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18 警戒
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──三日目
今日も早くに起きて学校へ向かった。
とにかく久住が自由になる瞬間が危険だ。授業中は好き勝手できないから安全だが、休み時間は出来るだけ小森の側から離れないようにしていた。
「トイレ行くのか、小森?」
「う、うん」
「俺も行く」
キモいと思い続けている連れションをしたり。
いつもの俺だったら……
「便所行ってくる」
「俺も行く」
「ついてくんな、きしょいな」
と、凛を怪訝な目で見ていた。
他にも教室を出る時の一瞬だって目を離さなかった。
「次移動教室だぞ、一緒に行こうぜ」
「……うん」
移動教室なんて人生で初めて誘った気がする。
これもいつもなら……
「正義~、次の授業実験室だってよ」
「は? だる、サボる」
「お前なー」
移動するのがめんどくさいからサボっていた。たかが数十メートルの移動なのにだ。
そんな俺が移動教室に誘うなんて、自分でも驚いている。だが、周りのクラスメイトは俺以上に驚いていたらしい。
三時間目と四時間目の間の十分休みの時時間、小森も自分の席で本を読んでいたので、俺も席についていちごオレを飲んでいるとクラスメイトの男子3、4人がこちらに寄ってきた。
「ねぇ、日向くん……」
「ん?」
「日向くんと小森って……」
モジモジとして話の続きをしない男子生徒たち、お互い顔を見合わせて言うか言わないか迷っているようだ。
言いたいことがあるんだったらさっさと言えや! と内心思っているのだが我慢我慢。
「なにかな……」
イライラし始める俺だがなんとか笑顔を保っている。俺はまたいちごオレを吸う。すると一人の生徒が意を決したような顔で続きをしゃべり始めた。
「付き合ってるのか!!」
「ゔっ! ……ゴホゴホっ……はぁあ! 何言ってん、のかな?」
「だって、最近よく話してるし、今日はずっと一緒じゃないか」
やっぱ周りから見ても不自然なぐらい一緒にいるように見えたらしい。確かにトイレにまで誘うとか普通にキモいけど、そこで仲良くなったとかじゃなくて付き合ってるに直結すんのがすげぇな。こいつらの頭ん中どうなってるんだ。
こいつらに感心している場合ではない。
どう誤魔化そうかと考える。
うやむやに誤魔化せば、付き合ってるって噂が広まりかねない。日向のために友達を作ってやろうとは思ったが、恋人がいるなんて噂が広まれば俺が日向に殺されかねない。
「えーと、僕昨日怖い夢見ちゃって、一人でいるの怖くて小森くんについてきてもらってたんだ」
高校生が夢が怖いからなんてさすがに無理があるかと思ったが、男子生徒たちの反応はというと……
「なんだー、だよね小森なんかと付き合うわけないよね」
「怖いなんて可愛いな~」
「よかったら僕がついていこうか?」
納得しているご様子だった。
──こいつら本当に頭いいのか?
小学生じゃないんだから怖い夢見たからって、連れションなんてしないだろ。まぁ、誤魔化せたしいいか。
むしろ次は俺が連れション行きますの立候補してるし、誰が好き好んでお前らなんかとトイレに一緒に行くかよ。
こいつら俺のことアルファだと思ってるんだ。ノットが無いことバレたら面倒臭いからな。なんかしてるとこ覗き込んできそうだし……
ちょうど四時間目の開始のチャイムが鳴った。
「ほら、授業始まるよ!」
チャイムと俺の言葉で渋々彼らは席に戻っていった。なんとかやり過ごせたようで、ほっと胸を撫で下ろす。
勉強嫌いの俺だが授業中の方がなんだか気を張ってなくていいので楽になってきていた。スマホも戻ってきて、ゲームしまくれるしな。
今日も早くに起きて学校へ向かった。
とにかく久住が自由になる瞬間が危険だ。授業中は好き勝手できないから安全だが、休み時間は出来るだけ小森の側から離れないようにしていた。
「トイレ行くのか、小森?」
「う、うん」
「俺も行く」
キモいと思い続けている連れションをしたり。
いつもの俺だったら……
「便所行ってくる」
「俺も行く」
「ついてくんな、きしょいな」
と、凛を怪訝な目で見ていた。
他にも教室を出る時の一瞬だって目を離さなかった。
「次移動教室だぞ、一緒に行こうぜ」
「……うん」
移動教室なんて人生で初めて誘った気がする。
これもいつもなら……
「正義~、次の授業実験室だってよ」
「は? だる、サボる」
「お前なー」
移動するのがめんどくさいからサボっていた。たかが数十メートルの移動なのにだ。
そんな俺が移動教室に誘うなんて、自分でも驚いている。だが、周りのクラスメイトは俺以上に驚いていたらしい。
三時間目と四時間目の間の十分休みの時時間、小森も自分の席で本を読んでいたので、俺も席についていちごオレを飲んでいるとクラスメイトの男子3、4人がこちらに寄ってきた。
「ねぇ、日向くん……」
「ん?」
「日向くんと小森って……」
モジモジとして話の続きをしない男子生徒たち、お互い顔を見合わせて言うか言わないか迷っているようだ。
言いたいことがあるんだったらさっさと言えや! と内心思っているのだが我慢我慢。
「なにかな……」
イライラし始める俺だがなんとか笑顔を保っている。俺はまたいちごオレを吸う。すると一人の生徒が意を決したような顔で続きをしゃべり始めた。
「付き合ってるのか!!」
「ゔっ! ……ゴホゴホっ……はぁあ! 何言ってん、のかな?」
「だって、最近よく話してるし、今日はずっと一緒じゃないか」
やっぱ周りから見ても不自然なぐらい一緒にいるように見えたらしい。確かにトイレにまで誘うとか普通にキモいけど、そこで仲良くなったとかじゃなくて付き合ってるに直結すんのがすげぇな。こいつらの頭ん中どうなってるんだ。
こいつらに感心している場合ではない。
どう誤魔化そうかと考える。
うやむやに誤魔化せば、付き合ってるって噂が広まりかねない。日向のために友達を作ってやろうとは思ったが、恋人がいるなんて噂が広まれば俺が日向に殺されかねない。
「えーと、僕昨日怖い夢見ちゃって、一人でいるの怖くて小森くんについてきてもらってたんだ」
高校生が夢が怖いからなんてさすがに無理があるかと思ったが、男子生徒たちの反応はというと……
「なんだー、だよね小森なんかと付き合うわけないよね」
「怖いなんて可愛いな~」
「よかったら僕がついていこうか?」
納得しているご様子だった。
──こいつら本当に頭いいのか?
小学生じゃないんだから怖い夢見たからって、連れションなんてしないだろ。まぁ、誤魔化せたしいいか。
むしろ次は俺が連れション行きますの立候補してるし、誰が好き好んでお前らなんかとトイレに一緒に行くかよ。
こいつら俺のことアルファだと思ってるんだ。ノットが無いことバレたら面倒臭いからな。なんかしてるとこ覗き込んできそうだし……
ちょうど四時間目の開始のチャイムが鳴った。
「ほら、授業始まるよ!」
チャイムと俺の言葉で渋々彼らは席に戻っていった。なんとかやり過ごせたようで、ほっと胸を撫で下ろす。
勉強嫌いの俺だが授業中の方がなんだか気を張ってなくていいので楽になってきていた。スマホも戻ってきて、ゲームしまくれるしな。
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