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第九章 神玉の冒涜

第百十七話-4 魔導戦車

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ファライーはついにとてつもなくでかい機械を発見し、興奮していた。

「おお、これだ、これだ。これは、如何なる物理攻撃も魔法攻撃も効かぬといわれる、装甲を持った、魔導戦車だ。よくぞ、この形で残っていたものだ」

 なんと、魔導兵器は確かにあったのだ。フォライーの読みが当たっていた。
 それは魔導戦車という代物だった。

 そして、一呼吸置き、フォライーはニスカに再び手をかざした。
「もうよい、お前に用はない。そこで永遠に眠るがよい」

「睡眠沈静術(スリープスティール)」
 ニスカにフォライーは術をまたかけた。

 ニスカは一瞬のうちに眠り、その場に倒れた。
 倒れても起きない。まるで死んでいるかのように。
 フォライーは案内してくれた礼に殺すまでせず、眠りという形で終わらせたようだ。
 だが、これも誰かに助けてもらわねば、永遠に眠りこむ安楽死のような術だった。

「くははは、もう、起こされるまでそこでお寝んねだ。死ぬまで寝てるがよい」

「さてと、ウィードめ、一泡ふかせてやろうぞ。ここから逃がしはせん」
 そういい、フォライーは魔導戦車のボタンのようなところを触った。
 そこから、魔力をフォライーは感じ取っていた。

「どうやら、魔力エネルギーがゼロのようだな。どれ、注入するとするか」
 そして、フォライーは全身全霊をこめて、魔力を爆発させた。

「ふんぬぅ、はあぁあぁぁっ」
 フォライーの魔力が魔導戦車のタンクに注がれていく。

「はぁ、はぁ、なんて底抜けのない魔力タンクだ。半分か。魔力エネルギーをこれほど入れても満タンにならぬとは。だが、我の魔力をもってすればこの程度」

 そして、一瞬きわどい表情をしたものの、フォライーは更に魔力を爆発させた。

「復活せよ、魔導戦車よ、はぁぁぁぁっぁあぁ」

「はぁ、はぁ、やった、満タンだ。くはは、やった、復活だ」
 すると、魔力タンクが満タンになり、魔導戦車が光りだした。
 起動したのだ。

「ねがいはなんだ? いえ、かなえてやる」
 魔導戦車がオドロとした声音を発生させた。

 フォライーは不敵な笑みを浮かべた。
「魔導戦車よ、汝を復活させた主のいうことをきけ、願いはこの街にいる魔剣士ども全員の抹殺だ。特にウィードだ」

「そのねがいかなえてやる」

 魔導戦車は声音を発すると、大きな音をたてて、機械部分を動かしていく。

 一か所だけ、地下の入口のようなゲートがあり、そこが魔導戦車の魔力を介してか、開いていく。
 フォライーはやったといい気で手をかざし命令した。

「いけ、やつらは地上だ。歯向かう奴は皆殺しにしろ」

BUOOOONNNN!

 ゲートが魔力を感知し開き、そこから、魔導戦車は巨体にもかかわらず、飛んで地上に降り立った。

 魔導戦車の力はフォライーの魔力相当より上か。

 矛先はバルトカムの民にまず向けられた。










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