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第九章 神玉の冒涜
第百十九話-2 バルトカム地下基地
しおりを挟む「なんだ、この階段、長いぞ。地下に行くくらい長い」
「まさか、あの泥棒、バラロサ? ここが地下の入り口なんじゃ?」
そのときだった。
「よう、赤毛の兄ちゃん」
「お前は、あの時の」
なんと、階段の上にある場所から、さっきの泥棒と思われる人物がでてきた。
ファイは強襲されたときの奴を覚えていたようだ。
泥棒と思われる人物は首を傾げた。
「よく入り口が分かったな、俺たちのアジトの」
「俺はニスカ、バラロサの師団長だ」
「すまなかった」
ニスカはトーンを一つおいて、済まなさそうな顔つきで話した。
ファイが続けてその問いに答えた。
「どうした、何も謝ることなんてないだろ」
「俺のせいで、街がこんなめちゃくちゃに」
「まさか、お前、あの魔導戦車のなにかか」
ヒョウが怪訝な面持ちで言う。
「そうだ、見ず知らずの輩をなぜか地下にあった戦車のところまで連れていってしまった」
「おそらく、そいつはフォライーだ」
ファイが考察を言う。
ヒョウの胸にもその思惑はあった。
復活させれるのは魔力のあるものだからだ。
「フォライーに操られたんだな」
ニスカは重い口を開いた。
「お前たちが街おこしをして、直してるのをみていた。ほんとなら、俺たちがしないといけないのにすまない」
「いや、俺たちにも責任はあるからな。気にするな」
ファイも済まなさそうに言った。
ヒョウが階段の下を覗き込みながらいった。
「それにしても長い階段だな」
「この下に、開かずの部屋に続く扉がある」
「魔導戦車があったところか」
ファイが警戒しながらいった。
そうしているうちに、階段を下りて、扉の前にきていた。
「ああ、そうだよ」
一呼吸おいて、ニスカは左手首に、つけていた、リングを扉のノブにあてた。
「リングよ、ロックを解いて」
BABABA!
なんと、リングから光が出て、扉の鍵にあたり、ロックが解ける音がした。
おそらく、普通の鍵ではあかないように、魔法でロックされているものだと思われる。
「もう入れるよ。あいつに操られたときは、無意識にあけてしまったけど、今は大丈夫」
「よし、入るぞ」
ファイたち三人は、扉をくぐり、中に入っていく。
中は整備されており、明かりもあり、基地のようになっていた。
「へぇ、中は結構広いんだな」
「だが、何か妙な気を感じる」
「魔導戦車か、もしかすると、フォライーかもしれねー。あいつがきてるかもしれねぇ」
ファイがそういうと、ニスカが口を開いた。
「俺たちのアジトだ。魔導戦車があった場所はこの奥だよ」
「地下っていっても、籠城ができるくらい、かなり広いんだな。明かりもあるし」
ファイが感心した面持ちで言う。
ニスカはにこりと笑った。
「バルトカムの街の半分くらいの広さはあるよ。バルトカム自体が、野戦城みたいなものだからね」
「じゃぁ、入り口はあちこちにあるのか?」
「入り口は東西南北四か所しかないよ。さっき入ってきたところは、西の入り口」
「なるほどな、たまたま、お前とすれ違ったわけか」
ヒョウが重厚な声でぼそりといった。
ニスカは笑った。
「俺も運が悪いよ。あなたがたに見つかるなんてね」
話しながら歩いてるうちにとある場所についた。
ニスカが怪訝な顔をし、声音を上げた。
「ここが、魔導戦車があった場所だよ。今はもうないけど」
ヒョウは言った瞬間、何かを屈んで指で触っていた。
「たしかに、キャタピラが動いた跡がある。奴が動き出した証拠だ」
「なぁ、ニスカ、他に魔導戦車がありそうな場所はないのか。俺たちはあれば、それを壊しに来たんだ」
「ないと思うよ。だけど、ロックはリングで解けるんだけど、どうにも重くて開けられない扉があって、そこだけは俺たちではみてないよ。大人何人がかりでも開かないんだ重くて」
「ファイ、そこを調べるぞ」
「おう」
「え、だって、何十人がかりでも開かないんだよ。二人でなんて無理だよ」
「へ、みてろって」
ファイがそういうとニスカに案内してもらって、その扉のもとへ向かった。
☆☆
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気に入っていただければお気に入りお願いします。
読んでくださってありがとうございます。読者様の声援が書くもののバイタリティです
バルトカムの地下基地、一体何があるのか。
どうなる、ファイたち。
またあしたお会いしましょう。
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