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第二十七章 白と黒
07 「なんだったんだ……あいつは」呆然覚めやらぬ、とい
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「なんだったんだ……あいつは」
呆然覚めやらぬ、といった表情、口調のカズミである。
治奈、アサキも、やはり夢か現かという表情で、やり場なくただ正面を見つめている。
そうもなるのだろう。
起きたこととしては、自分たちの敵である至垂徳柳を、白服の少女が代わって倒してくれた、という、ただそれだけであるが細々が様々と奇異であるためだ。
一体、何者であるのか。
そして、特筆すべきはその戦闘力。
アサキたちが三人掛かりで苦戦していた至垂を、ただの一撃で倒してしまったのだから。
まだ幼く見える少女がたった一人で、しかも素手であったというのに。
もし味方ならば心強いが、至垂を倒したからといって敵の敵は味方が当てはまるかは分からないため、警戒は必要なのであろうが、
しかしアサキたちには、分析する時間や悠長に考えている余裕などはなかった。
おおおおおお
低い唸り声、そして地響き。ぐらぐら地が揺れる。
「まさか……」
アサキが、地に埋もれた至垂を見るが、そこに至垂は存在しなかった。陥没した中に腹を上にして半分埋まっていたのに、ただそこには舗装の砕けた大きな穴が空いているだけだった。
空中だ。
至垂を背から生やす巨大蜘蛛は空中、高く跳んでいた。
背の力だけで、地を叩き付けて跳ね上がったのだろう。
落下しながら、くるり器用に巨体を反転させて六本の足で着地すると、また地面が吹き上がりぐらぐら激しく揺れた。
巨蜘蛛の背の上には白銀の魔道着を着た至垂の身体があるはずであるが、現在その姿はどこにも見えなかった。
自重に潰された?
いや、存在している。巨蜘蛛の背中に、埋没していた。
深い穴から抜け出すように、自身が埋没している縁に手を掛けて、がうう、と唸りながら、至垂は自らの身体を外へと引き出した。
背骨も肋骨も、骨という骨が折れているのだろうか。筋力に任せ自らを引き出したはいいが、上体を立てることが出来ずにおり、腕の力だけでなんとか身を起こそうとしている。
骨が折れているのみならず、身体も潰れに潰れ、皮膚も裂けに裂け、ぐちゃぐちゃの酷い状態だ。先ほどアサキが投げ飛ばした時の、比ではないくらいに至垂の身体が砕けている。
その、なんともおぞましい姿に、アサキは思わず息を飲むが、だが次の瞬間には叫び声を上げて前へ、至垂へと、走り出していた。
あの白い服の少女が、また現れるかなど分からない。
そもそも、味方であるかも分からない。
ならば自分たちが戦うしかないのだ。
唖然呆然としてばかりなど、いられない。
卑怯だなどとも、いっていられない。
この場を、生き残らなくちゃならないのだから。
戦うことにあまり乗り気になれず、相当な甘さを見せていたアサキであるが、ようやく本気になっていた。
同じことを考えていたのか、合図もなく治奈もカズミもほぼ同時に走り出していた。
ぐしゃぐしゃに潰れた至垂の上半身を背中から生やしながら、巨蜘蛛の身体が後退する。
まるで、踏まれた路上の雑草のような至垂の身体であるが、その姿が急速に戻りつつあった。
傷が癒え、潰れていた身体がむくむくと膨らんでいた。
非詠唱魔法で、自らを修復しているのだ。
だが、
「させねえんだよ! ザイシュネイル・ウォンシュ……」
カズミの、素早い呪文詠唱。
「超魔法グォウゼエグジブロジオム!」
技名を叫びながら強く地を蹴った。
両手にナイフを握ったまま巨蜘蛛へと跳ぶ。
全身が、青白い光に包まれていた。
頭から足先までを軸に猛烈な速度で回転をしながら、巨蜘蛛へと輝く身体を突っ込ませる。
超魔法とは、魔力消費量が激しい分だけ威力も凄まじい上級魔法だ。
ここぞという時、とカズミは判断したのだろう。
だが、術者であるカズミがまだ完全に覚醒していないということか、半死半生と思われる至垂にまだまだ余裕があるということなのか、その超魔法は巨蜘蛛の胴体を切り裂くことは出来ず水際で受け止められていた。
二本の前足で、ガードされたのである。
がりがりと、ぐちぐちと、激しく削ってはいるようだが、四肢では致命傷にならずすぐに回復されてしまうだろう。
回転をやめて、いったん地に足を着けたカズミは、
「くそあらあああ!」
絶叫しながら再び地を蹴って、両前足の間に肩を突っ込ませた。
強引に胴体部へと割り込んで、肩で体当たりをした。
どおん、
低い音、巨蜘蛛の身体が起き上がり、巨大な腹部が見えていた。
「とどめだあ!」
叫びナイフを腹部へ突き立てようとするカズミであるが、中足を闇雲に振り回す必死の反撃を受けて、地に叩き付けられてしまう。
だが、まだ終わりではなかった。
「超魔法グォウゼエグジブロジオム!」
今度は治奈の叫び声。
巨蜘蛛の腹部が、ほのかに青白く照らされる。
治奈が、自らを青白く輝かせながら、飛び込んでいたのである。
地に作り上げた魔法陣を蹴って、両手に槍を握り、全身に魔力を纏いながら。
次の瞬間、槍の穂先が巨蜘蛛の腹部へ深々と突き刺さっていた。
うぐあっ!
蜘蛛の背から生える至垂の顔が苦痛に歪む。
至垂は、なにやら喚きながら、巨蜘蛛の中足で槍を引き抜き投げ捨てた。
無防備な姿勢を元に戻して前足を着くと、その衝撃にまたぐらぐら激しく地面が揺れた。
「なんということだ……」
蜘蛛の背にへばりつきながら、白銀の魔法使い至垂は、視線を左右に走らせて追撃を警戒する。
なんの意味もないことだったが。
何故ならば、
「超魔法グォウゼエグジブロジオム!」
既にアサキが飛び込んで、両手に握る洋剣を打ち込んでいたからである。
地に描いた魔法陣を蹴って、雄叫び張り上げ全身を青白く輝かせながら、至垂の、まだ回復しきれていない上半身へと。
「りょおどおおおおおおおおおおお!」
断末魔にも似た呪いの言葉を吐きながらも、やはり至垂は恐ろしい怪物であった。
まだまるで治っていない瀕死の上半身であるというのに、超魔法を使うアサキの突進を長剣で受け止めたのである。
鍔を、迫り合う。
といっても、それはほんの一瞬だった。
怪物至垂も限界がきていたか、アサキがあっさり押し勝って、こうして三度、巨蜘蛛の巨体は空中へと舞い上がったのである。
だけどもアサキは追撃の手を緩めない。
再び足元に魔法陣を作り、蹴って、巨体を追って高く跳んだ。
空中で、一閃、二閃と洋剣の切っ先が走り、都度、太い悲鳴が空気を震わせた。
それは至垂の絶叫であった。
そして巨蜘蛛は、三度、地に落ちたのである。
低く激しく、地を揺るがしたのである。
「これでっ、とどめじゃ!」
アサキに続こうと、治奈も槍を持ったまま魔法陣を蹴って高く跳んだ。
落下しながら槍の柄を両手に握り直し、ひっくり返っている巨蜘蛛の腹部へと狙いを定めて、深く突き刺した。
いや、そう見えた瞬間、じたばたあがく巨蜘蛛の足に身体を横から殴られて、
「あいた!」
地面へと、身体を叩き付けてられていた。
恥ずかしそうに顔を赤らめながらも治奈はすぐ起き上がり、槍を構えた。
生じた僅かな隙に巨蜘蛛がごろり身体を横転させて、態勢を立て直した。
背から生える白銀の魔道着、至垂の表情からは、もう余裕は完全に失われており、あまりの損傷と疲労とに顔色を蒼白にし、悔しげにぎりぎりと歯軋りをしている。
「わたしも……学ばねばなるまいな。理、というものを」
歯軋りと、ぜいはあ荒い呼吸の中、至垂は自分にいい聞かせるように言葉を絞り出す。
「令堂くん、わたしにとってきみはもう用がないどころか百害千害の存在だ。覚えておくといい。今度は必ず殺す」
なんの魔法かぱっと真っ白な閃光が生じ、突然の明暗反転になんにも見えなくなった。
ぞぞっ
と、地を擦る音に、
「待ちやがれ!」
大きな声を張り上げるカズミであったが、しかし眩しさ残光の中、既に巨蜘蛛の姿はどこにも見えなかった。
遠くから、高らかな笑い声が聞こえるばかりだった。
呆然覚めやらぬ、といった表情、口調のカズミである。
治奈、アサキも、やはり夢か現かという表情で、やり場なくただ正面を見つめている。
そうもなるのだろう。
起きたこととしては、自分たちの敵である至垂徳柳を、白服の少女が代わって倒してくれた、という、ただそれだけであるが細々が様々と奇異であるためだ。
一体、何者であるのか。
そして、特筆すべきはその戦闘力。
アサキたちが三人掛かりで苦戦していた至垂を、ただの一撃で倒してしまったのだから。
まだ幼く見える少女がたった一人で、しかも素手であったというのに。
もし味方ならば心強いが、至垂を倒したからといって敵の敵は味方が当てはまるかは分からないため、警戒は必要なのであろうが、
しかしアサキたちには、分析する時間や悠長に考えている余裕などはなかった。
おおおおおお
低い唸り声、そして地響き。ぐらぐら地が揺れる。
「まさか……」
アサキが、地に埋もれた至垂を見るが、そこに至垂は存在しなかった。陥没した中に腹を上にして半分埋まっていたのに、ただそこには舗装の砕けた大きな穴が空いているだけだった。
空中だ。
至垂を背から生やす巨大蜘蛛は空中、高く跳んでいた。
背の力だけで、地を叩き付けて跳ね上がったのだろう。
落下しながら、くるり器用に巨体を反転させて六本の足で着地すると、また地面が吹き上がりぐらぐら激しく揺れた。
巨蜘蛛の背の上には白銀の魔道着を着た至垂の身体があるはずであるが、現在その姿はどこにも見えなかった。
自重に潰された?
いや、存在している。巨蜘蛛の背中に、埋没していた。
深い穴から抜け出すように、自身が埋没している縁に手を掛けて、がうう、と唸りながら、至垂は自らの身体を外へと引き出した。
背骨も肋骨も、骨という骨が折れているのだろうか。筋力に任せ自らを引き出したはいいが、上体を立てることが出来ずにおり、腕の力だけでなんとか身を起こそうとしている。
骨が折れているのみならず、身体も潰れに潰れ、皮膚も裂けに裂け、ぐちゃぐちゃの酷い状態だ。先ほどアサキが投げ飛ばした時の、比ではないくらいに至垂の身体が砕けている。
その、なんともおぞましい姿に、アサキは思わず息を飲むが、だが次の瞬間には叫び声を上げて前へ、至垂へと、走り出していた。
あの白い服の少女が、また現れるかなど分からない。
そもそも、味方であるかも分からない。
ならば自分たちが戦うしかないのだ。
唖然呆然としてばかりなど、いられない。
卑怯だなどとも、いっていられない。
この場を、生き残らなくちゃならないのだから。
戦うことにあまり乗り気になれず、相当な甘さを見せていたアサキであるが、ようやく本気になっていた。
同じことを考えていたのか、合図もなく治奈もカズミもほぼ同時に走り出していた。
ぐしゃぐしゃに潰れた至垂の上半身を背中から生やしながら、巨蜘蛛の身体が後退する。
まるで、踏まれた路上の雑草のような至垂の身体であるが、その姿が急速に戻りつつあった。
傷が癒え、潰れていた身体がむくむくと膨らんでいた。
非詠唱魔法で、自らを修復しているのだ。
だが、
「させねえんだよ! ザイシュネイル・ウォンシュ……」
カズミの、素早い呪文詠唱。
「超魔法グォウゼエグジブロジオム!」
技名を叫びながら強く地を蹴った。
両手にナイフを握ったまま巨蜘蛛へと跳ぶ。
全身が、青白い光に包まれていた。
頭から足先までを軸に猛烈な速度で回転をしながら、巨蜘蛛へと輝く身体を突っ込ませる。
超魔法とは、魔力消費量が激しい分だけ威力も凄まじい上級魔法だ。
ここぞという時、とカズミは判断したのだろう。
だが、術者であるカズミがまだ完全に覚醒していないということか、半死半生と思われる至垂にまだまだ余裕があるということなのか、その超魔法は巨蜘蛛の胴体を切り裂くことは出来ず水際で受け止められていた。
二本の前足で、ガードされたのである。
がりがりと、ぐちぐちと、激しく削ってはいるようだが、四肢では致命傷にならずすぐに回復されてしまうだろう。
回転をやめて、いったん地に足を着けたカズミは、
「くそあらあああ!」
絶叫しながら再び地を蹴って、両前足の間に肩を突っ込ませた。
強引に胴体部へと割り込んで、肩で体当たりをした。
どおん、
低い音、巨蜘蛛の身体が起き上がり、巨大な腹部が見えていた。
「とどめだあ!」
叫びナイフを腹部へ突き立てようとするカズミであるが、中足を闇雲に振り回す必死の反撃を受けて、地に叩き付けられてしまう。
だが、まだ終わりではなかった。
「超魔法グォウゼエグジブロジオム!」
今度は治奈の叫び声。
巨蜘蛛の腹部が、ほのかに青白く照らされる。
治奈が、自らを青白く輝かせながら、飛び込んでいたのである。
地に作り上げた魔法陣を蹴って、両手に槍を握り、全身に魔力を纏いながら。
次の瞬間、槍の穂先が巨蜘蛛の腹部へ深々と突き刺さっていた。
うぐあっ!
蜘蛛の背から生える至垂の顔が苦痛に歪む。
至垂は、なにやら喚きながら、巨蜘蛛の中足で槍を引き抜き投げ捨てた。
無防備な姿勢を元に戻して前足を着くと、その衝撃にまたぐらぐら激しく地面が揺れた。
「なんということだ……」
蜘蛛の背にへばりつきながら、白銀の魔法使い至垂は、視線を左右に走らせて追撃を警戒する。
なんの意味もないことだったが。
何故ならば、
「超魔法グォウゼエグジブロジオム!」
既にアサキが飛び込んで、両手に握る洋剣を打ち込んでいたからである。
地に描いた魔法陣を蹴って、雄叫び張り上げ全身を青白く輝かせながら、至垂の、まだ回復しきれていない上半身へと。
「りょおどおおおおおおおおおおお!」
断末魔にも似た呪いの言葉を吐きながらも、やはり至垂は恐ろしい怪物であった。
まだまるで治っていない瀕死の上半身であるというのに、超魔法を使うアサキの突進を長剣で受け止めたのである。
鍔を、迫り合う。
といっても、それはほんの一瞬だった。
怪物至垂も限界がきていたか、アサキがあっさり押し勝って、こうして三度、巨蜘蛛の巨体は空中へと舞い上がったのである。
だけどもアサキは追撃の手を緩めない。
再び足元に魔法陣を作り、蹴って、巨体を追って高く跳んだ。
空中で、一閃、二閃と洋剣の切っ先が走り、都度、太い悲鳴が空気を震わせた。
それは至垂の絶叫であった。
そして巨蜘蛛は、三度、地に落ちたのである。
低く激しく、地を揺るがしたのである。
「これでっ、とどめじゃ!」
アサキに続こうと、治奈も槍を持ったまま魔法陣を蹴って高く跳んだ。
落下しながら槍の柄を両手に握り直し、ひっくり返っている巨蜘蛛の腹部へと狙いを定めて、深く突き刺した。
いや、そう見えた瞬間、じたばたあがく巨蜘蛛の足に身体を横から殴られて、
「あいた!」
地面へと、身体を叩き付けてられていた。
恥ずかしそうに顔を赤らめながらも治奈はすぐ起き上がり、槍を構えた。
生じた僅かな隙に巨蜘蛛がごろり身体を横転させて、態勢を立て直した。
背から生える白銀の魔道着、至垂の表情からは、もう余裕は完全に失われており、あまりの損傷と疲労とに顔色を蒼白にし、悔しげにぎりぎりと歯軋りをしている。
「わたしも……学ばねばなるまいな。理、というものを」
歯軋りと、ぜいはあ荒い呼吸の中、至垂は自分にいい聞かせるように言葉を絞り出す。
「令堂くん、わたしにとってきみはもう用がないどころか百害千害の存在だ。覚えておくといい。今度は必ず殺す」
なんの魔法かぱっと真っ白な閃光が生じ、突然の明暗反転になんにも見えなくなった。
ぞぞっ
と、地を擦る音に、
「待ちやがれ!」
大きな声を張り上げるカズミであったが、しかし眩しさ残光の中、既に巨蜘蛛の姿はどこにも見えなかった。
遠くから、高らかな笑い声が聞こえるばかりだった。
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