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第七話 英雄がホームステイ、学校は軍隊??
しおりを挟むその時だった。
「銃剣をこちらに向けているではないか、楓、避けろ!」
ナポレオンは楓を助けようと、身体をダイブさせて、楓の身体を床に倒れこまさせた。軽く身体を打った。お母さんがキッチンで固唾を飲み、唖然となっていた。
「いたた、あのね、ナポレオン、それはTVっていって、映像を映してるだけの箱なんだよ」
咄嗟の出来事にびっくりした面持ちで、頭を抱えながら楓はゆっくりと起き上がる。ナポレオンも僅差で立ち上がった。この世界のものは知らなくて当然か。楓は思いやられていた。
「映像を映す箱? 銃をこちらに向けているではないか?」
ナポレオンは、さっきより、少し理解したのだろうが、半信半疑のようで人差し指をTVに向けながら言った。
「これはね、番組っていって、撮影したサスペンスドラマだよ。早い話、作り物だよ。実際のものじゃないよ」
「そうか、作り物か。なら、安心だ」
そういい、ナポレオンは腕組をしながら、澄ました顔で言う。
「そういえば、当然、住むところないんだよね?」
「そうだな」
「(とりあえず、ホームステイってことにしとくから、うちで当分いなよ)」
「すまないな」
楓が口に手をやり、隠しながらボソボソとナポレオンに言った。それを済まなさそうに受け、鵜呑みにしたのだった。まぁ、成り行きからすれば、当然のことだろう。
楓が、笑顔で啖呵を切った。
「お母さん、フランスからホームステイできたんだ。当分、うちにいるからね。学校の手続きもよろしくね」
きっぱりした面持ちで楓は言う。
母親が、微笑みながら首を向けた。
「まぁ、やっぱりそうなのね。わかったわ。カッコいいから大歓迎よ」
ナポレオンが、女性好みで可也の美形のため、オッケイサインがいとも簡単に出たのだろう。
確かに、美形に超がつくくらい、カッコいいマスクをしている。さすが、英雄だ。
隣で、楓が、あっさりOKが出たのに、口をポカンと開けていた。
丁度、そのとき、二人ともご飯を食べ終わり、ゆっくりしようとしていた。
「はは、そんなことない、よろしくな。楓、お前と同じ学校にいくのか? 軍人になる学校なのか?」
「あのね、軍事教育は今の時代じゃ、自衛隊っていう日本の軍隊以外じゃしないんだよ。普通の勉強だよ、ナポレオ
ンが得意の地理とか数学とか、歴史とか、そういうやつ」
「そうか、そういう勉強をするんだな。一緒にいこう」
ナポレオンの問いに楓はすんなり言葉を返す。ナポレオンも楓と話しするのが楽しそうだ。
楓は、ナポレオンが孤独なのを知っていたからだ。だから、積極的に友達になろうとしていた。
☆☆
おはようございます。
何回も見てくださっている読者さまには感謝です。
ほんとにありがとうございます。
これからも応援してくださいね。
みなさまの応援が作者の力の源です。
またアップします。
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