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「アイサ、お茶を淹れて頂戴。疲れたわ」
私はアイサの淹れたお茶を飲みながら考える。どちらが先に領地に帰る事になるかといえばやはりマイア様よね。
彼女は国から無理矢理婚約者を取り上げられて嫁がされたんだもの。公爵も王家に対して恨みは深いと思う。
その点でいえば私は婚約者がいなかったから救いなのかも。特に好きな人も居なかったしね。
アインス王太子に対しても最初からナリスタ様と恋愛病に冒されてこちらを見向きもしなかったせいか『好き、嫌い』もないのよね。面倒事を押し付けやがって位の気持ち。私の離縁はマイア様の後で充分よ。
……どうだっていいわ。
急がなくてもお父様とこれからは暮らしていけるのだし。
もちろん慰謝料はたんまり貰うことは忘れないわ。そう考えているとマイア様の侍女が部屋へやって来た。
「マイア様からの伝言です。今から中庭で女子会を開催しませんか?との事です」
……ん?
「えっと、マイア様は本当に女子会と仰ったのかしら?」
「はい。その通りで御座います」
侍女は無表情のまま答える。
「分かりました。着替えたらすぐに参りますとお伝えして下さいな」
私は急いでラフな格好で中庭に出るとマイア様は私に気づいて手を振っていた。
「遅くなりましたわ」
「こちらの方こそ急にお誘いしてごめんなさいね」
そう言ってお茶会が和やかに始まる。私はさっき違和感を感じた事を確認するために口にしてみる。
「そういえば、綿菓子頭のヒロインはバッドエンドに進んでしまいましたわね」
マイア様は途端に目を見開き、驚いた様子。
あぁ、彼女も私と同じなのね。
これ以上は王宮の侍女達に聞かれるのはまずいので手紙でやりとりでもしますか。お互い目を合わせて頷き合う。
「マイア様。先程の陛下との謁見で領地に帰っても良いと仰ってましたがいつ頃帰られるつもりですか?」
「そうね、ナリスタ様の処分が決定してからかしら。決定前に帰っても良いのだけれど、見届けるのは側妃としての最後の責任って事で。領地に帰ってからはやりたい事が沢山ありますの。今からワクワクしていますわ」
マイア様がそう言った時に私も今後のプランを考えてみる。前世の知識が活かせるかも知れないわ。
「確かにそうですわね!私の実家は農家でしたから色々と役に立ちそうです。あぁ、私も早く帰りたくなってきましたわ」
マイア様は私の様子を見てふふふと微笑っている。
「幸いにも私とカーナ様の領地は隣同士、行き来出来そうですわ」
「私、今から楽しみですわ。でも公爵家ともなればすぐ婚約者を充てがわれるのではないですか?」
「婚約破棄に離縁。貰い手はございませんわ。我が家は金銭的にも困ってはいないので後妻にさせるくらいなら領地で好きなように過ごしても良いと言われておりますの。
その点で言うとカーナ様の方が婿を迎えなければいけないのでは?」
「そうですわね。けれど身を削ってまで子孫を望むより、親戚から優秀な子供を跡取りにした方が父も喜びますわ」
2人で楽しく微笑み合いながらこれからの事やたわいのない会話を続けていると侍女や護衛に緊張が走った。
侍女達が向いている方に2人で視線を向けるとアインス様がこちらに向かって歩いて来ている。
どうしたことかしら?
今まで一度たりとも私達のお茶会に顔を出した事がないというのに。マイア様の侍女は急いで席を用意し、アイサがお茶を淹れ直している。
「ごきげんようアインス殿下。どうなさいましたの?」
「君達が楽しそうにお茶をしているのが見えたからね」
「あら、私達よりナリスタ様の所へ行かないといけないのではなくて?」
「これは手厳しい。君達を蔑ろにしていた私のせいだね。ナリスタは、もう牢屋へ入ってしまったよ。ずっと暴れていてね、薬で今は落ち着かせている。
私はマイアにもカーナにも向き合って来なかった。これから少しでも機会を持とうと思ったんだ」
これには私もマイア様も目を瞬いだ。
「アインス様、私達は離縁する身。今更気を使わなくても良いですわ。」
ふと微笑んでいたアインス様が真顔になった。初めて見るその表情に私達は言葉を継げないでいるとアインス様の口から意外な言葉が聞こえた。
「私はナリスタを愛していないんだ。出会った頃から。」
えっ!?
これには私もマイア様も目を見開き、二の句が継げなかった。
「分からないんだ。ナリスタと出会った時から身体が勝手に動いて喋りたくもないのに勝手に口が動く。長年の婚約者に婚約破棄を伝えたのも本意ではない。
ナリスタと婚姻してから少しずつ動けるようになっていたのだが、ナリスタと目が合うと途端に自由が効かなくなる感じだったんだ。ナリスタが牢に入れられてからは不思議と体の自由が効くようになった。」
それってゲームの強制力的な何かなの!?
乙女ゲームの方だったのかな?私は1人記憶の中のラノベをもう一度検索してみるがヒットはしなかった。
シナリオは終わったという事かしら。
私はアイサの淹れたお茶を飲みながら考える。どちらが先に領地に帰る事になるかといえばやはりマイア様よね。
彼女は国から無理矢理婚約者を取り上げられて嫁がされたんだもの。公爵も王家に対して恨みは深いと思う。
その点でいえば私は婚約者がいなかったから救いなのかも。特に好きな人も居なかったしね。
アインス王太子に対しても最初からナリスタ様と恋愛病に冒されてこちらを見向きもしなかったせいか『好き、嫌い』もないのよね。面倒事を押し付けやがって位の気持ち。私の離縁はマイア様の後で充分よ。
……どうだっていいわ。
急がなくてもお父様とこれからは暮らしていけるのだし。
もちろん慰謝料はたんまり貰うことは忘れないわ。そう考えているとマイア様の侍女が部屋へやって来た。
「マイア様からの伝言です。今から中庭で女子会を開催しませんか?との事です」
……ん?
「えっと、マイア様は本当に女子会と仰ったのかしら?」
「はい。その通りで御座います」
侍女は無表情のまま答える。
「分かりました。着替えたらすぐに参りますとお伝えして下さいな」
私は急いでラフな格好で中庭に出るとマイア様は私に気づいて手を振っていた。
「遅くなりましたわ」
「こちらの方こそ急にお誘いしてごめんなさいね」
そう言ってお茶会が和やかに始まる。私はさっき違和感を感じた事を確認するために口にしてみる。
「そういえば、綿菓子頭のヒロインはバッドエンドに進んでしまいましたわね」
マイア様は途端に目を見開き、驚いた様子。
あぁ、彼女も私と同じなのね。
これ以上は王宮の侍女達に聞かれるのはまずいので手紙でやりとりでもしますか。お互い目を合わせて頷き合う。
「マイア様。先程の陛下との謁見で領地に帰っても良いと仰ってましたがいつ頃帰られるつもりですか?」
「そうね、ナリスタ様の処分が決定してからかしら。決定前に帰っても良いのだけれど、見届けるのは側妃としての最後の責任って事で。領地に帰ってからはやりたい事が沢山ありますの。今からワクワクしていますわ」
マイア様がそう言った時に私も今後のプランを考えてみる。前世の知識が活かせるかも知れないわ。
「確かにそうですわね!私の実家は農家でしたから色々と役に立ちそうです。あぁ、私も早く帰りたくなってきましたわ」
マイア様は私の様子を見てふふふと微笑っている。
「幸いにも私とカーナ様の領地は隣同士、行き来出来そうですわ」
「私、今から楽しみですわ。でも公爵家ともなればすぐ婚約者を充てがわれるのではないですか?」
「婚約破棄に離縁。貰い手はございませんわ。我が家は金銭的にも困ってはいないので後妻にさせるくらいなら領地で好きなように過ごしても良いと言われておりますの。
その点で言うとカーナ様の方が婿を迎えなければいけないのでは?」
「そうですわね。けれど身を削ってまで子孫を望むより、親戚から優秀な子供を跡取りにした方が父も喜びますわ」
2人で楽しく微笑み合いながらこれからの事やたわいのない会話を続けていると侍女や護衛に緊張が走った。
侍女達が向いている方に2人で視線を向けるとアインス様がこちらに向かって歩いて来ている。
どうしたことかしら?
今まで一度たりとも私達のお茶会に顔を出した事がないというのに。マイア様の侍女は急いで席を用意し、アイサがお茶を淹れ直している。
「ごきげんようアインス殿下。どうなさいましたの?」
「君達が楽しそうにお茶をしているのが見えたからね」
「あら、私達よりナリスタ様の所へ行かないといけないのではなくて?」
「これは手厳しい。君達を蔑ろにしていた私のせいだね。ナリスタは、もう牢屋へ入ってしまったよ。ずっと暴れていてね、薬で今は落ち着かせている。
私はマイアにもカーナにも向き合って来なかった。これから少しでも機会を持とうと思ったんだ」
これには私もマイア様も目を瞬いだ。
「アインス様、私達は離縁する身。今更気を使わなくても良いですわ。」
ふと微笑んでいたアインス様が真顔になった。初めて見るその表情に私達は言葉を継げないでいるとアインス様の口から意外な言葉が聞こえた。
「私はナリスタを愛していないんだ。出会った頃から。」
えっ!?
これには私もマイア様も目を見開き、二の句が継げなかった。
「分からないんだ。ナリスタと出会った時から身体が勝手に動いて喋りたくもないのに勝手に口が動く。長年の婚約者に婚約破棄を伝えたのも本意ではない。
ナリスタと婚姻してから少しずつ動けるようになっていたのだが、ナリスタと目が合うと途端に自由が効かなくなる感じだったんだ。ナリスタが牢に入れられてからは不思議と体の自由が効くようになった。」
それってゲームの強制力的な何かなの!?
乙女ゲームの方だったのかな?私は1人記憶の中のラノベをもう一度検索してみるがヒットはしなかった。
シナリオは終わったという事かしら。
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