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第四章 魔法学校編

99 絶句

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 外にいるのもあれだからと研究所の中へ移動することになった俺たちは、重い足取りで唯一足取りの軽いレイさんの後に続いた。フィルは焦ったように俺の横に並び、耳打ちをする。

「だ、大丈夫? モニター役なんて引き受けて?」
「でも、杖貰うためだから致し方ないと言うか……エログッズのモニターってどんなことするんだ?」
「それは……僕の口からはなんとも……」

 目を逸らした……こっちを向いてくれフィルよ。不安なのがもっと不安になるではないか。その後、フィルの口は固く閉ざされ開くことはなかった。

「ではでは、サタロー君、これを付けてくださーい!」

 部屋について早々に渡されたのはなんの変哲もないチョーカーだった。もっとグロテスクな物を渡されると思ったがごく普通のファッションにも使われる見た目もシンプルなやつで拍子抜けしてしまった。
 部屋をそっと見渡すと杖や槍、剣、弓など様々な武器が置かれている。こちらも意外とまともなものが置かれていてホッとする。しかしある区間からなんかすごく見ちゃいけない物がたくさん置いてある場所が目に入ってしまった。俺はエログッズなんて見たことないのでそれらが本当にそういうことに使う物なのかは分からない。しかし、俺の脳みそがアレには触れるなと危険信号を出している。見なかったことにしよう……今はあのグロテスクな物でなくこのなんの変哲のないチョーカーを渡されたことに安堵しよう。
 俺はレイさんに渡されたチョーカーをなんの疑いもなく付けた。

「はい、じゃあフィル君も付けましょ~」
「はっ?! ちょ! 何するんですか?!」

 レイさんは俺に渡したものと同じチョーカーをもう一つ取り出し、フィルの首に手際よく付けた。抵抗しようとしたフィルだが余りの速さに逃れる暇も無かった。
 
「はいはーい、フィル君、逃げない逃げない」

 今もレイさんの腕の中から逃げようとしているフィルだが、力の差か逃げ出すことができずにいる。涙目である。
 同じ物を付けられている俺とフィルの間にはリアクションに大きな違いがある。これから起こることを理解している差なのだろうか。上司のすることを理解しているとてもいい部下である。しかしながら部下を捕まえて涙目にさせる上司の行動はパワハラでしかない。そしてこれから起こることはセクハラなのだが、俺には全く想像できないので身構えてはいるものの、俺が使う杖を貰うためなので俺はフィルのように拒否はできない。そもそも、フィルは全く関係ないのでこれはもしかしたらフィルはただとばっちりを受けているだけなのかもしれない。多分そうなので心の中で謝っておこう。終わったら美味しいスイーツでも持って行くことにしよう。

「それでコレはどんな効果があるんだ?」

 今まで黙って俺たちの様子を見ていたレオが口を開く。今回、自分にはなんの被害もないと知りそこら辺に置いてあった椅子に座りリラックス状態だ。さっきまでの青ざめた顔はどこへ行ったんだ! この裏切り者が!
 俺の怒りとは裏腹にレイさんはレオの質問にその言葉待っていましたとばかりに得意げな表情でこのチョーカーの効果を話し始めた。

「例えば、こんな状況に出会したことはないかい? 3Pをすることになったのだが、なんと自分以外はバリネコだった。しかーし! 自分のちんこは一つしかない! そんな状況よくあるだろう?」
「ないです!」
「ねーよ!」
「ある訳ないでしょ!!」

 レイさんの説明に三人は全力で否定する。
 ないだろそんな状況。まず3Pをする状況になることが意味不明だ。他3人も同じことを思っていてよかった。
 しかしレイさんは俺たちの言葉など耳に届いていないかの如く華麗にスルーし、説明の続きを話し始めた。

「そんな時に役立つのがこのチョーカー! 一見なんの変哲もないチョーカーだが、実はこの二つのチョーカーはリンクしていて、片方のチョーカーを付けている者が快楽を感じるともう一つのチョーカーを付けている者にも同じ快楽を感じることができるのでーす! どお? すごいでしょ!」
「……アホくさ」
「「……………」」

 呆れたようにレオがため息を吐く。そして相変わらず辛辣なお言葉。俺とフィルに至っては絶句状態である。フィルの絶句の意味は俺には分からないが、俺がなぜ言葉を失ったかというと、何故そんなすごい物を作れる人がこんなエログッズに心血注いで開発しているのかという驚きと呆れが混じり合い言葉が出ないからだ。

「更にすごいのは、直接触られていない側も直接触られている側同様の場所に快楽を感じるということ! ただ快楽を感じるだけではなく弄られているという感覚を味わうことができる。つまりね、一人が遠く離れた場所にいてもこのチョーカーさえ付けていれば、同時に二人を気持ちよくさせられる訳よ!」
「「「………………」」」

 この言葉にはレオでさえ絶句であった。もし仮にそれができたとして、直接触られる方はいいが、もう一人は予告もなくそんな事されたらたまったもんじゃない。周りに誰かがいたらどうするのだ。一人だったとしてももう一人は相手とよろしくやってて、自分は一人虚しく喘いでるとかそんな状況嫌すぎる。3人いないと成立しないこの魔道具に需要があるとはとても思えない。

「なんだが、よくわかっていないようだから実践あるのみって感じだねー」

 意味は分かっている。分かっているが必要性に疑問を感じているのだ。こんなふざけた絶対に需要のない魔道具のモニターをしなくてはいけないのかと絶望しているのだ。

「それではまず、フィルくんの可愛いちんこを可愛がってあげましょ~」
「ちょっ! ひゃう! あっ、やめっ!」

 レイさんは突然にそして慣れた手付きでフィルのズボンを下げて彼の性器を取り出した。
 風呂場でばったり出会して見るのとはわけが違う。こんな状況で見てしまったことに申し訳なさを感じる。それよりもこんな状況で見られながら性器を弄られるフィルの方が可哀想である。
 そんなことを思っていると俺の性器にもなんだが誰かに触られている感覚を感じた。

「なっ、あッ……なにこれっ、なんか触られてるっ」
「おぉ、上手くいったみたいだね。ではではイくまで続けてみようか」

 レイさんは満面の笑みを浮かべそう言った。
 この人ほんとに変態だ。俺が出会った中でも一番やばい性癖の持ち主だ。だからみんな来るのを嫌がってたのか。その意味が今やっと分かった俺であった。
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