上 下
70 / 200
第九章 神玉の冒涜

第百十七話-3 魔導兵器

しおりを挟む



 メルフェンにいた皆は、ご飯を食べ終わって、姫様が会計のカウンターの前にいた。
「合計17万ルフになります」

「現金で払うわ」
 姫様は用意していたお金を即座に払った。

 この大そうな金額は、普通の民では払えないくらいの大金だった。

 ファイやエリューは、目をパチクリしていた。
 二人とも平民上がりだからだ。

 ヒョウは一応貴族だったが、裕福な貴族ではない。
 だが、ヒョウは普通の感覚のように受け止めていた。

 レギンが重い口を開いた。
「さすが、姫様だ」
 その言葉を聞くと、キュラが店のドアを開けた。

「さて、店を出るとするか」
 そうこうして、メルフェンを一行は後にした。



☆☆


 そのメルフェンから出てくるウィードの姿を気配を消し、家屋の屋上から遠目で見遣っている魔族がいた。

 そう、フォライーだ。追いついていたようだ。

 フォライーはニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「くひひひ、いい気なもんだな、ウィードよ。ん、待てよ、ここはバルトカム? だとすると、魔王ダギラス様君臨の時、千年前の魔導大戦争時の魔導兵器が埋まっているのでは?」

 どうやら、フォライーはバルトカムの何かの昔を知っているようで、恐らく魔族としての年齢も高いと思われる。

 フォライーの脳裏には勝算が浮かんでいた。一体、魔導兵器という代物は。
 フォライーは不気味に笑い、宙に足を浮かせて、地面に降り立った。

「くひひひ、よし、一泡吹かせてやるぞ、ウィードめ」
 いうと同時に、低空飛行し、フォライーはどこかへ立ち去った。



☆☆



「あーあ、今日も疲れたぜ、それにしてもあの妖精は惜しかったなぁ、高く売り飛ばせたのによぉ」
 ニスカだ。ニスカがアジトの壁にもたれかけ、そこにふてくされた顔つきで頭を手で抱え、座りこんだ。

 そのときだった。

「!」
 ニスカの表情が一変した。

「(空を飛んでいる?)な、なんだ、お前は?」

 なんと、目の前には魔族フォライーがいた。フォライーは何かを知っている算段だ。

 フォライーは低空飛行で、ニスカの目の前にきた。
「小僧、お前は機械士団バラロサの長であろう。魔導兵器の場所を知っているな?」

「なんでお前がそんなことを。知っててもいうか」

「ほほう、身の程知らずな少年だ。勝気だな、だが、自信過剰は死を招くぞ」
 フォライーがそういった瞬間だった。

「催眠手術(ギレドスティール)!」
 フォライーの手から紅い光りが出て、それはニスカの目に映った。

 そのとき、奥の建物からバラロサの団員が二人でてきた。
「お前は何者だ! ニスカ様に何を!」

「ぐあぁぁぁぁあぁッ」「ぎゃあ」
 なんと、一瞬のうちに片手一つで、団員二人を血祭りにあげた。

 フォライーは不気味に笑った。

「諸い、これが人間か。雑魚に用はない。さぁ、ニスカよ、魔導兵器のある場所まで案内しろ」

「は、フォライー様」

 ニスカは目の色を失くし、フォライーの意のままに操られ、魔導兵器がある場所へ誘導していってしまった。












☆☆
4/26もう一回アップ予定。
どうなる、ニスカ。応援よろしくお願いします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...