔植物の果実は魔獣の怪我の回復を早めてくれるのだ。瘴気が吹き出していることもあり、病気や怪我をしている魔族はここで癒すことが出来る。
「ウォール様、確かにここは良い場所ですね。人間達が湯治に行くように魔族もここに来ると良さそうですね」
「そうね! 良い事言ったわドラン。魔獣や魔人がくれば植物達にハンモックと果実を出す様に命令しておくわ」
これほど人間の住む街から遠ければ魔獣達が集まっても問題はないわ。
むしろ瘴気が減って人間にも良い事。
「これから魔王城で活躍する事を祈っているわ。ではね」
二人は一礼をした後、ファーストの元へ行ってしまった。彼等が行った後すぐに別の種が送られてきたのは言うまでもない。
話は替わるけれど、人間達は魔法で名を縛るという話だが、得られた情報では弱らせた魔獣や魔物を隷属化するという魔法があるらしい。
一種の契約魔法で真名が必要なのだとか。ただし、これは人間の方が強いという前提があるようだ。
私は一見とても弱いが、これでも全てのダンジョンの管理者。それにもう何百年も生きているのでどれだけ人間が私を痛めつけようとダンジョンは隷属化できない産物なので隷属化することは不可能らしい。
そして私を殺すと全てのダンジョンは消滅する。
つまり、私が狙われることはないようね。
まあ、人間が魔人を隷属させて扱おうと思っているのが笑えるわ。
一応言っておくけれど、魔人同士で隷属化もありえない。種は制約があるからね。
私やファーストが魔獣を隷属しても意味もない。今とほぼ変わらないし。
他に原初の魔族はいないのかって?
今は原初の魔獣や魔人はほぼいない。ファーストが潰して回ったからね。私とファーストは自分で言うのもなんだが、仲が良いのだと思うわ。
そうそう、ドランとカーくんのこと。
いつもドラゴニートとカーバンクルと呼ぶのだけれど、これからドラゴニートもカーバンクルも数を増やす予定なので二人には名前を付けた。
ドランとカーバンクルのカーくん。呼びやすくていいでしょう? 二人も名前を付けたことを喜んでくれているわ。
「ウォールウォール様、これからどうされますか?新しいダンジョンを造りに行く予定なのでしょうか?」
不安そうに聞いてきたのはドランだ。ダンジョンが完成したからここにおいていかれるとおもっているのかしら?
「そうね、でもまだまだ貴方達が暮らしやすいような場所を増築する予定なのよ。ここの暮らしはどうかしら?」
「ここはとても暮らしやすいです。妖術師が作ってくれた人間の変身薬で街まで出掛けて人間の暮らしを学んで楽しいです」
「ドランやカーくんには私の護衛に付いてもらいたいの。あとの貴方達はリーダーとしてこのダンジョンを発展させていって欲しいのよ。
定期的に帰ってくるから必要な物を逐一教えて欲しいし、空間も広げるわ?」
「私達も付いて行きたいです!! ですが! 任された以上ここは涙を飲んで……このダンジョンを地上よりも発展した都市にさせる事を誓います!」
私はアラクネに種を多めに渡して新たな場所を探すことになった。
今回はドランもカーバンクルのカーくんもいるので空からのんびりと瘴気の濃い場所を探せばいいのよね。
一応はファーストにも連絡済み。場所が被るのは良くないもの。
ファーストからの返事は『好きなところで好きなように造ればいい』と素っ気なかったわ。
ただ、返事と共にイヤーカフが送られてきた。魔力を凝縮させて作った宝石があしらわれている。
この魔力を使えば魔人の二人や三人は簡単に倒せそうな魔力。有難く耳に付けるとカーくんがやきもちを焼いている。
「キュィ!(僕だって主を守れるほど強いんだよ)」
私はヨシヨシと頭を撫でるとカーくんは満足したようだ。
人間の活動時間は日が出ている時間帯なので夜まで待ち、夕闇と共にダンジョンの外に出た私達。
スッと飛び上がろうとするとドランが私を抱えて飛び上がった。
「ウォール様は魔力を使う必要はありません。私がお抱えします」
「あら、ドラン。有難う。じゃぁ、まず南に向かってちょうだい。あっちの方に瘴気の渦が見えるのよね」
「畏まりました」
もちろん私はカーくんを抱えている。龍魔人であるドランは翼を広げて南の方へ飛び始めた。
魔人の目は人間よりもよく見えているので夜に活動しようが朝に活動しようが特に問題はない。
一時間位飛び続けた頃、瘴気の渦が目視できるまでにやってきた。
「ウォール様、瘴気の渦が見えてきました。どうされますか?」
「そうね、もう少し近寄ってみようかしら?」
私達は渦の手前まで足を運ぶ。瘴気は地上から上空に吹き出すような感じに見えている。森の中で吹き出す瘴気。
瘴気の影響で周辺は草も生えていないようだ。
「ここで新たなダンジョンを造りますか?」
私は瘴気の中にズカズカと入っていき、濃度を感じてみる。
「うーん。ここはいまいちね。ダンジョンは造れるけど、そこまで大きな物を作るほどの濃さじゃないわ。でも放置していると魔獣が湧くかもしれないから種を植えておくかしら」
私は魔植物の種数種類を取り出し、土の上に蒔いた。するとすぐに種はシュルシュルと根や葉を出し始める。植物であれば長生きだし、森の中では人間に切り倒されることはないだろう。
「ここは魔族のオアシスになりそうね」
私の出した魔植物の果実は魔獣の怪我の回復を早めてくれるのだ。瘴気が吹き出していることもあり、病気や怪我をしている魔族はここで癒すことが出来る。
「ウォール様、確かにここは良い場所ですね。人間達が湯治に行くように魔族もここに来ると良さそうですね」
「そうね! 良い事言ったわドラン。魔獣や魔人がくれば植物達にハンモックと果実を出す様に命令しておくわ」
これほど人間の住む街から遠ければ魔獣達が集まっても問題はないわ。
むしろ瘴気が減って人間にも良い事。
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