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第二章 鬼ヶ島鬼神面殺人事件
第十八話 失楽園の悪魔
しおりを挟む悲劇が起き、すぐさま、涼は、警察手帳をみせ、現場介入した。
目が鋭くなった。
「警視庁、サイバーアイズだ! これは殺人かもしれねー、皆、被疑者だ、みんな帰すわけにはいかねー」
「警視庁? キミはどうみたって、高校生、なぜそんな人が」
近くにいたコンサート現場責任者が言った。名札があり、荒木という名前が涼たちの目に映った。
涼は動じることなく一呼吸おいて話し出した。
「へ、色々理由があってな。よし、手袋っと」
涼は颯爽とスーツのポケットから手袋を取り出し、夏元靖と思われし輩の死体に近づき、鬼の面に手をやった。
「この鬼の面だけ外すぜ」
「きゃー、な、夏元靖せんせ」
「あのQLBの音楽プロデューサーの?」
外した瞬間、悲鳴が飛んだ。当然関係者は涙し、姫君恭子も泣いていた。
いったい誰がこんなことをしたのか、見当もつかない状況だった。
後ろの方にいた翔がおもむろに口を開いた。
「夏元靖が死んでるってよ」
「これから、どうするんだろうね、曲作り、確か夏元せんせが作詞作曲してたよね」
若菜の口にも衝撃と同時に悲しみが浮かんでいた。
涼は何かを黙考し、洞察していた。
☆☆
涼が被疑者を引き留めているうちに、しばらくの時間が経ち、野志穂警視が到着した。
愛車は赤のフェアレディz34ニスモだった。
「着いたわ。ここね、鬼ヶ島ホテルっていうのは」
野志穂警視はそういいながら華麗にスポーツカーから降りた。大きな胸が下りる反動でぷるんと揺れた。
野志穂警視は髪をかき上げながらいった。
「もう、お風呂入ったところに殺人事件何て、レディ困っちゃうわ」
そういい、野志穂警視は胸の谷間に挟んでいた、スマホを手に取り、耳にあてた。
何かを発信していたようだ。
RRR・・・
「もしもし、涼、今着いたわ。どこにいるの?」
「あ、野志穂警視すぐにきてくれ。正面右の大きな宴会場だ。俺たちもそこにいる」
「わかったわ。すぐに向かうわ。ねぇねぇ、どう?」
野志穂警視は大きな胸の谷間にスマホを思いっきり近づけてアップにうつした。
「わぁ、な、なにすんだ、テレビ電話だからって谷間アップにしないでくれ」
「ま、顔赤らめちゃってかわいい♡みたいくせに」
涼には刺激が強すぎて、顔が一瞬で真っ赤になった。
「おニューのブラ付けてるのよ、良い香水の匂いがするわよ。エルメスよ。え♡る♡め♡す♡」
Yシャツの胸元がボタンが外されており、開いて思いっきりブラがみえていた。色っぽい声で野志穂警視はいい、ウィンクを涼にした。
涼は余りにもみにくいので、視線をそらしながらいった。
「と、とにかくだ、早急にきてください」
「あらま、つれない子ね。イイ匂いするでしょ♡」
イイ匂いはするのだろうが、スマホからは当然匂いもするはずはなかった。
涼は照れながらスマホのテレビ電話を切った。
☆☆
翔は、その涼たちのテレビ電話の模様を隣でじっと見やっていた。
「さすが、日本一セクシーな警視ですね。登場も赤のフェアレディz34ニスモで、華麗で。憧れるっス♡」
「翔、そういうけど、いつもほぼ電話したら風呂入ってるんだぜ」
涼は嘆息をついた。そのときカナが言い寄ってきた。
「せんぱい鈍いです」
「ホント鈍い」
若菜も近づいてきて、手のひらを返した。
「何が?」
「やっぱり、IQ10です」
カナがそういったときだった。
「お♡ま♡た♡せ♡」
「あなたは?」
ホテル支配人、霞という名札がついてる人がえらいセクシーダイナマイトなスタイルの女性にいった。
この女性はもちろん、あの人、野志穂警視だった。
「私は警視庁特秘任務室サイバーアイズの警視よ。これから、現場介入するわ。ここにいる人みんな、被疑者よ。一人とも帰すわけにはいかないわ」
野志穂警視はセクシーなポーズをし、つややかな声で警察手帳をみせながらいった。
一瞬、周りがどよめいた。
「警察?」
荒木が声を出した時だった。
「きゃー」
「どうした?」
涼は急いで声のした方を見やりいった。
「夏元せんせの腕の血がつながってる先に血文字が」
その驚いた女性が指さしていた先には、えぐいものが壁にかかれていた。
「インフェルノ? 失楽園の再会だ?」
なんと、夏元せんせの腕から血が流れていた先には、血で壁にイタリア語で地獄とかかれており、失楽園の再会だと、あおり文字がかかれていた。
犯人が書き残した字だと思えるが、まだ何やら他にもかかれていた。
涼が調べるように、目を凝らして壁に近寄った。
「叛逆悪魔ダゴン?」
そのときだった。涼の隣に来て、野志穂警視が横やりを入れた。
「間違いないわ。ブラックリストに載ってる犯罪組織インフェルノのメンバーよ」
「ダゴンて、あの失楽園の悪魔の?」
涼が摩訶不思議な顔をして驚いた。確かに神話の悪魔の名だ。
だがしかし、夏元せんせの殺人と何が関係しているのか、さっぱり糸口が掴めないようだった。
野志穂警視が、あごに手をやり、セクシーなポーズをとり、冷静な瞳で啖呵をきった。
「コードネームがダゴンのようね」
そのときだった。涼の様子が急変した。
「ふざけやがって、俺が解いてやる」
「せ、せんぱい」
「髪の色が薄い青に変わった?」
「涼? (ちがう、もうひとりの涼?)」
若菜の直感はあたっていた。涼は別人格の通称蒼き竜にサイキックトランスしていた。
RYOは死体の近くにあったワイヤーを拾い上げて不敵な笑みをみせた。
「ワイヤーがちぎれてるな」
「そんなの重さでちぎれたのじゃないのか」
「ホテル支配人、それは違うな。ワイヤーは何重にも編まれてる。一トンの質量がかかろうが、そう簡単には人間の体重なんかでは切れない」
RYOはそういい、一呼吸おいて、天井を見上げた。
「だとしたら、考えられるのは、犯人が細工をしたんだ」
そして、ワイヤーの切り口を触った。
「どこかに、その証拠があるはずだ」
何かにRYOはきがついたのか、冷徹にニヤリと笑い、鋭利な蒼い目の眼光を光らせるように探し出した。
☆☆
連載再開です。おまたせしました。
気に入ってもらえたら幸いです。何でも感想くださいね、作者の書く励みになります。
毎日連載していきます。応援よろしくお願いします。
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