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第十章 復活されし魔神
第百三十話 フォライーの真の姿
しおりを挟む「おお、力が満ち溢れる。この姿は久々じゃ」
「なんて、巨体だ」
目の前には変貌したフォライーがいた。
尻尾があり、胴体には手が何本もついている。それもカニのように長い手が。
まさに、魔獣そのものだった。
キュラが第一声を放ち、駆け出した。
「みな、やるぞ、奴を倒す」
「オネイロス、アザレ副将軍、レイティス、テアフレナは後続で姫様を警護してくれ」
「はい、キュラ様」
「ねぇ、あたしたちは」
「お前たちも姫様を守ってあげてくれ」
キュラは構えながらテアフレナの方を向きいった。
ニミュエとボンは物陰に隠れた。
テアフレナも魔法の仮詠唱に入り、緊急対策をしている。
キュラが剣を構え言った。
「魔の結界が張られていて、像を壊せないなら、奴を倒す」
「そういうことだな」
「だが、手ごわいぞ、理屈で言っても」
近くにいたヒョウとファイがキュラ様に相槌をうった。
キュラはそれを聞くと、動いた。
「みなのもの、私に続け! やぁあぁ」
「氷斬撃(アイススラッシュ!)」
DOKAAAAA!
「尻尾を凍らせた!」
なんと、初っ端から大技をフォライーに仕掛けた。
それは見事に展開し、尻尾を丸ごと凍らせて動きを封じた。
しかし、相手は巨体。反発する力を考えるとほんの一瞬だ。
「一瞬だが、動きを封じ込めば」
そして、キュラは続け様に地を蹴って大きくジャンプした。
魔法のエネルギーを爆発させていた。
「炎風波(ファイヤーウェーブ!)連撃!」
「やぁあぁぁ」
炎(アータル)系レベル3に当たる魔法を何発もフォライーの頭に叩き込んだ。
息ができなくなるくらい、フォライーの頭は燃え盛った。
「猪口才な、その程度の攻撃、軽く葬ってやろう」
一瞬だった。
「闇斬縛撃(ダークレイザー)!」
「な、なに、闇の波動!」
「なんて数だ、かわしきれない」
何と闇の波動を幾重にも、フォライーは出し攻撃してきた。
凄まじいスピードだ。
キュラたちもかわすのでやっとだった。
「尻尾がまだ凍って動かないのが、チャンスだ!」
「うらぁ!」
「ファイ!」
「尻尾を切り落とした!」
ファイがうまいこと攻撃して尻尾を切り落とした。
しかし、フォライーは焦ることもなかった。
「くはは、その程度のことで、致死には至らん」
「闇再生(ダークリヴァイブ)」
「あの野郎、一瞬で再生しやがった」
なんと、一瞬で切り落とした尻尾が再生した。
ファイも悔しさで舌打った。
そのときだった。
「僕に任せて、はぁぁぁ、風闘気(ラスタ)よ、高まれ」
ウィードがけたたましく駆け、攻撃を仕掛けた。
「奴の手を粉砕しろ、ウィンドブリッド!」
風の弾丸が何十発も発せられ、カニのような長い手に全て刺さった。
「なんだ、虫の吐息か」
フォライーは不敵な笑みを浮かべながら言った。
ウィードには策があった。
「フォライー、甘く見すぎだ、その数のウィンドブリッドが当たれば、エネルギーを大幅に拡充できる!」
「なに?」
「ウィンドバースト!」
DWOOOOOONNNN!
なんと、全てのウィンドブリッドが爆発した。連動して、効力が上がり、大爆発に発展した。
カニのような手は崩れ落ちていく。
「なるほど、あのときの」
「手が、我の手が」
「やった、手を全部粉砕した」
「手を休めるな。続けて攻撃しろ」
キュラが念を押して、駆け出した。
みなにも気迫が伝わっていく。
「奴のしっぽのようにきっと再生させるぞ!」
「ご名答だ」
「闇再生(ダークリヴァイブ)」
長い手がまた元に戻ろうと光り輝いていく。
この瞬間、ヒョウが動いた。
「させるか」
「再生を遅らせてやる!」
そういい、ヒョウが大きく水平にジャンプした。
「フン、これでどうだ!」
「氷斬巨刀(アイスザンバー)」
BYU!
「ぐはあぁ」
再生しかけていた手を一撃で全部薙ぎ落した。
そして、傷口はカチカチに凍った。
「なるほど、再生した手ごと切り落としたわけか」
「小賢(こざか)しい!」
至近距離でフォライーの口があいて、光った!
まずい、至近距離すぎる。
「くらぇ、闇爆口撃(ダークイレイザー)」
「な、躱せない」
「ヒョウ!」
「ぐあああぁぁ」
「ファイ!」
ファイだ。近くにいたファイが、瞬速移動でヒョウの前に立ちはだかった。
「はぁ、はぁ、なんて、熱量だ、俺の防御壁を超えてきやがった」
ファイが自身の防御壁で、ヒョウをかばった。
ヒョウは無傷だったが、ファイは耐性のある服であっても熱でプスプス燃えていた。
血が流れている。
フォライーは嘲笑った。
「ほう、赤毛、よくぞたえたな」
「ヒョウ、あれをもう一回くらうと、いくらなんでも防ぎきれねーぞ」
「お前、血が」
「へ、気にすんな、全然平気だ。戦闘にはつきものだ」
そういい、ファイは口を濁した。
「くそ、でかすぎる」
キュラが悔しそうに舌打った。
「くはは、強くなりすぎてしまったようだ。お前らなど、赤子の手をひねるも同然」
「地獄へ行くがいい」
「手と尻尾を切り落としてもこれか。奴は魔神か」
キュラが悔しそうにいったその時だった。
「フォライー、貴様のせいで、僕たちに仕えるものがひどい目にあった。僕はそれを許せない。許せるものじゃない。みんなには未来があったんだ。幸せになる未来が。僕はそれを導くものだ」
ウィードの怒りは頂点に達していた。
ウィードに仕えるもの全て、サリアにしても身を隠し辛い目にあった。
自分のために死んでいったものの気持ちが浮かんできているかのようだった。
フォライーは再三鼻で笑った。
「だから、どうした、我を殺すのか」
「ああ、この手で眠らせてやる」
ウィードはそういうと、全身の力を込めて、魔物と化したフォライーに向かっていった。
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