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「お父様、ただ今戻りました」
馬車を走らせる事丸2日。
ようやく帰って来れたわ。執事のセルゲイも父も笑顔で迎えてくれた。もう帰る事は叶わないと諦めていたのに。嬉しくて涙が出てしまう。
「カーナ、お帰り。今日はカーナの好きな物を沢山用意したぞ。とにかく荷物を置いて少し休みなさい」
「はい、お父様。アイサもお疲れ様。しっかり休んでね」
駆け上がるように自分の部屋に入る。机に置かれた猫のペーパーウェイトも、窓際に置かれたクマのぬいぐるみも置かれたまま。何も変わっていない。
あぁ、戻ってきたんだわ!
今日くらいはお行儀が悪くても良いの!私はベッドへダイブする。
「カーナ様、お行儀が悪いですよ」
振り向くとこの家に長年勤めている侍女長のファナがいた。アイサの母でもあるの。
「ファナ!私帰ってきたの!もう、家から出ないからっ、もう部屋からも出ない。ゴロゴロするの。今日一日怠け者になるから」
私は甘えるようにファナに我儘を言うとファナはまぁまぁ、と笑っている。まだまだ自分は甘えん坊なんだなって思ってしまうわ。でも嬉しいの。
この日はすぐにお風呂に入り、お父様と食事をして疲れが出たみたいで気絶するように眠ってしまったわ。我ながらまだまだ子どもね。
1週間程我が家を満喫した後、父の執務室へ向かう。
「どうしたんだいカーナ」
お父様は微笑みながら私の話を聞いてくれている。
「お父様。実は私、領地でやりたい事がありますの。我が家の領地はほぼ平坦な土地で川も流れ、災害も少ない農業を中心とした土地ですわ」
父はうんうんと頷いている。セルゲイも和やかにお茶を淹れてくれているわ。
「そうだね。領民のお陰で大分潤ってはいると思うよ」
「私、第一側妃のマイア様と領地の話をよくしているのですが、婚姻当初から側妃の予算を貯めていたのです。その費用を使い、道路整備をしようと思っていますの。
道は王都への道とマイア様のフォレスト公爵家へ向かう道の整備ですわ。そして灌漑設備を整備し農産物の収穫量を増やしたり、特産品となるような味のよい物を作っていこうと思っていますの」
父もセルゲイもうんうんと頷いて聞いてくれている。反対しなくて大丈夫なのかと私が心配になるほど。
「残念ながら私1人では手が足りそうに有りませんの。私と共に仕事が出来る人が欲しいですわ」
「良いだろう。カーナの好きにしなさい。セルゲイの息子はどうだろう?カーナの3つ上で優秀だと聞いている。執事科も最優秀生徒だったはずだ。セルゲイ頼んでも良いか?」
「勿論です。旦那様。私の息子ローランを明日にでも呼びつけます」
「セルゲイ有難う!ローランって言うのね。ふふっ。楽しみだわ」
そうして私は新たに私専属の執事として迎えたローランと領地改革に取り組む事にした。
道路の整備についてはマイア様に相談すると『共同でしましょう』と話が進み、王都からフォレスト公爵領、ライン侯爵領を通り、王都に帰るまでの道を整備する事で決まったの。
侯爵領から王都までの領地は2つ伯爵領を挟んでいたのだけれど、2家とも側妃の行う事業にすぐに賛同してくれたわ。流石権力!持つべきものは使わないと損ね。
そうそう、道を大規模で整備する傍らに線路を敷いて貰ったの。マイア様は『トロッコね!私もギッコンバッコンしてみたかったの!』と喜んでいたけれど馬車鉄道を考えてましたと話すと『あぁ、そっちよね』とちょっと恥ずかしそうにしていたわ。
ローランに道路整備事業の方をお願いした。
私はというと、領地の農業にも詳しい庭師長のタンザと一緒に前世実家でしていた肥料作りや野菜の育て方、輪作の仕方などをまとめた。
もちろん領地に足を運び、タンザと一緒に領民達に丁寧に教えて回った。最初は不審がられていたけれど、灌漑設備の設置、植物の育ちや収穫量が増えた事で支持されるようになったと思うの。
馬車を走らせる事丸2日。
ようやく帰って来れたわ。執事のセルゲイも父も笑顔で迎えてくれた。もう帰る事は叶わないと諦めていたのに。嬉しくて涙が出てしまう。
「カーナ、お帰り。今日はカーナの好きな物を沢山用意したぞ。とにかく荷物を置いて少し休みなさい」
「はい、お父様。アイサもお疲れ様。しっかり休んでね」
駆け上がるように自分の部屋に入る。机に置かれた猫のペーパーウェイトも、窓際に置かれたクマのぬいぐるみも置かれたまま。何も変わっていない。
あぁ、戻ってきたんだわ!
今日くらいはお行儀が悪くても良いの!私はベッドへダイブする。
「カーナ様、お行儀が悪いですよ」
振り向くとこの家に長年勤めている侍女長のファナがいた。アイサの母でもあるの。
「ファナ!私帰ってきたの!もう、家から出ないからっ、もう部屋からも出ない。ゴロゴロするの。今日一日怠け者になるから」
私は甘えるようにファナに我儘を言うとファナはまぁまぁ、と笑っている。まだまだ自分は甘えん坊なんだなって思ってしまうわ。でも嬉しいの。
この日はすぐにお風呂に入り、お父様と食事をして疲れが出たみたいで気絶するように眠ってしまったわ。我ながらまだまだ子どもね。
1週間程我が家を満喫した後、父の執務室へ向かう。
「どうしたんだいカーナ」
お父様は微笑みながら私の話を聞いてくれている。
「お父様。実は私、領地でやりたい事がありますの。我が家の領地はほぼ平坦な土地で川も流れ、災害も少ない農業を中心とした土地ですわ」
父はうんうんと頷いている。セルゲイも和やかにお茶を淹れてくれているわ。
「そうだね。領民のお陰で大分潤ってはいると思うよ」
「私、第一側妃のマイア様と領地の話をよくしているのですが、婚姻当初から側妃の予算を貯めていたのです。その費用を使い、道路整備をしようと思っていますの。
道は王都への道とマイア様のフォレスト公爵家へ向かう道の整備ですわ。そして灌漑設備を整備し農産物の収穫量を増やしたり、特産品となるような味のよい物を作っていこうと思っていますの」
父もセルゲイもうんうんと頷いて聞いてくれている。反対しなくて大丈夫なのかと私が心配になるほど。
「残念ながら私1人では手が足りそうに有りませんの。私と共に仕事が出来る人が欲しいですわ」
「良いだろう。カーナの好きにしなさい。セルゲイの息子はどうだろう?カーナの3つ上で優秀だと聞いている。執事科も最優秀生徒だったはずだ。セルゲイ頼んでも良いか?」
「勿論です。旦那様。私の息子ローランを明日にでも呼びつけます」
「セルゲイ有難う!ローランって言うのね。ふふっ。楽しみだわ」
そうして私は新たに私専属の執事として迎えたローランと領地改革に取り組む事にした。
道路の整備についてはマイア様に相談すると『共同でしましょう』と話が進み、王都からフォレスト公爵領、ライン侯爵領を通り、王都に帰るまでの道を整備する事で決まったの。
侯爵領から王都までの領地は2つ伯爵領を挟んでいたのだけれど、2家とも側妃の行う事業にすぐに賛同してくれたわ。流石権力!持つべきものは使わないと損ね。
そうそう、道を大規模で整備する傍らに線路を敷いて貰ったの。マイア様は『トロッコね!私もギッコンバッコンしてみたかったの!』と喜んでいたけれど馬車鉄道を考えてましたと話すと『あぁ、そっちよね』とちょっと恥ずかしそうにしていたわ。
ローランに道路整備事業の方をお願いした。
私はというと、領地の農業にも詳しい庭師長のタンザと一緒に前世実家でしていた肥料作りや野菜の育て方、輪作の仕方などをまとめた。
もちろん領地に足を運び、タンザと一緒に領民達に丁寧に教えて回った。最初は不審がられていたけれど、灌漑設備の設置、植物の育ちや収穫量が増えた事で支持されるようになったと思うの。
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