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フォティアの部屋は昨日の事件後すぐに別の場所に移していた。
体調がすぐれないのか、フォティアが希望したのはその部屋での面会だった。

「体調はいかがか」
「あまり良いとは言えません」

ルーカスの問いかけにフォティアは心無しか青白い顔で答える。

「昨日はいろいろあったから無理もないだろう」

襲われそうになったことへの恐怖がいまだ薄れないのか、フォティアはびくりと体を震わした。
こればかりは仕方ないと思いルーカスは話を進める。

「昨日の件について何か聞いているか?」
「いいえ何も。なぜ私が狙われたのかもわかりません」
「そうか。ではまず事件の概要から伝えよう。まず、昨日の事件の首謀者は義母上だ」
「なんですって!?」

フォティアが驚いた声を上げる。

「端的に言ってしまえば、フォティア嬢がいなくなれば兄上の子は義母上の元に残る。そうすればディカイオ公爵家の後継に据えることができると考えたのだろう」
「ひどい…」

フォティアの中では義母とは協力関係だっただろうからなおのことショックを受けたのか、一言呟いたきり何も言えなくなっている。

「結果としてフォティア嬢に何事もなくて良かった」

あらかじめ計画を知っていたと言えばなぜ事前に阻止しなかったのかと言われる。
ルーカスとしては現行犯で捕まえることが重要だったのでその選択肢はなかった。

「今回の件に関してはニキアス皇太子殿下預かりとなった。義母上は王家の直轄地にある修道院へ入ることになる。そして赤子には生涯会いに行くことは叶わない」

はっとしてルーカスを見るフォティアにさらに言葉を続けた。

「今後フォティア嬢の前に現れることも無いだろう」

近々義母となると思っていた相手からの思わぬ攻撃。
もう会うことは無いといっても事件の真相を呑み込むには時間が必要になる。

現実を受け止めるのに混乱しているフォティアに対して、ルーカスはさらなる本題を告げた。
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