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到着!
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迷路みたいに意地悪く入り組んだ道は、ケンの「ついたぞ!」の一言で突然に開けた。
人通りは、多くもなく少なくもなくといったところ。一本の長い道にたくさんの店が並んでいて、よく見ればここは近所の商店街である。
どこをどう進めばこんな所に出るのかは全く分からないけど、ここからならなんとか家に帰れるから安心だ。
だけど……、辺りはもう暗くなり始めている。今日は長そでの服を着てくればよかったかな。
「よーし、まずは腹ごしらえでもしようか」
「腹ごしらえって、何食べるつもり?」
今日の晩ご飯はぼくの好きなカレーだっていうのに。
「行きつけの店があるんだよ。ほら、そこに見えるちっぽけな店さ」
飛行機――隕石の時みたいにケンは、本当にちっぽけな店を指差した。割りばしの置かれたカウンターが突き出していて、見た目はなんだか屋台みたい。
「たこ焼きかお好み焼きしかないのだがね、それがなかなか美味しいんだ」
「だけど……、ぼく、お金なんて持って来てないよ」
屋台に向かって歩き出していたケンは、振り向いて顔をしかめた。
「なにぃ? 準備が悪いなぁ、軍資金ぐらいは持ってくるものだぞ」
軍資金なんて、ちょっと大げさじゃないかなぁ。
「まあいい、たこ焼きを頼んで、いくつか分けてやるよ」
そんなに、今何かを食べることが重要なのかな。いったいケンは何時まで、地球を救うために動くつもりなんだろう。
まだ一つだって、地球を救うようなことをしていないっていうのに。だいたい、地球を救うなんていったい何をすればいいのだろうか。
また来たよ、オジサン。ケンが呼びかけると、ちょび髭のオジサンが屋台から顔を突き出した。
「おお、また来たねぇ、ケン」
どうやらケンは、本当にこの店の常連だったらしい。
正面まで行くと、店の中は屋台みたいな外観とは違って広いのだということが分かった。木の板を張っただけのカウンターの向こうには、たこ焼きを焼くための道具が置かれている。
「お、今日は友達を連れてきたのかい」
言いながら、オジサンはちょび髭にたまった汗をぐいぐいと拭った。
「ああ、ハイ。ケンくんのトモダチです」
オジサンの態度が明るすぎて、気圧されたぼくの返事はぎこちなくなった。
「よぉし、おごってやろう! たこ焼きかお好み焼き、どっちがいい?」
どういう訳か、ケンまで突然明るくなる。
「え、でもさっきたこ焼きを分けるって……」
「気にするな。それよりも、さぁ、どっちにする?」
どうしたんだろう。ケンときたら、さっきまでとは比べ物にならないくらい明るい。
「ええっと……じゃあ……」
屋台にかけられた、たった二つのメニューを見ると、たこ焼きの方がお好み焼きよりも二十円安い。
「じゃあ、たこ焼きで」
「よし分かった。オジサン、たこ焼き二つね」
ケンは陽気な声で注文をする。オジサンはヨシキタ、と言いながら、カウンターの下からたこ焼きを二皿取り出した。
――なぁんだ。
今作るんじゃないのか。ちょっと残念。
皿を両方とも受け取ると、ケンはぼくに片方の皿を差し出した。作りたてではないものの、たこ焼きの頭の上ではたくさんのカツオ節が踊っていた。
人通りは、多くもなく少なくもなくといったところ。一本の長い道にたくさんの店が並んでいて、よく見ればここは近所の商店街である。
どこをどう進めばこんな所に出るのかは全く分からないけど、ここからならなんとか家に帰れるから安心だ。
だけど……、辺りはもう暗くなり始めている。今日は長そでの服を着てくればよかったかな。
「よーし、まずは腹ごしらえでもしようか」
「腹ごしらえって、何食べるつもり?」
今日の晩ご飯はぼくの好きなカレーだっていうのに。
「行きつけの店があるんだよ。ほら、そこに見えるちっぽけな店さ」
飛行機――隕石の時みたいにケンは、本当にちっぽけな店を指差した。割りばしの置かれたカウンターが突き出していて、見た目はなんだか屋台みたい。
「たこ焼きかお好み焼きしかないのだがね、それがなかなか美味しいんだ」
「だけど……、ぼく、お金なんて持って来てないよ」
屋台に向かって歩き出していたケンは、振り向いて顔をしかめた。
「なにぃ? 準備が悪いなぁ、軍資金ぐらいは持ってくるものだぞ」
軍資金なんて、ちょっと大げさじゃないかなぁ。
「まあいい、たこ焼きを頼んで、いくつか分けてやるよ」
そんなに、今何かを食べることが重要なのかな。いったいケンは何時まで、地球を救うために動くつもりなんだろう。
まだ一つだって、地球を救うようなことをしていないっていうのに。だいたい、地球を救うなんていったい何をすればいいのだろうか。
また来たよ、オジサン。ケンが呼びかけると、ちょび髭のオジサンが屋台から顔を突き出した。
「おお、また来たねぇ、ケン」
どうやらケンは、本当にこの店の常連だったらしい。
正面まで行くと、店の中は屋台みたいな外観とは違って広いのだということが分かった。木の板を張っただけのカウンターの向こうには、たこ焼きを焼くための道具が置かれている。
「お、今日は友達を連れてきたのかい」
言いながら、オジサンはちょび髭にたまった汗をぐいぐいと拭った。
「ああ、ハイ。ケンくんのトモダチです」
オジサンの態度が明るすぎて、気圧されたぼくの返事はぎこちなくなった。
「よぉし、おごってやろう! たこ焼きかお好み焼き、どっちがいい?」
どういう訳か、ケンまで突然明るくなる。
「え、でもさっきたこ焼きを分けるって……」
「気にするな。それよりも、さぁ、どっちにする?」
どうしたんだろう。ケンときたら、さっきまでとは比べ物にならないくらい明るい。
「ええっと……じゃあ……」
屋台にかけられた、たった二つのメニューを見ると、たこ焼きの方がお好み焼きよりも二十円安い。
「じゃあ、たこ焼きで」
「よし分かった。オジサン、たこ焼き二つね」
ケンは陽気な声で注文をする。オジサンはヨシキタ、と言いながら、カウンターの下からたこ焼きを二皿取り出した。
――なぁんだ。
今作るんじゃないのか。ちょっと残念。
皿を両方とも受け取ると、ケンはぼくに片方の皿を差し出した。作りたてではないものの、たこ焼きの頭の上ではたくさんのカツオ節が踊っていた。
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