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第一章 転移編
17 就寝場所
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アルが戻ってきたところでパスカルとの話はお開きとなった。まだクロノス王国について聞くことはできていなかったが、いつでも聞くことはできるため今回はこれで良しとしよう。
朝食は頑張って食べたが四分の一ほど残っていた。少食の俺にしてはかなり食べた方である。
因みにデザートのフルーツはパスカルが勝手に食べてしまったため、お皿の上は綺麗さっぱりなくなっている。どうせ食べられなかったのでいいのだが。
「ごめん、さすがに食べきれなかった」
俺は申し訳なさそうにテントに入ってきたアルに謝った。すると俺の言葉に反応したのはパスカルだった。
「食べないんだったらわしが食べよう」
そう言ったパスカルは、俺の目の前のお皿を自分のところへ寄せると自身のフォークを持ちムシャムシャと食べ始めた。小柄なのに大食漢なことに驚くが、廃棄するよりマシなのでありがたい。
「二人でなんの話をしていたんだ?」
「えーと、アルとギルバードのことについてパスカルに教えてもらってたんだよ……アルって師団長さんだったんだね、俺びっくりしたよ」
「ははっ、似合わないよね。私も自分で柄じゃないなと思うんだけどね」
「そんなことないよ!」
アルは自分が師団長なのは似合わないことだと思っているようだ。すぐに否定した俺だが同じことを思ってしまっていたので居た堪れない気持ちになる。
その後は遠征訓練に来ている他の兵士達に俺のことを紹介した方がいいのではないかと提案され、俺はそれを承諾した。
いきなり兵士でもない見ず知らずの男がテントで寝泊まりしていたら不審がるだろうし、昨日テントから出て行くのをかなりの兵士達に見られていた。迷惑をかけないためにも知っておいてもらうべきだと思う。
それから、俺がどのテントで寝泊まりするかの話になった。
「アルのテントでいいんじゃないか?」
「私は構わないよ」
パスカルの提案を快く受け入れるアルだが、俺は申し訳ないが構うぞ。
昨日は俺が気を失ってしまいそのままアルのベットで眠ったが、平常時もアルの隣で眠るのは難易度が高い。緊張して寝不足になるのが予想できる。
そうなったら魔力が減るのが早くなってしまい非常によろしくない。
どうにかアルを傷つけないように丁重にお断りしなくてはいけない。俺は頭をフル回転させる。
「サタローもそれでいいか?」
「……アルは師団長としての仕事もあるし夜はやっぱり一人でゆっくり寝たいと思う」
「私はそんなことないけど」
「いや、アルは優しいから知らないうちに気を遣っているんだよ……決して寝たくないわけではなく、これ以上アルに負担をかけたくないんだ」
「そうか……じゃあギルのテントにするかい?」
アルは俺の言い分を理解してくれたようで助かった。しかし、次の提案はアルと寝るよりも、もっとハードルの高いものだった。
正直ギルバードとは、出会ってからまだまともに話したことがない。助けてもらったお礼もまだ言えていないし、一緒に寝る以前に二人だけの空間になることがまず考えられなかった。
「いや、その、それもやっぱり負担になるだろうし」
「じゃあどうしようか、他の兵士達は共同テントだし……そこにサタローを寝かすのは気が引ける」
「俺は別に一緒でも構わないけど……」
二人きりで寝るぐらいだったら俺は共同でも構わなかった。特に人見知りってわけでもないし、そっちならベットも一人用であるみたいだ。寝るだけだったらそっちでも不便はない。
「ダメだ! 絶対にダメだ!」
「えぇ……どうしたんだアル」
アルは俺の肩を掴み、見たこともないすさまじい形相で俺の言葉を全力で否定してきた。
どうしたんだ急に……。
俺はあまりの迫力に気圧される。
「ならわしのテントにするかー、どうせわし一人だし」
「あぁ、それがいいパスカルなら安心だ!な、サタロー」
「あ、ああ」
パスカルの言葉にすさまじい形相のアルは消えいつもの穏やかな表情へと戻る。
パスカルなら俺の身体のことも転移者だということも知っているし俺も心置きなく眠ることができる。
今後の俺の寝床が決まったところで、テントの外に出てアルは他の兵士達に俺の紹介をした。
◇◇◇
というわけで夜になり、寝る支度をした俺はパスカルのテントへ向かう。
昨日の怒涛の一日とは裏腹に、二日目の今日はのんびり穏やかな一日を過ごすことができた。
俺とパスカルはベッドの中へ入る。
アルのテントに置かれているベッドより多少狭かったが、小柄なパスカルとならそう窮屈に感じることもなかった。
寝る前に一つ不思議に思ったことがあり、眠そうなパスカルに質問する。
「なぁ、なんでアルはあんなに他の奴らと俺が寝るのを拒んだんだ?」
「あー、それか、言っただろうサタローには不思議な魅力があるって」
確かに昨日もそんなこと言われた気がするが、俺にはなんのことだかさっぱりわからない。
「だからなんなんだよその不思議な魅力って……」
「……」
返事のないパスカルの方を見ると寝息をたててもう熟睡していた。
「寝るの早っ!」
結局不思議な魅力の真相もわからないまま俺も早々に眠りについた。
朝食は頑張って食べたが四分の一ほど残っていた。少食の俺にしてはかなり食べた方である。
因みにデザートのフルーツはパスカルが勝手に食べてしまったため、お皿の上は綺麗さっぱりなくなっている。どうせ食べられなかったのでいいのだが。
「ごめん、さすがに食べきれなかった」
俺は申し訳なさそうにテントに入ってきたアルに謝った。すると俺の言葉に反応したのはパスカルだった。
「食べないんだったらわしが食べよう」
そう言ったパスカルは、俺の目の前のお皿を自分のところへ寄せると自身のフォークを持ちムシャムシャと食べ始めた。小柄なのに大食漢なことに驚くが、廃棄するよりマシなのでありがたい。
「二人でなんの話をしていたんだ?」
「えーと、アルとギルバードのことについてパスカルに教えてもらってたんだよ……アルって師団長さんだったんだね、俺びっくりしたよ」
「ははっ、似合わないよね。私も自分で柄じゃないなと思うんだけどね」
「そんなことないよ!」
アルは自分が師団長なのは似合わないことだと思っているようだ。すぐに否定した俺だが同じことを思ってしまっていたので居た堪れない気持ちになる。
その後は遠征訓練に来ている他の兵士達に俺のことを紹介した方がいいのではないかと提案され、俺はそれを承諾した。
いきなり兵士でもない見ず知らずの男がテントで寝泊まりしていたら不審がるだろうし、昨日テントから出て行くのをかなりの兵士達に見られていた。迷惑をかけないためにも知っておいてもらうべきだと思う。
それから、俺がどのテントで寝泊まりするかの話になった。
「アルのテントでいいんじゃないか?」
「私は構わないよ」
パスカルの提案を快く受け入れるアルだが、俺は申し訳ないが構うぞ。
昨日は俺が気を失ってしまいそのままアルのベットで眠ったが、平常時もアルの隣で眠るのは難易度が高い。緊張して寝不足になるのが予想できる。
そうなったら魔力が減るのが早くなってしまい非常によろしくない。
どうにかアルを傷つけないように丁重にお断りしなくてはいけない。俺は頭をフル回転させる。
「サタローもそれでいいか?」
「……アルは師団長としての仕事もあるし夜はやっぱり一人でゆっくり寝たいと思う」
「私はそんなことないけど」
「いや、アルは優しいから知らないうちに気を遣っているんだよ……決して寝たくないわけではなく、これ以上アルに負担をかけたくないんだ」
「そうか……じゃあギルのテントにするかい?」
アルは俺の言い分を理解してくれたようで助かった。しかし、次の提案はアルと寝るよりも、もっとハードルの高いものだった。
正直ギルバードとは、出会ってからまだまともに話したことがない。助けてもらったお礼もまだ言えていないし、一緒に寝る以前に二人だけの空間になることがまず考えられなかった。
「いや、その、それもやっぱり負担になるだろうし」
「じゃあどうしようか、他の兵士達は共同テントだし……そこにサタローを寝かすのは気が引ける」
「俺は別に一緒でも構わないけど……」
二人きりで寝るぐらいだったら俺は共同でも構わなかった。特に人見知りってわけでもないし、そっちならベットも一人用であるみたいだ。寝るだけだったらそっちでも不便はない。
「ダメだ! 絶対にダメだ!」
「えぇ……どうしたんだアル」
アルは俺の肩を掴み、見たこともないすさまじい形相で俺の言葉を全力で否定してきた。
どうしたんだ急に……。
俺はあまりの迫力に気圧される。
「ならわしのテントにするかー、どうせわし一人だし」
「あぁ、それがいいパスカルなら安心だ!な、サタロー」
「あ、ああ」
パスカルの言葉にすさまじい形相のアルは消えいつもの穏やかな表情へと戻る。
パスカルなら俺の身体のことも転移者だということも知っているし俺も心置きなく眠ることができる。
今後の俺の寝床が決まったところで、テントの外に出てアルは他の兵士達に俺の紹介をした。
◇◇◇
というわけで夜になり、寝る支度をした俺はパスカルのテントへ向かう。
昨日の怒涛の一日とは裏腹に、二日目の今日はのんびり穏やかな一日を過ごすことができた。
俺とパスカルはベッドの中へ入る。
アルのテントに置かれているベッドより多少狭かったが、小柄なパスカルとならそう窮屈に感じることもなかった。
寝る前に一つ不思議に思ったことがあり、眠そうなパスカルに質問する。
「なぁ、なんでアルはあんなに他の奴らと俺が寝るのを拒んだんだ?」
「あー、それか、言っただろうサタローには不思議な魅力があるって」
確かに昨日もそんなこと言われた気がするが、俺にはなんのことだかさっぱりわからない。
「だからなんなんだよその不思議な魅力って……」
「……」
返事のないパスカルの方を見ると寝息をたててもう熟睡していた。
「寝るの早っ!」
結局不思議な魅力の真相もわからないまま俺も早々に眠りについた。
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