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第二十話 英雄は路上ライブを聴く、楽器は銃剣?

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楓も路上で聴かされるのは初めてじゃないのか、躊躇いもそんなにはなかった。


 毎日ではないだろうが、定期的に聞かされているのだろう。東京はこういうことは本場だ。路上ライブも珍しくない。


 近くにいた人の目線がギターを持った香織にいく。


 そうこうして、音のチェックが終わり、香織が声をだした。


「じゃ、披露するね。タイトルは『レオンハート』だよ。メールがあって、ナポレオン君の名前みて、思いついたの。あたしが音楽と向き合って戦う、獅子の心だよ」


 楓とナポレオンに言葉を贈る。ナポレオンも意味が判ったらしく、微笑んだ。


「聴いてね」


 香織はいうと同時にウィンクを楓に贈った。楓はそれを受けて、顔が赤くなった。


 そして、香織はゆっくり弾きだした。


「ききたいな。香織ちゃん、ほんとに上手いんだよ。達人なんだよ」


「ほぅ、音楽を嗜んでいるのか。あの背負っていたものは銃剣じゃなく、楽器か」


「(銃剣て)それいったら、多分、怒るよ」


 二人の会話は聞こえていないのだろう。終始、香織は笑顔だった。


 香織がイントロを弾きだした。


「じゃ、歌うね」


 イントロを弾きだすと、周りに大勢の人が集まりだした。


「僕た~ちが~♪ 待ち望ん~で~いた♪ 未来に~いこう♪ Another World~♪ はーてしない~
霧に~包ま~れた♪ だいちを~歩く~♪ こわければ~前に~進めない~♪」


 凄く、ソフトで、綺麗な美しい声だ。優しい声が辺りを包んだ。


 シンガーソングライターを目指しているだけのことはある。確かにプロ並みに上手い。


 周りにいた人も聞き耳を立てていた。


「ほう、いい声だ」


「相変わらずうまいね」


 楓はともかく、ナポレオンも感心した面持ちだった。


 綺麗な音色、綺麗な声に圧倒されていた。聞く人を虜にできるかのようだった。


「そら~いろを こ~ころにー描き~♪ あ~したへ~向かう」


 香織は一生懸命に演奏し、歌っていく。優しい響きだ。


「いい歌詞だ。家族に聞かせてやりたい」


「まーちから~そらを~♪ みあげれば~ 生きる証が~ある」


「ギャラリーが増えてきてる。がんばって香織ちゃん!」


ナポレオンと楓が感心したようにいう。手で合図をし、応援していた。知らない内に周りにも大勢の人が集まってい
た。


「僕たちが~待ち望んでいた~♪ 空色ドリーム~♪ 未来へいこう~ アナザァワールド~♪ 僕らは~偶然にも~ 青い~世界で~出会い~♪ 雪の~かけらを~星に~願った~♪ ほら~あいしてる」


 数分間だったが、香織が熱唱し、歌い終わったようだ。その瞬間、周りにいたギャラリーから、歓声があがり、拍手が起こった。


「えへへ、どうだった?」


 照れ臭そうに舌を出し、香織が楓の方に歩いてきた。


 楓とナポレオンは拍手で香織を迎えた。


「(あいしてるって)いいね、すごく、かわいかったよー」


 楓は、香織の歌の歌詞に入ってる言葉の意味に半分気付いたのか、照れ臭そうな笑顔で迎えた。


また、それに香織も意図を汲んで歌っていた。楓をチラッとみたりして、気付いていたのか、お互いにドキドキが走る。
























☆☆

おはようございます。
昨日も何回も見てくださっている読者さまには感謝です。
ほんとにありがとうごうざいます。
これからも応援してくださいね。
また更新します。
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