79 / 200
第九章 神玉の冒涜
閑話回想15 魔の力が使える者の重みとキズナ
しおりを挟むヒョウがシエラがいる町につき、入り口に入ったときだった。
「ヒョウ、よかった、無事だったのね」
シエラが出迎えてくれて、ヒョウを抱きしめてくれた。
クエスとガスもいる。
シエラ様のハグで、珍しくヒョウは顔を赤らめた。
「シエラ様、ありがとうございます。ただいま、帰還いたしました」
「ヒョウ、おまえすごいな、よくあれだけの数相手に生きて帰れたな」
「クエスありがとな」
クエスと手と手をかわして、握手した。
「よかった、俺も心配したんだぜ」
ガスも言う。
ヒョウがにこりと笑っていった。
「俺はシエラ様やお前たちが無事でよかった」
「ヒョウ、お前、氷の魔剣士か? あれは、魔剣アイスブレイカーだろ? 魔導書で調べたぜ」
ヒョウがそれをきくと一瞬黙り込んだ。
そして、一呼吸おいてしゃべりだした。
「ばれてしまったようだな、そうだいかにも」
「どうりで、強いはずだ。今までずっと隠してたのか」
「俺は魔族やそんな輩ではない。中身は人間だ、ただ魔の力を使えるものというだけでな」
「疑ったりはしてないぜ、俺たちは歓迎さ、心強い仲間がいて、魔族がきても安心だ」
「そうか」
ヒョウは不敵な笑みを見せ、視線を下に一瞬そらした。
再度ヒョウは厳しそうな顔つきでクエスにいった。
「クエス、ガス、気を付けておいてくれ、魔族たちが恐らく、シエラ様を狙っている」
「魔族が」
ガスが顔をくもらせた。
クエスは違った。立ち向かう勇気があるようにみえる。
「わかったぜ、警戒は高めておく」
そのときだった。シエラ様が話し出した。
「ヒョウ、回復魔法を契約して、お父様にかけたら、お父様の病が治ったの」
「病が、それはよかった」
ヒョウが笑顔になった。
そして、シエラ様にいった。
「シエラ様、これから外に出るのは、俺たちだけではなく、王国から魔法使いや騎士を雇ってください。俺がいなく
なったらもしものことがあれば」
「そうね、私も政務者だものね、国に護衛要請の通達を出してみるわ」
「ヒョウ、心配いらないぜ、俺たちもいる」
「大丈夫っす」
クエスとガスが胸をポンと叩きながら言った。
「確かに、ガスと、クエスは、剣の腕がたつ。だが、並のモンスターならまだいいが、魔族相手となると、剣だけでは太刀打ちができない」
「なるほどな、剣と魔法で守れってことか」
「その方が心強いな」
ガスがそういった。たしかに、エリューのような魔法使いが一人いれば、戦闘は違ったものになるだろう。
ヒョウも少なからず、安心ができる。
その一連の模様をききながら、シエラはにこりとし、ヒョウにいった。
「ヒョウ、でも、ありがと。私嬉しかったの」
「いえ、俺はシエラ様のボディガードなので、当然のことをしたまでです」
「疲れてるでしょ、今日はゆっくり休養してね」
「はい」
そうこうして、ヒョウたちはシエラ様を護衛しながら、家の中に入っていった。
☆☆
遅い時間でも読んでくださっているかた、ありがとうございます。
まだまだ話は続いていきます。長い目でお付き合いください。
気に入っていただければ、お気に入りお願いします。
次話から新章です。
またあしたお会いしましょう。
応援よろしくお願いします。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
これぞほんとの悪役令嬢サマ!?
黒鴉宙ニ
ファンタジー
貴族の中の貴族と呼ばれるレイス家の令嬢、エリザベス。彼女は第一王子であるクリスの婚約者である。
ある時、クリス王子は平民の女生徒であるルナと仲良くなる。ルナは玉の輿を狙い、王子へ豊満な胸を当て、可愛らしい顔で誘惑する。エリザベスとクリス王子の仲を引き裂き、自分こそが王妃になるのだと企んでいたが……エリザベス様はそう簡単に平民にやられるような性格をしていなかった。
座右の銘は”先手必勝”の悪役令嬢サマ!
前・中・後編の短編です。今日中に全話投稿します。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる