運命の出会いは突然に

おみや

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運命の出会いは必然に

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「13、14,15っと。確かに」


 封筒を受け取ると、サーヤはにっこりと微笑んだ。



「それで、うまくいってるの~?」

「ええ、うまくいってるわ。私、お金はあるから」

「さすが、キャリアウーマン。まあ、また、必要があればいつでもご利用ください」

「もちろん。折角お金を払うなら、若い顔のいい男の子がいいもの」



 指の先から足の先まできっちりと整えられた奈々子はそれがさも当然のように答えた。



「村っぴには話したの?」

「言ったわよ」

「で?」

「でって?」

「いや、村っぴの反応」

「反応って。向こうも別にこっちに恋愛感情なんてないもの。私は観賞用。彼は人生のスポンサー。それだけよ。お互い飽きたらおしまい。その相性を見る為の旅行だったんだから」

「おっとな~」

「それより、向こうもうまくいったんでしょ?」

「順調に交際しているって芝やんから連絡来たよ」

「彼女は何も知らないんでしょ?」

「世の中、知らない方がいいって事もあるよ」

「それはそうだけど。彼女の気の毒ね。何も知らないで」

「そうかな?幸せじゃない?別に騙してる訳じゃないし」

「ギリギリのラインじゃない?」

「えー。話のきっかけとして相手の好きなものを調べるのって普通の事でしょ?美里っちがSNSで発信してるんだもん。世界中に。キャンプしてみたーいとか。一眼レフ興味あるとか、子供の頃から蜂蜜入りホットミルクが好きーって」

「まあ、そう言われればそうね…」

「でしょ?」

「でも、彼、あれでしょ…」

「ああ、ストーカー?」

「言い方は悪いけど、それよ」

「昔から一途に思っていただけだよ。陰ながら。そのおかげで一眼レフに詳しくなって、美里っちと話が合って。美里っちも運命感じたんなら、それはもう運命だよ」



 サーヤはそういうと、目の前のメロンジュースを勢いよく飲み干した。


 
「ではでは。これで。また何かあったら連絡くださいな」









「人の事ばっかり心配して、自分の相手もストーカーって事に気付かないかなぁ。草はえるわ~。芝やんは絶対逃がさない為に、孕ませて結婚するって言ってたし。世の中、知らない方がいいって事もあるよね~」


 温かくなった懐に、サーヤはにやりと笑った。
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