1 / 1
虹色のネコ
しおりを挟む
街はずれの森のずっと奥に大きな山があった。
その山の真ん中に、やっぱり大きな泉があって、そこに一匹のネコがいた。
そのネコは、毛が虹色に輝くネコだった。
誰もいない山の中で、毎日花の道を散歩したり、虫を追いかけたりしていた。
ずっと一人ぼっちだったから、寂しいと思うこともなかった。でも、小鳥やうさぎが仲間と楽しそうにしているのを見ると、胸がちくりと痛くなった。
そんな時は大きな木のくぼみに入る。そうすればあったかくなる気がした。
「お前さん、仲間の所にいかなくていいのかね?」
ある日、ミミズクがそうネコに聞いた。
「ずっと1人だもん。仲間なんてどこにもいないよ」
するとミミズクがこう言った。
「そうかい?山をおりて、そこに広がる森をぬけた先にお前さんのようにキラキラ輝くのがたくさん見えたがの。もしかしたら、そこにお前さんの仲間が居るかもしれないよ」
ミミズクはそう言うと、目を閉じた。
ネコはピューと山をかけあがり、山の上から森の先をみた。
ミミズクの言うとおり、赤や緑、黄色や青、たくさんの色がまばゆくきらめいていた。
手を見ると、自分も同じようにきらきらと輝いてる。
「仲間が居るのかな…」
ネコはさっきの道をまた、ピューとかけ降りると、ミミズクに元気に声をかけた。
「仲間のところにいく事にした!」
「そうか、それがいい。最近、空も森もなんだか様子がおかしい。仲間が居るなら、一緒にいた方がいい 」
ミミズクはそういうと、ホーと安心したように一鳴きして飛び立った。
そうして、ネコは仲間を求めて旅にでた。
※
森を歩いているとどこからか、しくしくと泣き声が聞こえてくる。
「ねえ、どうしたの?なんで、泣いてるの?」
「私は太陽。赤をどこかに落としてしまったのさ。もう、みんなを優しくてらせない」
「赤があればいいの?」
ネコはそう言うと、体から赤をとって太陽にあげました。
「いいのかい?」
「うん。あっちに仲間が居るなら、大丈夫」
太陽はニコニコ笑顔になり、空に帰っていきました。
※
また、歩いているとやはり泣き声が聞こえてきます。
「ねえ、どうしたの?なんで、泣いてるの?」
「私は月。黄色をどこかに落としてしまったの。黄色がなければ、空にぽっかり穴があいたみたいになっちゃうよ」
「黄色があればいいの?」
ネコはそう言うと、体から黄色をとって月にあげました。
「いいのかい?」
「うん。あっちに仲間が居るなら、大丈夫」
月はニコニコ笑顔になり、空に帰っていきました。
※
ネコが歩いていると、空からポタポタと雨が降ってきました。
「ねえ、どうしたの?なんで、泣いてるの?」
「私は空。青をどこかに落としてしまったの。空が青くなければ鳥がまっすぐに飛べなくなってしまう」
「青があればいいの?」
ネコはそう言うと、体から青をとって空にあげました。
「いいのかい?」
「うん。あっちに仲間が居るなら、大丈夫」
空はニコニコ笑顔になり、雨はすっかりあがりました。
※
雨で濡れた森は、太陽に照らされてキラキラ輝いています。
でも、なんだか、元気が無いように見えます。
「どうしたの?」
「私は森。緑が少なくて、森に元気がないんだ元気がないんだ」
「緑があればいいの?」
ネコはそう言うと、体から緑をとって森にあげました。
「いいのかい?」
「うん。あっちに仲間が居るなら、大丈夫」
森は嬉しそうに木をゆらしました。
※
それからもネコは自分が持っている色をあげました。
もう、虹色のネコではありません。
夜の闇に溶けそうなほど真っ黒な黒猫になり、仲間と共に今日もにゃーと、鳴きました。
その山の真ん中に、やっぱり大きな泉があって、そこに一匹のネコがいた。
そのネコは、毛が虹色に輝くネコだった。
誰もいない山の中で、毎日花の道を散歩したり、虫を追いかけたりしていた。
ずっと一人ぼっちだったから、寂しいと思うこともなかった。でも、小鳥やうさぎが仲間と楽しそうにしているのを見ると、胸がちくりと痛くなった。
そんな時は大きな木のくぼみに入る。そうすればあったかくなる気がした。
「お前さん、仲間の所にいかなくていいのかね?」
ある日、ミミズクがそうネコに聞いた。
「ずっと1人だもん。仲間なんてどこにもいないよ」
するとミミズクがこう言った。
「そうかい?山をおりて、そこに広がる森をぬけた先にお前さんのようにキラキラ輝くのがたくさん見えたがの。もしかしたら、そこにお前さんの仲間が居るかもしれないよ」
ミミズクはそう言うと、目を閉じた。
ネコはピューと山をかけあがり、山の上から森の先をみた。
ミミズクの言うとおり、赤や緑、黄色や青、たくさんの色がまばゆくきらめいていた。
手を見ると、自分も同じようにきらきらと輝いてる。
「仲間が居るのかな…」
ネコはさっきの道をまた、ピューとかけ降りると、ミミズクに元気に声をかけた。
「仲間のところにいく事にした!」
「そうか、それがいい。最近、空も森もなんだか様子がおかしい。仲間が居るなら、一緒にいた方がいい 」
ミミズクはそういうと、ホーと安心したように一鳴きして飛び立った。
そうして、ネコは仲間を求めて旅にでた。
※
森を歩いているとどこからか、しくしくと泣き声が聞こえてくる。
「ねえ、どうしたの?なんで、泣いてるの?」
「私は太陽。赤をどこかに落としてしまったのさ。もう、みんなを優しくてらせない」
「赤があればいいの?」
ネコはそう言うと、体から赤をとって太陽にあげました。
「いいのかい?」
「うん。あっちに仲間が居るなら、大丈夫」
太陽はニコニコ笑顔になり、空に帰っていきました。
※
また、歩いているとやはり泣き声が聞こえてきます。
「ねえ、どうしたの?なんで、泣いてるの?」
「私は月。黄色をどこかに落としてしまったの。黄色がなければ、空にぽっかり穴があいたみたいになっちゃうよ」
「黄色があればいいの?」
ネコはそう言うと、体から黄色をとって月にあげました。
「いいのかい?」
「うん。あっちに仲間が居るなら、大丈夫」
月はニコニコ笑顔になり、空に帰っていきました。
※
ネコが歩いていると、空からポタポタと雨が降ってきました。
「ねえ、どうしたの?なんで、泣いてるの?」
「私は空。青をどこかに落としてしまったの。空が青くなければ鳥がまっすぐに飛べなくなってしまう」
「青があればいいの?」
ネコはそう言うと、体から青をとって空にあげました。
「いいのかい?」
「うん。あっちに仲間が居るなら、大丈夫」
空はニコニコ笑顔になり、雨はすっかりあがりました。
※
雨で濡れた森は、太陽に照らされてキラキラ輝いています。
でも、なんだか、元気が無いように見えます。
「どうしたの?」
「私は森。緑が少なくて、森に元気がないんだ元気がないんだ」
「緑があればいいの?」
ネコはそう言うと、体から緑をとって森にあげました。
「いいのかい?」
「うん。あっちに仲間が居るなら、大丈夫」
森は嬉しそうに木をゆらしました。
※
それからもネコは自分が持っている色をあげました。
もう、虹色のネコではありません。
夜の闇に溶けそうなほど真っ黒な黒猫になり、仲間と共に今日もにゃーと、鳴きました。
0
お気に入りに追加
1
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる