82 / 203
第九章 神玉の冒涜
閑話回想15 魔の力が使える者の重みとキズナ
しおりを挟むヒョウがシエラがいる町につき、入り口に入ったときだった。
「ヒョウ、よかった、無事だったのね」
シエラが出迎えてくれて、ヒョウを抱きしめてくれた。
クエスとガスもいる。
シエラ様のハグで、珍しくヒョウは顔を赤らめた。
「シエラ様、ありがとうございます。ただいま、帰還いたしました」
「ヒョウ、おまえすごいな、よくあれだけの数相手に生きて帰れたな」
「クエスありがとな」
クエスと手と手をかわして、握手した。
「よかった、俺も心配したんだぜ」
ガスも言う。
ヒョウがにこりと笑っていった。
「俺はシエラ様やお前たちが無事でよかった」
「ヒョウ、お前、氷の魔剣士か? あれは、魔剣アイスブレイカーだろ? 魔導書で調べたぜ」
ヒョウがそれをきくと一瞬黙り込んだ。
そして、一呼吸おいてしゃべりだした。
「ばれてしまったようだな、そうだいかにも」
「どうりで、強いはずだ。今までずっと隠してたのか」
「俺は魔族やそんな輩ではない。中身は人間だ、ただ魔の力を使えるものというだけでな」
「疑ったりはしてないぜ、俺たちは歓迎さ、心強い仲間がいて、魔族がきても安心だ」
「そうか」
ヒョウは不敵な笑みを見せ、視線を下に一瞬そらした。
再度ヒョウは厳しそうな顔つきでクエスにいった。
「クエス、ガス、気を付けておいてくれ、魔族たちが恐らく、シエラ様を狙っている」
「魔族が」
ガスが顔をくもらせた。
クエスは違った。立ち向かう勇気があるようにみえる。
「わかったぜ、警戒は高めておく」
そのときだった。シエラ様が話し出した。
「ヒョウ、回復魔法を契約して、お父様にかけたら、お父様の病が治ったの」
「病が、それはよかった」
ヒョウが笑顔になった。
そして、シエラ様にいった。
「シエラ様、これから外に出るのは、俺たちだけではなく、王国から魔法使いや騎士を雇ってください。俺がいなく
なったらもしものことがあれば」
「そうね、私も政務者だものね、国に護衛要請の通達を出してみるわ」
「ヒョウ、心配いらないぜ、俺たちもいる」
「大丈夫っす」
クエスとガスが胸をポンと叩きながら言った。
「確かに、ガスと、クエスは、剣の腕がたつ。だが、並のモンスターならまだいいが、魔族相手となると、剣だけでは太刀打ちができない」
「なるほどな、剣と魔法で守れってことか」
「その方が心強いな」
ガスがそういった。たしかに、エリューのような魔法使いが一人いれば、戦闘は違ったものになるだろう。
ヒョウも少なからず、安心ができる。
その一連の模様をききながら、シエラはにこりとし、ヒョウにいった。
「ヒョウ、でも、ありがと。私嬉しかったの」
「いえ、俺はシエラ様のボディガードなので、当然のことをしたまでです」
「疲れてるでしょ、今日はゆっくり休養してね」
「はい」
そうこうして、ヒョウたちはシエラ様を護衛しながら、家の中に入っていった。
☆☆
遅い時間でも読んでくださっているかた、ありがとうございます。
まだまだ話は続いていきます。長い目でお付き合いください。
気に入っていただければ、お気に入りお願いします。
次話から新章です。
またあしたお会いしましょう。
応援よろしくお願いします。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

スキルは見るだけ簡単入手! ~ローグの冒険譚~
夜夢
ファンタジー
剣と魔法の世界に生まれた主人公は、子供の頃から何の取り柄もない平凡な村人だった。
盗賊が村を襲うまでは…。
成長したある日、狩りに出掛けた森で不思議な子供と出会った。助けてあげると、不思議な子供からこれまた不思議な力を貰った。
不思議な力を貰った主人公は、両親と親友を救う旅に出ることにした。
王道ファンタジー物語。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売中です!】
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる