【受賞&書籍化】転生した悪役令嬢の断罪(本編完結済)

おまけ小話① ＜ルーク、子爵令息になる＞

＜読む前にご確認をお願いします＞
本編は完結しましたが、おまけの小話を公開します。
時系列的にはエピローグ後、エレナが成婚前のレオとルークの話です。
この時点でレオはルークを自分の養子として引き取っています。
（ただし、関係性としては師匠と弟子のような感じ）
軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいです。


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　オレの運命はエレナお嬢さまと出会った時から激変した。
　スラム街で育った孤児が気づけば公爵家の使用人となり、さらにはお嬢さまの専属護衛であるレオの養子となった。

　まぁ、養子といっても実際は弟子のようなものだけど。
　
　レオは独身の自分では父親らしいことはできないと言っていたものの、生きていくために必要なことをたくさん教えてくれた。
　
　オレだって父親というのがどういう存在かなんて知らない。
　あえて言えばスラム街で一緒にいたじいさんが祖父のような感じだったのかなと思うくらいで。

　だから、すべてを変えてくれたお嬢さまとこんなオレを自分の子として受け入れてくれたレオにすごく感謝していた。

　感謝していた……んだけど。

「レオ、もう一度言ってもらってもいいか？」
　
　オレは今耳がおかしくなっていると思う。
　
「今度子爵に叙爵されることになった」
　
　そんなオレの気持ちにお構いなく、レオはあっさりと言い切った。

　え？　なんで！？
　叙爵ってそんなに簡単にされるものじゃないだろ？
　
　大混乱に陥るオレの気持ちに気づかないのか、レオはマイペースに言葉を続けた。

「エレナ様がご成婚で王室に上がるにあたって、専属護衛騎士としてついていくには平民のままというわけにはいかないだろう」

　たしか王宮の近衛騎士になるには子爵以上の爵位が必要なんだっけ。　
　つまり何か？
　エレナ様の専属騎士になるために爵位をもらったってこと？
　そんな職権濫用をしていいわけ？
　エレナ様ってそこら辺のことには厳しいと思っていたんだけど。

「ああ……。念の為言っておくが、これは国王陛下からのご提案だ」
「国王陛下から？」
「そうだ。元々私は伯爵家の出。この前の事件によって伯爵位は返上したが、それとは別に報奨として子爵位を賜ったんだよ」

　ということは、レオは伯爵から子爵になったってこと。
　……！？
　レオが子爵ってことは、オレは子爵令息になるわけ？

　いやいやいやいくら何でも無理があるだろう。

　そう思った。
　オレはそう思ったんだよ！

　それなのに。
　結局オレは子爵令息という立場になった。
　そのことがこの先のオレをさらに予想外なことに巻き込んでいくのを、この時のオレはまだ知らなかった。


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本日より新しい話を始めました。
今作とはだいぶ雰囲気の違う話になりますが、よろしければ新しい話も読んでいただけるととても嬉しいです。

こちらから↓
『先視の王女の謀(さきみのおうじょのはかりごと）』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/751425945/469920940


『転生した悪役令嬢の断罪』は続編も考えています。
本日始めた話の次か、次の次にでも続編を公開できれば……と思っています。