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第一章 転移編
7 精液
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「えっと、今なんて言った?」
「だから精液だよ、せ・い・え・き」
うん、何度聞いても同じ、精液だ。
確かに、唾液と同じ体液であることは間違いない……
「って、はぁぁ!! 何言ってんの精液ってあの精液!」
「うん、その精液だと思うけど……興奮しすぎ」
「な!……ごほん、でなんで精液の方が良い方法なんだよ」
パスカルが俺のガキみたいな反応に呆れているのに気づき、咳払いをして落ち着く。
精液如きでテンション上がるとか思春期の中学生かよ。
「ほら、精液と唾液のどちらに生命力を感じるかっていうとさ、どっちだと思う」
「そりゃ、精液だろ」
「だろ、だから」
「なんだよその馬鹿が考えそうな理由」
パスカルのあまりにもテキトーな返答にげんなりする俺。
だが、言っていることはわからんでもない。
「精液の方はどのくらい保つんだよ」
「うーん、やってみないとなんとも言えないが、3、4日は保つと思われる」
唾液が大体6時間だがら精液の方がコスパはいいのだろうか?
正直比べようがないし、恥ずかしさでいうなら唾液を貰うキスよりも、精液をもらう行為の方がハードルは高い気がする。
俺からしたら両方ともスカイツリーレベルのハードルの高さだが。
魔法が使える世界なんだからもう少し効率の良い方法がないのだろうか。
魔力ってことはつまりマジックポイントMPってことだろ。なんかこうなんちゃらの聖水とかなんちゃらグミみたいな、魔力回復に使えるアイテムみたいなのはないのだろうか。
「なー、魔力を回復するアイテムとかないのかよ」
「……あるぞ」
あるのかよ!だったらさっきみたいなえっちーことしなくても良いじゃないか!
ちょっと残念がる俺の変態心は無視しよう。
「あるんならそれ使えばいいだろ」
「はぁー、そう上手いこといくんだったらいいんだけどな」
「え、ダメなの?」
パスカルの反応はあまり良いものではなかった。こんだけ色々知っているパスカルが、アイテムの存在を忘れるわけはないのか。話していなかった時点で、効果がないってことだ。
「この世界でのマジックポーションは、飲むことでその液体を自分の体の中で魔力に変換するんだ……だからそもそも変換機能がないサタローでは飲んでもただの水と一緒なの」
「なるほど……」
パスカルのアイテム説明に納得する。
そもそも、俺は何のためにこの世界にきたのだろうか。エッチなことする為に連れてこられたのか?
ギルバードに助けられて、優しいアルフレッドや事情をよく知るパスカルに出会っていたから良かったが、こんな使い物にならないむしろ邪魔な存在すぐ殺されてもおかしくない。
ギルバードに助けられていなかったらそもそもの魔力切れで死んでいたわけだし。
「まぁ、そう落ち込むな、なぜこんな身体で転移してきたのかはわからないがきっと何かしらの意味があるんだろう」
「そう……かな」
俺が落ち込んでいるのに気づいたのか、パスカルが励ましの言葉をかけてくれる。
「それにサタローを見ていると、放っておけない気持ちになる。不思議な魅力だ」
「はぁ? なんだよそれ……」
「さぁ、なんだろうな」
見た目ガキなのに俺よりも長生きしている分、何をするにもとても余裕そうな顔でムカつく。
「それよりもさっさと精液を分けてくれる者を探さないとな」
「あっ! そっか……どうしよう」
「とりあえずアルとギルに事情を話そう、アルはあの通りお人好しだし、ギルもなんやかんやで優しいからな」
どうやらあの二人に俺の事情は話す様だ。シンプルに恥ずかしいんだけど……また死にそうなんで今度は精液くださいってお願いしなければいけないのか。
使えない病人から足手まといの変態にジョブチェンジすることになるわけだ。あまりに不名誉すぎる。
そもそもお人好しと優しいだけで、精液くれるのだろうか。精液をもらうってことはセックスするんだろ。前世でもしたことないのにあんなイケメンとするとか……恥ずかしすぎて死ねる。
「じゃあ呼んでくる」
「ちょっと待った!」
テントの外で待つアルフレッドとギルバードを呼びに行こうとしたパスカルの腕を掴む。
「お前じゃダメなのか?」
「お前って……わしがか?」
別にアルフレッドやギルバードに事情を説明してまで精液をもらう必要はないだろう。既に事情を知っているパスカルに貰えば俺の羞恥心は少なからず保たれる。
パスカルは俺のお願いに嫌そうな顔というか申し訳なさそうな顔で答えた。
「えー、でもわしこう見えても年寄りだから精子に活気がないぞ。それにエルフってそう言うことに関してドライだし」
なんかとても悲しい返事が返ってきて、そんなこと言わせてしまって非常に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「え、ごめん」
俺は反射的に謝った。
「わしのことはいいからアルとギルを呼んでくる」
「う、うん」
さっきの言葉が本当なのかはよくわからないが、あまり乗り気ではないのは確かだった。嫌がる人に無理やり貰うのはどうかと思うので、パスカルの言う通りアルフレッドとギルバートに事情を話すことにした。
彼らも嫌がるかもしれないが……
「だから精液だよ、せ・い・え・き」
うん、何度聞いても同じ、精液だ。
確かに、唾液と同じ体液であることは間違いない……
「って、はぁぁ!! 何言ってんの精液ってあの精液!」
「うん、その精液だと思うけど……興奮しすぎ」
「な!……ごほん、でなんで精液の方が良い方法なんだよ」
パスカルが俺のガキみたいな反応に呆れているのに気づき、咳払いをして落ち着く。
精液如きでテンション上がるとか思春期の中学生かよ。
「ほら、精液と唾液のどちらに生命力を感じるかっていうとさ、どっちだと思う」
「そりゃ、精液だろ」
「だろ、だから」
「なんだよその馬鹿が考えそうな理由」
パスカルのあまりにもテキトーな返答にげんなりする俺。
だが、言っていることはわからんでもない。
「精液の方はどのくらい保つんだよ」
「うーん、やってみないとなんとも言えないが、3、4日は保つと思われる」
唾液が大体6時間だがら精液の方がコスパはいいのだろうか?
正直比べようがないし、恥ずかしさでいうなら唾液を貰うキスよりも、精液をもらう行為の方がハードルは高い気がする。
俺からしたら両方ともスカイツリーレベルのハードルの高さだが。
魔法が使える世界なんだからもう少し効率の良い方法がないのだろうか。
魔力ってことはつまりマジックポイントMPってことだろ。なんかこうなんちゃらの聖水とかなんちゃらグミみたいな、魔力回復に使えるアイテムみたいなのはないのだろうか。
「なー、魔力を回復するアイテムとかないのかよ」
「……あるぞ」
あるのかよ!だったらさっきみたいなえっちーことしなくても良いじゃないか!
ちょっと残念がる俺の変態心は無視しよう。
「あるんならそれ使えばいいだろ」
「はぁー、そう上手いこといくんだったらいいんだけどな」
「え、ダメなの?」
パスカルの反応はあまり良いものではなかった。こんだけ色々知っているパスカルが、アイテムの存在を忘れるわけはないのか。話していなかった時点で、効果がないってことだ。
「この世界でのマジックポーションは、飲むことでその液体を自分の体の中で魔力に変換するんだ……だからそもそも変換機能がないサタローでは飲んでもただの水と一緒なの」
「なるほど……」
パスカルのアイテム説明に納得する。
そもそも、俺は何のためにこの世界にきたのだろうか。エッチなことする為に連れてこられたのか?
ギルバードに助けられて、優しいアルフレッドや事情をよく知るパスカルに出会っていたから良かったが、こんな使い物にならないむしろ邪魔な存在すぐ殺されてもおかしくない。
ギルバードに助けられていなかったらそもそもの魔力切れで死んでいたわけだし。
「まぁ、そう落ち込むな、なぜこんな身体で転移してきたのかはわからないがきっと何かしらの意味があるんだろう」
「そう……かな」
俺が落ち込んでいるのに気づいたのか、パスカルが励ましの言葉をかけてくれる。
「それにサタローを見ていると、放っておけない気持ちになる。不思議な魅力だ」
「はぁ? なんだよそれ……」
「さぁ、なんだろうな」
見た目ガキなのに俺よりも長生きしている分、何をするにもとても余裕そうな顔でムカつく。
「それよりもさっさと精液を分けてくれる者を探さないとな」
「あっ! そっか……どうしよう」
「とりあえずアルとギルに事情を話そう、アルはあの通りお人好しだし、ギルもなんやかんやで優しいからな」
どうやらあの二人に俺の事情は話す様だ。シンプルに恥ずかしいんだけど……また死にそうなんで今度は精液くださいってお願いしなければいけないのか。
使えない病人から足手まといの変態にジョブチェンジすることになるわけだ。あまりに不名誉すぎる。
そもそもお人好しと優しいだけで、精液くれるのだろうか。精液をもらうってことはセックスするんだろ。前世でもしたことないのにあんなイケメンとするとか……恥ずかしすぎて死ねる。
「じゃあ呼んでくる」
「ちょっと待った!」
テントの外で待つアルフレッドとギルバードを呼びに行こうとしたパスカルの腕を掴む。
「お前じゃダメなのか?」
「お前って……わしがか?」
別にアルフレッドやギルバードに事情を説明してまで精液をもらう必要はないだろう。既に事情を知っているパスカルに貰えば俺の羞恥心は少なからず保たれる。
パスカルは俺のお願いに嫌そうな顔というか申し訳なさそうな顔で答えた。
「えー、でもわしこう見えても年寄りだから精子に活気がないぞ。それにエルフってそう言うことに関してドライだし」
なんかとても悲しい返事が返ってきて、そんなこと言わせてしまって非常に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「え、ごめん」
俺は反射的に謝った。
「わしのことはいいからアルとギルを呼んでくる」
「う、うん」
さっきの言葉が本当なのかはよくわからないが、あまり乗り気ではないのは確かだった。嫌がる人に無理やり貰うのはどうかと思うので、パスカルの言う通りアルフレッドとギルバートに事情を話すことにした。
彼らも嫌がるかもしれないが……
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