36 / 82
第一章 サイキックディヴァージュ
第四話 サイコメトリーコンピューター
しおりを挟む「全員、殺すだ? 言ってくれるぜ。俺がいる限りそうはさせないぞ、ベリアル!」
RYOはギラリと青い瞳を照らし鋭い眼光で殺人現場を見遣っている。表情には人が死んだ悔しさもにじみ出ているようだ。RYOは何やら懐のポケットから取り出した
「な、ノート型パソコン?」
「サイバーアイズが極秘に開発した『サイコメトリーコンピューター』よ」
「サイコメトリーコンピューター?」
翔が思わず驚嘆する。コンピューターにはサイバーアイズの紋が入っていた。
「コンピューターから光が出ているでしょ。あれは特殊な光で当たった物のデータを浸透して調べることができるの。検死、DNA、死亡推定時刻も調べることが可能よ」
光が死体の隅々まで当たっていく。一同が信じれない光景に唖然となった。野志穂警視はこれが当たり前なのか、驚いた様子もない。
「黙ってろ、捜査中だ」
パソコンの画面に死人の色々な情報が出てくる。
カタカタとRYOはキーボードを巧みなスピードで叩(たた)いていく。
「解読完了!」
一呼吸置いてRYOは重い声で言い放った。画面に解読完了のコマンドが出た。
「検死データが出た」
一同が息を呑む。そして、RYOが話を切り出した。
「死亡推定時刻は昨日の1900~1940分の間だな」
顔を少し曇らし身体を少し後ろの方へRYOは動かす。黙考しているようだ。
なにか直感があるのか?
翔とカナが口を突っ込みたそうな雰囲気だ。
「昨日? 私たちがくる前ね。RYO、ダイイングビジョンはどうなってるの?」
野志穂警視は腕組みをしたままRYOに尋ねる。
「待て、今、サイコメトリーコンピューターで解読している!」
RYOがキーを弄(いじ)ると画面に何か出た。
「ダイイングビジョン?」
若菜が不思議な顔をして声を漏らした。
「なんのことなのかな?」
カナが続けて不思議そうな顔で見つめながらいった。
「私が説明するわ。サイコメトリーコンピューターで解読できるのは、人間の身体能力や、記憶、殺された時の人間の身体のコンディション、人が死ぬ間際に覚えていた例えば、殺される寸前の記憶をこのサイコメトリーコンピューターで見ることが出来るわ。その死ぬ直前の被害者が伝えたかった記憶のことを私たちサイバーアイズでは、ダイイングビジョンと呼んでいるわ」
野志穂警視が若菜とカナの方を向いて説得力のある声で説明していく。
「要するに死者のダイイングメッセージのイメージ記憶が見えるってことっスね」
翔が閃いたようにポンと手を叩き、暗い雰囲気を一新するような明るい声でいう。
「ま、簡単に言えばそういうことね」
「それじゃ、犯人なんてすぐに判っちゃうジャ……!」
慌てて喋ろうとした翔の口を若菜が手で押さえた。
「(翔君、捜査中よ、黙ってて)」
若菜は黙っててと声に出さず翔に目利きした。
「そう簡単にはいかないのよ」
「ダメだ、人体プログラムを弄(いじ)られてイメージビジョンが全てブロックされている」
RYOは悔しそうに舌打ちし巧みにキーボードを叩いていく。
「人体プログラム? 何ですか?」
カナが不思議そうな顔で訊いた。
「サイコメトリーコンピューターでいう、人の情報のことよ。人の情報をインフェルノは特殊な技術で人間の海馬をいじくり分からなくすることが可能なの」
野志穂警視は人差し指を差し出し淡々と説明していく。
「そんなことが可能だなんて」
近くにいた櫻井が口を開いた。近くに三日月という女の人もいた。
「(人体プログラムヒート光を使ったのか)かなり、手練(てだ)れだな。やるな、ベリアル!」
RYOは次々に巧みに叩き、サイコメトリーコンピューターでブロックを解いていく。
「なら、海馬に対抗プログラムネクサス光を送り防御プログラムをいじくるまでだ」
何やら複雑なコードをサイコメトリーコンピューターに入力すると特殊な光が出て死体に当たっていく。
何やら送った瞬間、サイコメトリーコンピューターにイメージ映像が映し出された!
☆☆
第五話につづく。10/19UP予定。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
「蒼緋蔵家の番犬 1~エージェントナンバーフォー~」
百門一新
ミステリー
雪弥は、自身も知らない「蒼緋蔵家」の特殊性により、驚異的な戦闘能力を持っていた。正妻の子ではない彼は家族とは距離を置き、国家特殊機動部隊総本部のエージェント【ナンバー4】として活動している。
彼はある日「高校三年生として」学園への潜入調査を命令される。24歳の自分が未成年に……頭を抱える彼に追い打ちをかけるように、美貌の仏頂面な兄が「副当主」にすると案を出したと新たな実家問題も浮上し――!?
日本人なのに、青い目。灰色かかった髪――彼の「爪」はあらゆるもの、そして怪異さえも切り裂いた。
『蒼緋蔵家の番犬』
彼の知らないところで『エージェントナンバー4』ではなく、その実家の奇妙なキーワードが、彼自身の秘密と共に、雪弥と、雪弥の大切な家族も巻き込んでいく――。
※「小説家になろう」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
深淵の迷宮
葉羽
ミステリー
東京の豪邸に住む高校2年生の神藤葉羽は、天才的な頭脳を持ちながらも、推理小説の世界に没頭する日々を送っていた。彼の心の中には、幼馴染であり、恋愛漫画の大ファンである望月彩由美への淡い想いが秘められている。しかし、ある日、葉羽は謎のメッセージを受け取る。メッセージには、彼が憧れる推理小説のような事件が待ち受けていることが示唆されていた。
葉羽と彩由美は、廃墟と化した名家を訪れることに決めるが、そこには人間の心理を巧みに操る恐怖が潜んでいた。次々と襲いかかる心理的トラップ、そして、二人の間に生まれる不穏な空気。果たして彼らは真実に辿り着くことができるのか?葉羽は、自らの推理力を駆使しながら、恐怖の迷宮から脱出することを試みる。
支配するなにか
結城時朗
ミステリー
ある日突然、乖離性同一性障害を併発した女性・麻衣
麻衣の性格の他に、凶悪な男がいた(カイ)と名乗る別人格。
アイドルグループに所属している麻衣は、仕事を休み始める。
不思議に思ったマネージャーの村尾宏太は気になり
麻衣の家に尋ねるが・・・
麻衣:とあるアイドルグループの代表とも言える人物。
突然、別の人格が支配しようとしてくる。
病名「解離性同一性障害」 わかっている性格は、
凶悪な男のみ。
西野:元国民的アイドルグループのメンバー。
麻衣とは、プライベートでも親しい仲。
麻衣の別人格をたまたま目撃する
村尾宏太:麻衣のマネージャー
麻衣の別人格である、凶悪な男:カイに
殺されてしまう。
治療に行こうと麻衣を病院へ送る最中だった
西田〇〇:村尾宏太殺害事件の捜査に当たる捜一の刑事。
犯人は、麻衣という所まで突き止めるが
確定的なものに出会わなく、頭を抱えて
いる。
カイ :麻衣の中にいる別人格の人
性別は男。一連の事件も全てカイによる犯行。
堀:麻衣の所属するアイドルグループの人気メンバー。
麻衣の様子に怪しさを感じ、事件へと首を突っ込んでいく・・・
※刑事の西田〇〇は、読者のあなたが演じている気分で読んで頂ければ幸いです。
どうしても浮かばなければ、下記を参照してください。
物語の登場人物のイメージ的なのは
麻衣=白石麻衣さん
西野=西野七瀬さん
村尾宏太=石黒英雄さん
西田〇〇=安田顕さん
管理官=緋田康人さん(半沢直樹で机バンバン叩く人)
名前の後ろに来るアルファベットの意味は以下の通りです。
M=モノローグ (心の声など)
N=ナレーション
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
どうかしてるから童話かして。
アビト
ミステリー
童話チックミステリー。平凡高校生主人公×謎多き高校生が織りなす物語。
____
おかしいんだ。
可笑しいんだよ。
いや、犯しくて、お菓子食って、自ら冒したんだよ。
_____
日常生活が退屈で、退屈で仕方ない僕は、普通の高校生。
今まで、大体のことは何事もなく生きてきた。
ドラマやアニメに出てくるような波乱万丈な人生ではない。
普通。
今もこれからも、普通に生きて、何事もなく終わると信じていた。
僕のクラスメイトが失踪するまでは。
グリム・リーパーと呼ばれる男
くろとら
ミステリー
グリム・リーパー周囲からそう呼ばれている大学生海道零時はある事件をきっかけに同じ大学に通う女子生徒大原葵と知り合うことになった。
零時は持ち前の推理力と人には無い特別な特殊能力を駆使して警察でも頭を抱える怪奇事件に次々と挑むことになった。
様々な怪奇事件を通して零時の周りには次第に様々な人達が集まって来るようになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる