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4日目ともなれば慣れたもので初日の痴漢事件が幻かのように、むしろ幻であって欲しいと思うほどに穏やかな通学路を歩いて学園へ向かっていた。
昨日の言葉の意味はよくわからず、信じるべきなのか微妙だがそもそも毒島がまた俺のところへ来ることもなさそうだし、気にする必要もないと思った。
だが昨日の出来事が馬鹿コンビの独断の行動だとするのなら、あの二人を警戒する必要がある。
正直あの二人なら俺一人でもどうにでもできるので、小森を一人にしなければいい話だ。
でも、来週になったら俺は学園に来なくなる。日向はクラスメイトに興味はないようだし、今日と明日の二日間であの二人がこれ以上小森にちょっかいを出さないように牽制する必要がある。
しかし、あの二人が俺に話しかけてくるとは思えないしどうしたものかと授業中ゲームもしないで考え込んでいた。
そんなことを考えている間にその日の授業が全て終わってしまった。内心とても焦っていたのだが、結局何も思いつかずただただ時間だけが過ぎていき、俺は帰りの支度もせずに一人自分の席で頭を抱えていた。
「日向くん? 大丈夫?」
「あ、あぁ、大丈夫」
そんな俺を心配したように小森が俺の席に近づいて来ていた。小森は肩にかばんをかけており、帰る準備は終わっているようだ。
「帰るのか?」
「ううん、部活に行くんだ」
「なんの部活やってるんだ?」
「バスケ部だよ」
「へー」
すごくどうでもいい話をする。小森も部活をやっていたらしい、それもまさかのバリバリの体育会系のバスケ部だった。絶対文化部だと思っていたのに……人は見た目によらないが小森には特に当てはまる言葉だ。
「じゃあ僕行くね」
「あぁ、じゃあな頑張れよ」
「うん」
俺は席に座りながら教室を出て行く小森を見送った。
教室には俺一人となっていた。部活をしている生徒は多くいるためまだ馬鹿コンビがこの学園内にいる確率は高いが、この広い学園内で彼らを探すのは難関だ。
俺は途方に暮れ、机に突っ伏した。
「おーい、日向くーん」
「会いに来たよ~」
机に項垂れていた俺の耳にムカつく男二人の声が聞こえてきた。俺は急いで机から顔を上げ声のする教室の出入り口に顔を向けると、そこに立っていたのは予想通り馬鹿コンビだった。
まさか二人の方から俺のところに来てくれるとは思ってもいなかったので驚く。
「なんだよ……」
「ちょっとさ、用があってついて来てくれないかな~」
「……ちょうどいい、俺もお前らに話しておきたいことがあったんだよ」
「ここじゃなんだから、場所変えようぜ」
そう言った馬鹿コンビは、廊下を歩き出したので俺も席から立ち上がり二人の後をついていった。
二人が歩いていった場所は、もはや定番と化した空き教室だった。
二人は扉を開けて教室の中へ入っていったので、俺もその後に続い教室の中へ入る。
「それで、お前らの用ってなんだよ」
「まぁまぁ、落ち着けって」
「さすがに昨日は悪いことしたと思ってるんだよ」
「今更なんだよ」
二人は昨日のことを謝り出したが、ニヤニヤと薄ら笑みを浮かべており反省しているとはとてもじゃないが思えない。
何か企んでいるのかと少し警戒する俺だが、この二人には負ける気は全くと言っていいほどしない。
それでも余裕な笑みを隠さない二人はとても不気味に感じた。
「なんなんだよ、ニヤニヤして気持ち悪りぃなっ……ぐっ!?」
急に後ろから手が伸びて来て、俺の口を布で塞がれた。急いで手を剥がそうとするが、だんだんと意識が薄れていき力が入らなくなってくる。正面を見ると馬鹿コンビはニヤニヤと笑っているだけだった。
それを最後に俺は意識を失った。
昨日の言葉の意味はよくわからず、信じるべきなのか微妙だがそもそも毒島がまた俺のところへ来ることもなさそうだし、気にする必要もないと思った。
だが昨日の出来事が馬鹿コンビの独断の行動だとするのなら、あの二人を警戒する必要がある。
正直あの二人なら俺一人でもどうにでもできるので、小森を一人にしなければいい話だ。
でも、来週になったら俺は学園に来なくなる。日向はクラスメイトに興味はないようだし、今日と明日の二日間であの二人がこれ以上小森にちょっかいを出さないように牽制する必要がある。
しかし、あの二人が俺に話しかけてくるとは思えないしどうしたものかと授業中ゲームもしないで考え込んでいた。
そんなことを考えている間にその日の授業が全て終わってしまった。内心とても焦っていたのだが、結局何も思いつかずただただ時間だけが過ぎていき、俺は帰りの支度もせずに一人自分の席で頭を抱えていた。
「日向くん? 大丈夫?」
「あ、あぁ、大丈夫」
そんな俺を心配したように小森が俺の席に近づいて来ていた。小森は肩にかばんをかけており、帰る準備は終わっているようだ。
「帰るのか?」
「ううん、部活に行くんだ」
「なんの部活やってるんだ?」
「バスケ部だよ」
「へー」
すごくどうでもいい話をする。小森も部活をやっていたらしい、それもまさかのバリバリの体育会系のバスケ部だった。絶対文化部だと思っていたのに……人は見た目によらないが小森には特に当てはまる言葉だ。
「じゃあ僕行くね」
「あぁ、じゃあな頑張れよ」
「うん」
俺は席に座りながら教室を出て行く小森を見送った。
教室には俺一人となっていた。部活をしている生徒は多くいるためまだ馬鹿コンビがこの学園内にいる確率は高いが、この広い学園内で彼らを探すのは難関だ。
俺は途方に暮れ、机に突っ伏した。
「おーい、日向くーん」
「会いに来たよ~」
机に項垂れていた俺の耳にムカつく男二人の声が聞こえてきた。俺は急いで机から顔を上げ声のする教室の出入り口に顔を向けると、そこに立っていたのは予想通り馬鹿コンビだった。
まさか二人の方から俺のところに来てくれるとは思ってもいなかったので驚く。
「なんだよ……」
「ちょっとさ、用があってついて来てくれないかな~」
「……ちょうどいい、俺もお前らに話しておきたいことがあったんだよ」
「ここじゃなんだから、場所変えようぜ」
そう言った馬鹿コンビは、廊下を歩き出したので俺も席から立ち上がり二人の後をついていった。
二人が歩いていった場所は、もはや定番と化した空き教室だった。
二人は扉を開けて教室の中へ入っていったので、俺もその後に続い教室の中へ入る。
「それで、お前らの用ってなんだよ」
「まぁまぁ、落ち着けって」
「さすがに昨日は悪いことしたと思ってるんだよ」
「今更なんだよ」
二人は昨日のことを謝り出したが、ニヤニヤと薄ら笑みを浮かべており反省しているとはとてもじゃないが思えない。
何か企んでいるのかと少し警戒する俺だが、この二人には負ける気は全くと言っていいほどしない。
それでも余裕な笑みを隠さない二人はとても不気味に感じた。
「なんなんだよ、ニヤニヤして気持ち悪りぃなっ……ぐっ!?」
急に後ろから手が伸びて来て、俺の口を布で塞がれた。急いで手を剥がそうとするが、だんだんと意識が薄れていき力が入らなくなってくる。正面を見ると馬鹿コンビはニヤニヤと笑っているだけだった。
それを最後に俺は意識を失った。
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