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4章 三浦幸子28歳 母としての戦い

40話 保育園と理学療法(2)

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※今回、幼児の理学療法の話が出てきますがあくまで筆者の子供の経験や他の子の経験談、理学療法士の先生から自分の子がお世話になった時に聞いた話を書いてます。医学的根拠はありません。一例ぐらいに思って下さい。





一 1歳6ヶ月 修正1歳3ヶ月 10月 一

今日は月に一度のフォローアップ診察の日だ。幸子は休みの希望を出しており、柚を病院に連れて行く。


医師は柚の様子を見ながら最近の様子を聞く。特に保育園に通うようになってからの成長についてだ。

保育園に入園して半年、初めは怖がり保育士に抱っこばかりしてもらっていた柚だったが、最近やっとはいはいが出来るようになった。保育園で他の子と一緒に居る事が刺激になっているのだろう。

しかし他の子は歩いているが、柚一人はいはいをしている。そして明らかに体格も違う。柚は三月末の早生まれ、同級生達が既に生まれてミルクを飲んだり、離乳食を食べたり、早い子は歩き出している中、柚はまだ保育器の中にいたのだ。しかも修正では六月生まれ、元々学年すら違うのだ。他の子と半年から一年の違いがあるのは当然であるが、1歳児クラスの半年から一年の差は明らかに大きかった……。

そんな周りの影響から負けん気が促されていくか、自分より大きな子達が歩く姿に萎縮するかはその子次第だが柚の場合後者だろう。寝返りが怖くて絶対にやらないようにしていた。それぐらい臆病な性格だから。


「うーん、柚ちゃんは慎重派だからな。ただ立ち上がりしないのは心配だな……。」

「……はい。」


柚は生後十日の時に無呼吸発作で五分呼吸が止まっている。脳への影響があってもおかしくなかった。


「あ、いや。多分怖いだけだと思いますよ。ほら、自分より大きな子が周りに多数いたら萎縮もしますし、その子達が転けて泣いている姿を見たら立ち上がるのは怖い事だと思い込んでしまうでしょう。立ち上がるのも、歩くのも楽しいと知ってもらいましょう。……そこで提案なのですが『理学療法』に行きませんか?」


『理学療法』
病気や障害などで運動発達が遅れている子供、中度から最重度の障害により体が上手く動かせない子供や大人、事故や病気などで後遺症が残り体が上手く動かせなくなった人、加齢により体が不自由になってきた高齢者などに運動の発達を促したり、体が拘縮しないように体を動かしたりするものだ。

担当しているのは『理学療法士』と呼ばれる国家資格を持った医療技術者。医師とはまた違い子供の体の発達や、障害により体が上手く動かせない人達の体の動き、後遺症によってどこが動きにくいかの知識、加齢により体の衰えにより不自由になる体などの知識があり一人一人に合わせた対応を取っている専門家だ。


「ぜひお願いします。」

幸子は即答する。仕事もあるが柚の為に出来る事は何でもしたい。そう思っているからだ。

「お仕事大丈夫ですか?」

「平日休みの希望は取りやすいですから。」


「そうですか、では頼んでおきますね。」

「お願いします。」

理学療法は医師が必要と判断し、医師の指示のもと始まる。こうして柚のリハビリが始まる。



一 二週間後 リハビリ一回目 一


幸子と柚は総合病院の別館にあるリハビリテーションの窓口に行く。普段はあまり縁がなく、幸子は初めて足を踏み入れる。

周りには様々な人が居た。怪我をしたのか松葉杖を使用し歩く人、パジャマ姿で車椅子に乗っている高齢者と車椅子を押す理学療法士、普通の車椅子と違い特注で作られているであろう車椅子に乗る子供、そして一歳過ぎたぐらいの一見すると問題ないように見える子供が母親らしき女性に連れられ帰って行く姿を見かけた。


「三浦柚ちゃんですか?」

「はい。」

幸子は慌てて返事をする。


「初めまして、理学療法士の内藤です。」


50代ぐらいの女性が話しかけられ、幸子はその姿に安堵する。柚は父親と担当の小児科医以外の男の人を見るだけで泣くようになっていた。医師はそれを知っており、女性にして欲しいと頼んでくれていた。……そしてそれは柚の為だけでなく幸子の為でもあった。

「では行きましょう。」


待合室から中に入って行く。そこにはエアロビバイク、マット、大きな鏡、大人用歩行器、歩く練習に使う二本の棒の平行棒、心電図モニターなどが置いてありリハビリ施設だという事がよく分かる。

そこを通り抜け小児専用の個室に通される。そこには絵本やおもちゃがいっぱい置いてある。


しかし柚は初めての場所、初めての人に緊張し過ぎて泣いてしまう。


「す、すみません。」

幸子は柚を抱きしめ宥める。


「大丈夫ですよ、初めはみんな泣きますから。」

理学療法士はそんな事ぐらいで動じない。


「家にあるおもちゃこの中にありません?」

「えーと、あ、このガラガラうちにもあります。」

「じゃあこれね。ほら柚ちゃんガラガラだよ。」


柚は泣きつつガラガラを見ている。同時に理学療法士の顔もチラチラ見ており、渡されると渋々受け取りガラガラと鳴らし始める。

しばらくし柚とマットに座るように話す。幸子は戸惑いつつ下ろすとやはり泣く。次は膝の上でガラガラで遊び少しずつ慣らしていく。

慣れてきた所で新しいおもちゃを渡し、柚が泣き、幸子が遊び方を教えて覚えていく。また慣れると他のおもちゃを渡し、泣き、幸子が教えるを繰り返す。理学療法士は柚の様子を見てあまり近付かない。こうして一回目のリハビリの時間が終わる。


「すみません、ずっと泣いていて。」

「みんなそうですよ。まずはこの場所と私を覚えてもらう事が先ですから。リハビリは三回目から五回目ぐらいからですね。」

「え?そうなのですか?」


理学療法士は話す。初めての場所で知らない人に無理矢理やらせても怖いだけ。まずは場所と理学療法士に慣れてから。とにかく嫌な記憶を残すと怖くて嫌な場所だと覚えてしまう。まずは柚との信頼関係を作る事から始めるとの事だった。

まずは場所に慣れさす為に、家にあるおもちゃで安心させつつ違うおもちゃを出して慣れさす。理学療法士は遠くに居て柚を刺激しない。考えられた対応だったのだ。

「あ、ありがとうございます。」

「次も来てね、柚ちゃん。」


柚は理学療法士をじっと見ている。まだ警戒はしているが、母親が話している姿をじっと見ており大丈夫な相手だと少し心を許す。





一 一週間後 リハビリ二回目 一


「こんにちは。」

じっと柚は理学療法士を見ている。どうやら考えているようだ。


理学療法士も分かっている。だから今回は積極的に話しかける。

「柚ちゃん、この絵本面白いよ。」

音が鳴る絵本を鳴らして見せ、柚も恐る恐る触る。音が鳴ると喜び始める。その後も柚が好きそうなおもちゃを出していき一緒に遊び始める。

その後はわざと柚の手の届かない所に新しいおもちゃを置き、さりげなく取りに行かせる。体を使った遊びを取り入れたり、一緒に体操をすると柚も真似をするが立ち上がる気配はやはりなかった。こうして本日のリハビリが終わる。


「大体の体の動きが分かりました。やはり立ち上がりはしませんでしたね。次回から立ち上がりの訓練から始めましょう。」

「……やはりそうですか……。」

幸子は落ち込む。寝返りの時みたいに意図的にしないのかもしれないと考えていたが、やはり立ち上がりは出来ないのだと……。


「あ、でも教えると案外早いと思いますよ。慎重な子は一度大丈夫だと覚えると出来るようになるので。寝返りもそうだったみたいですし、今回もそうじゃないかなと。」

「ありがとうございます。」

柚は理学療法士に手を振る。二回目で凄い変わりようだ。


幸子はただ理学療法士のやり方に脱帽している。ここまで慣らし、動きも見られるように働きかけ柚が乗る気にさせる為に上手く接していた。家ではまず無理だった。リハビリに通わせて良かったと思うのだった。




一 リハビリを初めて二週間 リハビリ三回目 一

柚はすっかり理学療法士が好きになっていた。一緒に体操をし、抱っこしてもらい、次は大きいボールに乗せてもらった。それは柚より大きく柔らかいボールでうつ伏せに乗り上下に揺らしていく。さりげなく足を床に付けていく事により立ち上がりが怖くないようにしていくリハビリだ。

柚は笑っており全然気付いていない。そして気付く、いつの間にかボールが横にあり自身で立っていた事に。転ける事もなく一人立っている。


(柚ー!)

誠は未来を知っているが喜ぶ。柚の初めてを目の当たりにする事が少なかったから……。


柚はにっこり笑う。座って見る世界と立って見る世界、全然違ったのだろう。その後もボールで遊びながら足を床に付け立つ事の楽しさを教えていく。

そして柚はボールを使わずに一人で立つ事が出来る。そこからは早かった、物を掴み立つ事を教えたら一回で出来た。やはり体は出来ていたが、怖くてやらないだけだった。


本日のリハビリが終わる。家でも立ち上がりの練習をさせ、歩きたがったら好きにさせたり手伝って良いとの事だった。ただ一つ、無理強いは絶対しない事、嫌がったら止めるように言われた。無理にして良い事は何一つないとの事だった。

幸子は焦らないと心に決め家での訓練をする。立ち上がりは喜んでやっていたが、やはり歩き出しはしない。練習したい気持ちを抑え、立ち上がりが出来るようになった柚を誠と共に褒める。




一 リハビリを初めて三週間 リハビリ三回目 一

理学療法士は柚の立ち上がりを見て、体は出来ていると判断し、次の段階に進めると決める。一番小さいリハビリ用の歩行器を持って来てまずは乗せずに歩行器に付けたおもちゃで遊ばせる。次に乗せてみて柚の反応を見る。喜ぶ為にそのまま乗せたままおもちゃで遊ばせる。ここまできてやっと歩行器を動かしてみる。ゆっくりと……。

この時に大事なのは、つま先歩きにならないように「かかと」から「つま先」に足を地面に付ける事だ。この動きが大事であり、やはり柚は歩く体も出来ていた。後は歩く楽しさをゆっくり覚えていくだけだ。

今日は焦らず歩行器で部屋中を歩き回る。世界がまた広がったのか柚は目を輝かせる。こうして歩く楽しさを学んでいく。


これからは早かった。家でも歩きたがり、幸子が手を持ってあげるとヨチヨチ歩き始めたのだ。前に転けても手を付き、尻もちをついて泣いてもめげずに歩きだし一ヶ月のリハビリで立ち上がりから一人歩きまで覚えてしまった。


その後もリハビリは続き、床に座った状態から立ち上がりまた座れるか?椅子に座ったり立ち上がったり出来るか?歩き方が不自然じゃないか?体幹がしっかりしているか?一つずつ見ていく。


リハビリから三ヶ月、修正1歳6ヶ月。体の動きは問題ないとなった柚は理学療法を卒業となる。


「ありがとうございました。」

幸子はお礼を言い頭を下げる。


「柚ちゃん頑張りましたね。じゃあね、バイバイ。」


柚は笑って手を振る。今日でお別れだと分かっていないみたいだ。


二人は帰って行くが理学療法士は表情が暗い。何かを察しているが、自分が話す事ではないと弁えているから何も言わない。


……そう柚はまだ問題を抱えている。そして誠も幸子もその事にまだ気付いていない……。










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