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第八章 堕天使レビが遺したもの
第百五話 残酷な血の海
しおりを挟むファイたちがアジトから外に出向いてみると、なんと民が大勢地面に倒れていた。
血溜まりもでき、息をしてない人、死にかけの人、惨状が目に見えてとれた。
ひどい、余りに残酷すぎる。まさに地獄絵図だった。
「な、これは?」
ファイは惨状をみて言葉を失った。口が塞がらず、目を逸らした。
レギンが拳を握った。
「なんてこった、血の海か。民が皆殺しされている」
「おっさん、大丈夫だ。皆の魔法力が持てば、回復魔法で助けることができる」
ファイが考察したように言った。何かファイには憶測があるようだが。
レギンが言葉を濁した。
「しかし、死んでいたら」
「アザレ副将軍を助けたときみたいに蘇生魔法か蘇生アイテムをつかうしかねーな」
確かにファイはアザレが生き返ったのを目の当たりしている。
しかし、人数が人数。姫様たちの魔法力が続く限りしか助ける方法はなかった。
いかに回復魔法を満遍なく倒れてる人にかけれるかが決死から突出させる方法だった。
そのときだった。
ファイが何かにきづいた。
「ん?」
なんと地面に這いつくばっていた子供が弦に足を引っ張られて、地面をひきずられた。
「きゃー、パノラ!」
「おねぇちゃーん」
一瞬だった。引きずられ、デッドプラントに宙刷りにされた。
「くそ、女子供もおかまいなしか」
ヒョウが助けようと剣を構えながら舌打ちした。
その子のお姉さんは必死だった。一歩間違えれば、死に至る。
涙を流しながらお姉さんは助けを求めた。
「誰か助けてください。妹が、妹が、植物の怪物に」
「あの、吊るされてる子供か。災いをまいてしまったのは僕だ。僕が助ける」
ウィードが怒り、顔色が変わり、剣を構え突っ切っていく。
弦が待ち受けていた。それを次から次へとウィードは鬼神のように斬っていく。
その矢先だった。
「くはは、フォライー様を介し、魔王アガスラーマ様より巨大な魔力を頂戴致した。我が生命体は内に秘めたる力で更に進化をすることができる、くははは、お前らに我は倒せん」
ドロットした声で、デッドプラントはほざく。
弦のしなりが激しくなった。まるで植物の蜘蛛の巣だ。
「減らず口が過ぎる野郎だ! そらよ、受け取れ」
ヒョウだ、ヒョウが言った瞬間、デッドプラントの頭上高く跳躍していた。
大きく肩を振り被った。
「氷斬巨刀!」
瞬足に氷の斬撃はデッドプラントの触手のような弦に飛んだ。
しかも、斬り方が広範囲だった。しかし、殺された人がいるところは避けていた。
ヒョウにも後で助かる見込みがあると判っていたのだ。
街の弦がはびこっていたところ全てに斬撃が飛んだ。
一瞬のうちに弦が切れて、カチカチに凍って動きを封じた。
「なに、弦が凍った!」
「今だ、風魔弾!」
ドロットした声が響き渡ると、ウィードが動いた。
魔剣を構え、魔剣の魔闘気がでる口から風の弾をデッドプラントにお見舞いした。
デッドプラントは弦を飛ばそうとした。
だが、四方八方に広がっていた弦は、ヒョウの攻撃で大方切られ凍らされていた。
「なんの、それしき!」
デッドプラントは対空で残りの弦をはびこらせた。
ウィードはこれを読んでいた。わざと弦に当てることなく、被弾させなかった。
「躱したようだが、ウィンドブリッドは爆発だけじゃないぞ」
ウィードは目を閉じ、念動した。
「風よ、出でよ」
「なに、弦が切れる」
なんと、風の弾から突風が巻き起こった。例のあの風の術だ。
「(かまいたちか)」
ファイはそれをじっと見遣っていた。
その瞬間、かまいたちで子供を吊るしていた弦が切れた。
女の子は真っ逆さまに下に落ちていく。
高度はかなり高かった。大人が落ちても死に至る高さだった。
女の子は泣き声を上げた。
「きゃー」
「パノラ!」
おねぇさんが悲鳴を上げ、目を閉じた時、ウィードがお姫様抱っこでパノラを宙から救すくいあげて地面に着地した。
このウィードの行動で女の子は窮地を脱した。
ウィードはゆっくり女の子を地面に下ろし言葉を紡いだ。
「おっと、すまないな。僕のせいだ」
「あ、ありがとうございます(カッコいい)」
「お礼はいいから、早く逃げろ、ここを立ち去れ」
ウィードは優しくいい、立ち去れのジェスチャーをした。
目の前には形相が型崩れした植物のやからが媒介していた。
☆☆
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