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第十章 復活されし魔神

第百二十五話 召喚魔法陣

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ファイたち皆と、サリアもパンダムの隣の建物のアジトにいた。


ウィードがつらい顔をした。


「そうか、逃げるとき、キレオはエトワル軍に捕まったんだな」


 ウィードはそういうと、辛い顔で下を向いた。


 そして、しばらく、黙り込んだ。


「あれほどの格闘家が」


 サリアもつらそうな顔をする。


 ウィードが言葉を紡いだ。


 サリアの顔を見上げた。


「サリアは素性を隠し、常から変貌の術で顔を変え、アリサとして、ショーパブで働いていたわけか。辛い思いをさせたな」


「いいえ、ウィード様が生きているだけで、私たち家臣は嬉しいです」


 サリアは辛い日々だったのか、涙目だったが、にこりと笑顔で返した。


「キレオは捕まってしまい、殺されているやも」


「だが、軍師が生憎不在だろう。父上が長年仕えた家臣を無闇にそこまで極刑をなすかだが、フォライーがいなければ、殺される確率も低い。生きていると信じていたいな」


「フォライーは不在なのですか」


 サリアは不思議そうな顔で言った。


 たしかに、サリアが追われていたときには、フォライーがいたからだ。


 知らないものと思われる。


 ウィードは切り返しいった。


「ああ、どこかに潜んでいるだろうが、まだエトワルまではいっていないはずだ」


 その時、レギンが口を挟んだ。


「それにしても、変貌の術っていうのはすごいな、誰にでもなれるのか」


「そうですね、基本忍術ですが。声だけは似せることができません」


 サリアはにこりとしながらいった。


 その言葉を聞くとウィードはサリアに問うた。


「サリア、これからどうする、ついてきてくれるのか」


「はい、もちろんです。ウィード様の家臣ですから」


 その言葉を聞いて、ファイがヒョウの方を向いた。


「それはよかった、な、ヒョウ」


「俺たちはみたぞ、あなたが俺たちと同じ闘気を使うのを」


「かなりの使い手のはずだ」


 ヒョウとファイは、サリアがかなりの使い手であることを確信していた。精通しているものからすれば、わかるのだ。


 一緒に戦ってくれればかなりの戦力になるからだ。


 サリアは愛想笑いをした。


「闘気弾のことですか。よくご覧で。私の忍術の一つです」


「あの石を割った技は、闘気弾ていうのか」


「ええ、ですが、ほんの一部です。その気になれば」


「もっと凄いことができるといいたいのか」


 ヒョウがいう。


 サリアは不敵な笑みを見せた。


「ウィード様を守り通せるくらいはあるかと。ですが、自身のエネルギーを使うので限界はありますが」


「エリューの魔力みたいなもんだな」


 ファイがエリューの方を見やりいった。


 エリューは魔法力はずば抜けてすごかった。


 テアフレナと同等、それ以上かだ。


 そして、キュラが話し出した。


「よし、話はついたか、皆の者、明日には旅立つぞ。首都エトワルに早朝発つ」


「はい、キュラ様」


 レイティスがそういうと休みについた。




☆☆

フォライーが、遠くの建物の上から、ウィードがいるところを見やっていた。


 まがまがしい、召喚魔法陣がそこから少し離れた平地にかかれていた。


 フォライーは遠隔操作で魔法陣を操ることができると思われる。


「くへへへ、いい気なものだな、ウィードよ」


 フォライーは魔力を放出し杖を振りかざした。


「どれ、夜間を狙うか」


「我の命により、出でよ、魔界の巨人よ」


 いうと、同時に、魔法陣が光り輝いた。


「ぐあはぁ」


 次の瞬間、召喚魔法陣から、ものすごい巨体の、巨人が現れていた。


「魔界の巨人タイアスよ、古の伝説どおり、お前の力をみせよ、ウィードを殺せ」


「があぁ、」


 巨人の遠吠えが響いた。ものすごい声量だ。


 フォライーは不敵な笑みを見せた。


 杖を再び振りかざした。


「王族もいたな。どれ、もう一つ仕掛けてやろう」


「魔物の種よ、リザードマンを生め」


 召喚魔法陣の近くに植えられていた、複数の魔物の種から、なんと一瞬でリザードマンが現れた。


 魔力で遠隔操作をし、魔力を投入したものと思われる。


「よし、お主たちよ、巨人タイアスと一緒にウィードと王族を殺せ」






☆☆


 ファイたちはアジトにいた。


 最上階の部屋の窓をあけ、手をつき、外の景色をみていた。


「もう、夜か」


「街明かりが点々としてますね」


「平和でいい街だな」


 ファイがそういった矢先だった。


「キャー店が」


GGYASSHAAAANN!


 なんと、近くにあった大きな建物が一瞬で壊れて吹き飛んだ。


 凄まじい轟音がした。


「なんだ、あの大きな店ごと壊れたぞ? いったい何が」


「ファイ、どうした、今音はなんだ?」


ききつけたヒョウが急いで駆け寄ってきた。


「店が建物ごと破壊された」


「魔族か?」


「いや、わからない、だが、俺たちを狙った輩かもしれない」


 そういうとファイとヒョウは部屋をでていこうと駆けだした。


 エリューもついていく。


「ぐあああぉあおあぁ」


 獰悪な声が響き渡る。


 ファイたちにもそれはきこえた。


「あの遠吠え、やはり、魔物」


「いくぞ、ファイ」


「おう」


 ファイたちの出ていく姿を見て、近くにいたウィードとサリアも動いた。


「僕も行く」「ウィード様が行くなら私も」


 キュラが身を乗り出した。


「身勝手な行動は軍法違反だが、民や家が破壊されるのを黙ってもみておれん。テアフレナ、レギン殿、オネイロス
たちは姫様を守ってくれ、私とファイたちで何とかする」


「わかりました」


 テアフレナがいうとキュラは駆け出した。


 ニミュエが後をついていく。


「あ、待ってファイ、あたしも行く」


「ニミュエは行くなら回復を頼む、後方支援だ」


「わかった」


ニミュエもキュラと同時に現場に向かった。


 民の安否が心配になる。





 建物ごと壊す魔物がいる。誰の目にも獰悪な声が浮かんだ。

























☆☆
遅い時間でも読んでくださっている方ありがとうございます。
更新が遅くなりました。
キャラ、物語など、気に入ってもらえたらお気に入りお願いします。
読者様の声援がかくもののバイタリティです。
また夕方お会いしましょう。
夕方、晩、更新行います。
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