落ちこぼれで凡人冒険者の俺が最強魔神メイドを手に入れる！後悔してももう遅い！

第10話「終末の炉②」

俺は捕虜にしたダークエルフから本隊の居場所を聞き出した。
レイアとメイルはその場に残してエデンとダークエルフ本隊へ向かう。
最初はドワーフの本隊に連絡しようかと思ったがやめた。
なぜならエデンの魔法の邪魔になるからだ。

俺は今までエデンを普通の魔法使いの様に扱っていたが、
それが無駄な行動だったのだ。
彼女は最強の魔神メイド、最前線で一人で戦うのが一番効率がいいのだ。

俺達がある程度進むと長身の人影達が見えた。
背格好からしてドワーフではない、つまりダークエルフだ。
俺はそれを確認するとエデンに一掃しろと命じて下がった。

「承知したぞ、ご主人様」

ダークエルフの本隊、使役している魔獣も含めれば千はくだらない大軍勢に、
エデンはにやりと笑うと、一人で真向と向かっていった。
そして当然飛んでくる魔法や矢等の攻撃の雨。
エデンはそれを物ともせずに進んでいく。
さすが最強の魔神メイド、かすり傷一つついていない。

「そろそろか･･･」

エデンの魔法の間合いに敵が入ったのを見て、これから攻撃が始まる事を察し、物陰に隠れた。
情けないと思うかもしれないが、それが戦略的にも一番なのだ。

「さあ、ダークエルフ共、ダンスの時間だ」

エデンが詠唱を始めると巨大な魔方陣が前方に現れる。
その間もダークエルフ達の攻撃が続くが彼女は微動だにしない。

「魔の王の力よ、我が拳に顕現せよ！」

詠唱が終わると彼女の拳に同調した巨大な魔力の拳が現れる。
冒険者の塔でドラゴンを倒した時と同じ魔法だ。
エデンは一撃二撃三撃と拳で殴り潰し薙ぎ払い、ダークエルフの軍を蹂躙していく。
4、5分経った頃にはダークエルフの軍勢が全滅していた。

「じゃあさっそく報告にいくか」

鍛冶場に寄った俺とエデンはレイア、メイルと合流する。
その時である。
終末の炉のある扉の方から野太い悲鳴が上がった。
恐らく警護に当たっていたドワーフの物だろう。
俺達は終末の炉の入り口へと向かった。

―

予想的中。
終末の炉の見張りは倒され、扉は開いていた。
俺達は警戒しながらも、扉の向こうへと足を進めた。