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第五十七話 英雄の病、現代なら治る病気、特効薬は未来に
しおりを挟む会話の途中でドアがまた開いた。何やら白衣を着た人が入ってきた。
どうやら、ナポレオンの担当医のようだ。
「具合は、どうかね、ナポレオン君」
「あ、先生、意識が戻りました」
医者はナポレオンの意識があるのをみると、ナポレオンの手をとり、軽く脈をみた。
「君かね、かのフランスの英雄ナポレオンと一緒の名前の子は?」
担当医の後ろから、偉そうな感じの医者が入ってきた。何やら、続々と白衣を着た医者が沢山後ろにいる。
「院長先生」
担当医が声音をあげた。正体は院長のようだ。
「(って、本人なんだけどな)」
楓が想った矢先、後ろにいた看護婦たちから黄色い声が上がった。
「堂本麗一じゃない?」
「似てるわね、でも名前が違うわ」
「(看護婦さんにまた言われてる。ほんとにどこいってもモテるな)」
アイドルに似てるというのも、冷や汗ものだ。再三、モテて注目度が全く下がらない。
元の世界に帰れば、英雄になるのだから、病気といえど凄い男だ。
「君は、軽度の心臓病みたいだ。暫く入院して、治療すれば、治る」
「俺の病気が治る? 先生、ほんとですか?」
ナポレオンの表情が急に明るくなった。驚きの色を隠せない。
そりゃ、自分の世界で治らなかった病だったからだ。
「治療すれば治せると想う」
「よかったわね、ナポレオン」
香織は、笑顔でナポレオンの身体を布団の上からポンと叩いた。楓もスザンヌも嬉しそうだった。
そういうと、医者たちは部屋を出ていった。看護婦も続いて出て行く。出て行くときとほぼ同じときに、ご飯がナ
ポレオンに届いた。
「(ナポレオンの時代では治らなかった病気が、この時代なら治るというわけか。どうりでスザンヌさんのときのナ
ポレオンが、持病がなかったわけだ、ん、まてよ)」
楓が想っていることを香織も考えていた。目線が行き来する。
「(ということは、ナポレオンの時代に治らなくて治っているということは、どこかで治してきたってこと? 歴史
が変わったんじゃ?)
嬉しそうな笑顔で微笑んでるナポレオンを楓はみながら思いを巡らした。
「(もしかして、今いる現代から元の時代に帰って、それで、治ったようになってるんじゃ?)」
☆☆
また更新します。
おはようございます。
読者様も有意義な休日をお過ごしくださいね。
何回も見てくださっている読者さまには感謝です。
ほんとにありがとうごうざいます。
どうなっていくのでしょう。
胃がんで死んだかとか、ナポレオンの死因説は多々ありますが、
ヒ素をもられたのではないかとか、毒殺説もありますね。
特定はできませんが、こういう心臓病というのもありかなと物語にいれてみました。
今のウクライナを考えると当時も戦争でひどかったのだろうと思います。
いつの時代でもしてはいけないことですよね、戦争は。
余りにひどくて、みんなみてられないし、だまってもいられないでしょうね。
作者も同じ心境です。それをしてはいけないと、物語にはめて英雄にいってみました。
またおあいしましょう。
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