20 / 200
第十章 復活されし魔神
第百二十五話 召喚魔法陣
しおりを挟むファイたち皆と、サリアもパンダムの隣の建物のアジトにいた。
ウィードがつらい顔をした。
「そうか、逃げるとき、キレオはエトワル軍に捕まったんだな」
ウィードはそういうと、辛い顔で下を向いた。
そして、しばらく、黙り込んだ。
「あれほどの格闘家が」
サリアもつらそうな顔をする。
ウィードが言葉を紡いだ。
サリアの顔を見上げた。
「サリアは素性を隠し、常から変貌の術で顔を変え、アリサとして、ショーパブで働いていたわけか。辛い思いをさせたな」
「いいえ、ウィード様が生きているだけで、私たち家臣は嬉しいです」
サリアは辛い日々だったのか、涙目だったが、にこりと笑顔で返した。
「キレオは捕まってしまい、殺されているやも」
「だが、軍師が生憎不在だろう。父上が長年仕えた家臣を無闇にそこまで極刑をなすかだが、フォライーがいなければ、殺される確率も低い。生きていると信じていたいな」
「フォライーは不在なのですか」
サリアは不思議そうな顔で言った。
たしかに、サリアが追われていたときには、フォライーがいたからだ。
知らないものと思われる。
ウィードは切り返しいった。
「ああ、どこかに潜んでいるだろうが、まだエトワルまではいっていないはずだ」
その時、レギンが口を挟んだ。
「それにしても、変貌の術っていうのはすごいな、誰にでもなれるのか」
「そうですね、基本忍術ですが。声だけは似せることができません」
サリアはにこりとしながらいった。
その言葉を聞くとウィードはサリアに問うた。
「サリア、これからどうする、ついてきてくれるのか」
「はい、もちろんです。ウィード様の家臣ですから」
その言葉を聞いて、ファイがヒョウの方を向いた。
「それはよかった、な、ヒョウ」
「俺たちはみたぞ、あなたが俺たちと同じ闘気を使うのを」
「かなりの使い手のはずだ」
ヒョウとファイは、サリアがかなりの使い手であることを確信していた。精通しているものからすれば、わかるのだ。
一緒に戦ってくれればかなりの戦力になるからだ。
サリアは愛想笑いをした。
「闘気弾のことですか。よくご覧で。私の忍術の一つです」
「あの石を割った技は、闘気弾ていうのか」
「ええ、ですが、ほんの一部です。その気になれば」
「もっと凄いことができるといいたいのか」
ヒョウがいう。
サリアは不敵な笑みを見せた。
「ウィード様を守り通せるくらいはあるかと。ですが、自身のエネルギーを使うので限界はありますが」
「エリューの魔力みたいなもんだな」
ファイがエリューの方を見やりいった。
エリューは魔法力はずば抜けてすごかった。
テアフレナと同等、それ以上かだ。
そして、キュラが話し出した。
「よし、話はついたか、皆の者、明日には旅立つぞ。首都エトワルに早朝発つ」
「はい、キュラ様」
レイティスがそういうと休みについた。
☆☆
フォライーが、遠くの建物の上から、ウィードがいるところを見やっていた。
まがまがしい、召喚魔法陣がそこから少し離れた平地にかかれていた。
フォライーは遠隔操作で魔法陣を操ることができると思われる。
「くへへへ、いい気なものだな、ウィードよ」
フォライーは魔力を放出し杖を振りかざした。
「どれ、夜間を狙うか」
「我の命により、出でよ、魔界の巨人よ」
いうと、同時に、魔法陣が光り輝いた。
「ぐあはぁ」
次の瞬間、召喚魔法陣から、ものすごい巨体の、巨人が現れていた。
「魔界の巨人タイアスよ、古の伝説どおり、お前の力をみせよ、ウィードを殺せ」
「があぁ、」
巨人の遠吠えが響いた。ものすごい声量だ。
フォライーは不敵な笑みを見せた。
杖を再び振りかざした。
「王族もいたな。どれ、もう一つ仕掛けてやろう」
「魔物の種よ、リザードマンを生め」
召喚魔法陣の近くに植えられていた、複数の魔物の種から、なんと一瞬でリザードマンが現れた。
魔力で遠隔操作をし、魔力を投入したものと思われる。
「よし、お主たちよ、巨人タイアスと一緒にウィードと王族を殺せ」
☆☆
ファイたちはアジトにいた。
最上階の部屋の窓をあけ、手をつき、外の景色をみていた。
「もう、夜か」
「街明かりが点々としてますね」
「平和でいい街だな」
ファイがそういった矢先だった。
「キャー店が」
GGYASSHAAAANN!
なんと、近くにあった大きな建物が一瞬で壊れて吹き飛んだ。
凄まじい轟音がした。
「なんだ、あの大きな店ごと壊れたぞ? いったい何が」
「ファイ、どうした、今音はなんだ?」
ききつけたヒョウが急いで駆け寄ってきた。
「店が建物ごと破壊された」
「魔族か?」
「いや、わからない、だが、俺たちを狙った輩かもしれない」
そういうとファイとヒョウは部屋をでていこうと駆けだした。
エリューもついていく。
「ぐあああぉあおあぁ」
獰悪な声が響き渡る。
ファイたちにもそれはきこえた。
「あの遠吠え、やはり、魔物」
「いくぞ、ファイ」
「おう」
ファイたちの出ていく姿を見て、近くにいたウィードとサリアも動いた。
「僕も行く」「ウィード様が行くなら私も」
キュラが身を乗り出した。
「身勝手な行動は軍法違反だが、民や家が破壊されるのを黙ってもみておれん。テアフレナ、レギン殿、オネイロス
たちは姫様を守ってくれ、私とファイたちで何とかする」
「わかりました」
テアフレナがいうとキュラは駆け出した。
ニミュエが後をついていく。
「あ、待ってファイ、あたしも行く」
「ニミュエは行くなら回復を頼む、後方支援だ」
「わかった」
ニミュエもキュラと同時に現場に向かった。
民の安否が心配になる。
建物ごと壊す魔物がいる。誰の目にも獰悪な声が浮かんだ。
☆☆
遅い時間でも読んでくださっている方ありがとうございます。
更新が遅くなりました。
キャラ、物語など、気に入ってもらえたらお気に入りお願いします。
読者様の声援がかくもののバイタリティです。
また夕方お会いしましょう。
夕方、晩、更新行います。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました
ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。
大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。
ー---
全5章、最終話まで執筆済み。
第1章 6歳の聖女
第2章 8歳の大聖女
第3章 12歳の公爵令嬢
第4章 15歳の辺境聖女
第5章 17歳の愛し子
権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。
おまけの後日談投稿します(6/26)。
番外編投稿します(12/30-1/1)。
作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる