上 下
52 / 60
「ポーン(兵士)」

「PAWN」5

しおりを挟む
カステル・デル・モンテの南側の2つの塔の上には、それぞれ赤井義経あかいよしつね赤井隆あかいたかしが立った。
五行で南といえば、火…朱雀だ…
本来、「ポーン(兵士)」として話を作るなら、赤井義経が赤井隆に剣術を教えたりして、何世代も超えた師弟関係となっていく展開を描くが、そんな事をしている余裕は無い。
「鬼火」初期で赤井義朝あかいよしともがやっていたチート設定を使わせてもらう。
鬼となった人間は、魔族の遠隔攻撃であれば、エネルギーとして吸収することができる。
チート能力というものは、実際のところ、描きにくい面が多い。
理由は様々だが、その遠隔攻撃吸収の場合は、絵的に面白くない上、読者が危機感を感じなくなってしまうのだ…そのため、途中から、使用をやめた。
謎本などで、たまに何故、赤井義朝の能力がなくなったのか考察しているが、実際のところは、描きにくかったからに他ならない。
火の神の熱風を赤井義経と赤井隆が吸収していき、それと同時に火の神の首に向かい、斬りかかっていった。

***

煮詰まった…
缶詰めして作業が捗るのは、ネームが終わって室内作業のみになったときだ。
私の場合は、アイデア出しでつまずいたのであれば、散歩などして外の空気に触れた方が出やすい。
そして、何より、縛られたまま解放されないフリードリヒ2世の視線が痛い…
いっそ、コイツを主人公として考えるか?そうすれば、「ポーン(兵士)」の主人公を連れてくるという手間はなくなる。
土の神は、4神全ての能力を併せ持つほどの相手だが、何か隙がつくことができれば、倒すこともできるはずだ。
フリードリヒ2世にそれができるか…と問われれば難しい。
「ルーク」内で描いたように、神に成り代わるという野望は大したものだが、現に先ほどまで神に利用されてしまっていた。
それに、「ルーク」で登場したキャラを選んでしまうと、「チェスシリーズ」から4名と、バランスも悪い。
バランスを重視するなら、「空白」「鬼火」の「悪川シリーズ」から1人選ぶか、全く新しいキャラにするか…仮に全く新しいキャラとした場合、「チェスシリーズ」「悪川シリーズ」「神西暦シリーズ」のどれでもない世界観にいるキャラクターとしなければならないのか…ダメだ途方が無さすぎる…
少し方法を変えようと、フリードリヒ2世の方を見る。
「君に神の情報を与えてきたのはどんなヤツだった?」
「ご老人…まずはその問いに答えることによるメリットがなければ答えるはずはないだろう?」
メリットか…まあ、確かに、その通りだ…まあ、簡単なものでいいだろう…
「今現在、時間の流れはかなり変わってしまっているが、私は本来の君の歴史を知っている。」
真田信繁とフリードリヒ2世なら、作品に登場させる以前から好きな偉人だったため、ある程度の経歴は頭に入っている。同じように登場した歴史上の偉人でも、これが由井正雪あたりになると、本かネットで確認したくなる。

***

カステル・デル・モンテの北側の2つの塔の上には、それぞれ水本耕二みずもとこうじとソラが立った。
五行で北といえば、水…玄武だ…
水の神は、巨大な亀であり…オーディンやポセイドンなどの能力イメージも取り入れている。その上で、私の作品の中で、最強と言える海波洋一みなみよういちの上位互換の能力を持つ。
ただし、私が描いた作品の中で確実に倒された唯一の神でもある。
「ナイト」でのそれは、海波洋一が能力を相殺しつつ水の神には無い剣術で動きを封じたため、水本がその隙をつくことができた。
今回は水本が、水の神の能力を相殺しつつ、クナイや手裏剣などの忍具で攻撃を仕掛けた。
とはいえ、半生を使って腕を磨いた海波洋一と比べれば荒削りの武術…水の神は簡単に避けていった。
それを合図に、ソラは風を操り、忍具を再び水の神に向かって飛ばすと、風の力で水の神を拘束した。
風を、水と同様の流体として、操ろうとするが、その隙をついて水本耕二がソラから渡された剣を甲羅の間に突き刺した。
この辺りの流れは、「ナイト」と同じ…ただし、「ナイト」の場合、海波洋一から渡された妖刀村正であったが、こちらは天叢雲剣あまのむらくものつるぎ…その切れ味は反撃する余裕すら与えなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【R18】逆上がりの夏の空

藤原紫音
恋愛
主人公の乃蒼の元に、小学校の同窓会の案内が届く。小学生のときに片思いだった露杏奈に会いに行くが、会場に露杏奈の姿はなかった。 喪失感を抱えたまま母校の鉄棒で逆上がりしたとき、乃蒼は小学五年生の夏の日に戻っていた。 妹と口も聞かないような喧嘩をして、友達も作らず、好きだった露杏奈に想いを伝えられなかった子供時代をもう一度やりなおすチャンスが訪れた。 そう思っていたのに、自宅近くの女子寮の前で、制服姿の女子中学生に声をかけられたとき、乃蒼は選択ミスを犯してしまい、その「やりなおし」は大きく歪み始める。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

最古のスキル使い―500年後の世界に降り立った元勇者―

瀬口恭介
ファンタジー
魔王を倒すも石にされてしまった勇者キール。スキルが衰退し、魔法が発達した500年後の世界に復活したキールは、今まで出来ることのなかった『仲間』という存在を知る。 一見平和に思えた500年後の世界だったが、裏では『魔王候補』という魔族たちが人間界を我がものにしようと企んでいた。 それを知ったキールたちは魔族を倒すため動き始める。強くなり、己を知るために。 こうして、長いようで短い戦いが始まる。 これは、一度勇者としての役目を終えたキールとその仲間たちが自らの心象を探し求める物語。 ※この作品は小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。 ※元勇者のスキル無双からタイトル変更しました。 ※24日に最終話更新予定です。

鬼面の忍者 R15版

九情承太郎
歴史・時代
陽花「ヤングでムッツリな服部半蔵が主人公の戦国コメディ。始まるざますよ!」 更紗「読むでがんす!」 夏美「ふんがー!」 月乃「まともに始めなさいよ!」 服部半蔵&四人の忍者嫁部隊が、徳川軍団の快進撃に貢献するチープでファンキーな歴史ライトノベルだぜ、ベイベー! ※本作品は、2016年3月10日に公開された「鬼面の忍者」を再編集し、お色気シーンを強化したイヤんバカン版です。 ※カクヨムでの重複投稿をしています。 表紙は、画像生成AIで出力したイラストです。

傭兵ヴァルターと月影の君~俺が領主とか本気かよ?!~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 船旅を終えて港町オリネアに辿り着いた旅の傭兵ヴァルターは、幼いセイラン国の姫巫女アヤメと出会い、彼女によってキュステンブルク王国を救う騒動に巻き込まれて行く。  アヤメにはとんでもない秘密があり、それによってヴァルターは傭兵から領主へと転身する。  一見すると万夫不当で粗暴な男、だがその実、知略に富んだヴァルターの成り上がり物語。

処理中です...