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悪役令嬢は解放条件を知るー前世ー
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結果として、私は無事に王太子と黒髪隠しキャラ以外を攻略したしそれぞれそれなりにトキメキも感じた。
楽しかったかどうかでいえば、楽しかったと言える。
「あと残り二人だっけ?」
今日も今日とて学食で、友人はパスタセットを、そして私はうどんを食べていた。
「そう。残りが王太子と黒髪隠しキャラ」
「もう!黒髪隠しキャラはダグラスって覚えてよー」
「王太子はいいの?」
「あー、うん。王太子は萌えないからー」
ダグラスと王太子で友人の熱量が違いすぎる…。
「王子様枠の王太子って普通人気があるんじゃないの?」
「まあね。でもこの王太子残念王子なんだもん」
「制作側の方針?」
「かも。もしくはヘタレ好きさん向けのキャラとか?いずれにしても私の好みではないのよねー」
クルクルとフォークに巻いたパスタがあっという間に友人の口の中に消える。
「そうそう。今度アニメ化するって言ってたじゃん?それに合わせてファンディスクも出るんだって!」
「ファンディスク?」
「そう!しかも取り上げられるのはダグラス!やっぱり人気があるのよー」
へえ、と相槌を打ちながら私はまだ攻略していない黒髪の彼を思い浮かべた。
隠しキャラだけあって、解放条件はちょっと手間がかかる感じだった。
「なんでも無印の方のダグラスの解放条件が難しすぎるってことで、もう少し簡単にルートに入れるように調整されるんだって。またダグラスと恋に落ちれるなんて楽しみー!」
能天気に話す友人は既にパスタを食べ終えている。
「どんな風に調整されるかってもうわかってるの?」
「えーとね…」
そう呟きながら友人は鞄からゲームの情報誌を取り出した。
「そもそもファンディスクで攻略できるのはダグラスだけなんだけど、今までは誰かを攻略してからしかルートが解放されなかったし、ルート解放後も他の攻略キャラとのパラメータとか、絶対に間違えてはいけない選択肢とかがあって難しかったのよね」
情報誌をペラペラとめくりながら続ける。
「それが、今度のファンディスクでは王太子ルートを攻略すれば自動的にダグラスのルートが解放されるんだって」
開いたページをこちらに向けられ、私もそのページをのぞきこんだ。
「ん?」
「どうかした?何か気になるところがあった?」
私は友人が開いたページに書かれている情報をもう一度ちゃんと読む。
見間違いでなければ、ダグラスのルート解放のためには王太子を無印でいうところのトゥルーエンディングまで進めなければならない。
「これって、王太子とくっついた後にダグラスと恋に落ちるってこと?」
「ああー…。まあ、そうなるよね」
まったくもってこのゲームの制作側の意図が理解できない。
理解できないというか、共感できない。
「これじゃあヒロインの尻軽に磨きがかかるだけなんじゃあ…」
「んーでも、最近流行りじゃん?不倫ドラマも視聴率いいみたいだし、もしかすると今度のファンディスクはそこら辺を狙ってるのかも」
綺麗にマニキュアを塗った爪を見ながら友人が言った。
これ、乙女ゲームだよね?
このまま年齢制限ものにならないよね?
「…やる気が萎えるわぁ」
「えー!?そんなこと言わないで!」
友人はさらにペラペラと本をめくり目的のページを開くと、私に見えやすいようにこちらに向けた。
「今回の特集はダグラスだったんだよー。ほら、これ読んでやる気を出してー!」
見開きページの片側に黒髪のキャラが描かれている。
そこから何ページかの特集を組まれているのだろう。
乗りかかった船だと思って最後までつき合うしかないか。
そう思って、私は渡された本を読むために気持ちを切り替えた。
楽しかったかどうかでいえば、楽しかったと言える。
「あと残り二人だっけ?」
今日も今日とて学食で、友人はパスタセットを、そして私はうどんを食べていた。
「そう。残りが王太子と黒髪隠しキャラ」
「もう!黒髪隠しキャラはダグラスって覚えてよー」
「王太子はいいの?」
「あー、うん。王太子は萌えないからー」
ダグラスと王太子で友人の熱量が違いすぎる…。
「王子様枠の王太子って普通人気があるんじゃないの?」
「まあね。でもこの王太子残念王子なんだもん」
「制作側の方針?」
「かも。もしくはヘタレ好きさん向けのキャラとか?いずれにしても私の好みではないのよねー」
クルクルとフォークに巻いたパスタがあっという間に友人の口の中に消える。
「そうそう。今度アニメ化するって言ってたじゃん?それに合わせてファンディスクも出るんだって!」
「ファンディスク?」
「そう!しかも取り上げられるのはダグラス!やっぱり人気があるのよー」
へえ、と相槌を打ちながら私はまだ攻略していない黒髪の彼を思い浮かべた。
隠しキャラだけあって、解放条件はちょっと手間がかかる感じだった。
「なんでも無印の方のダグラスの解放条件が難しすぎるってことで、もう少し簡単にルートに入れるように調整されるんだって。またダグラスと恋に落ちれるなんて楽しみー!」
能天気に話す友人は既にパスタを食べ終えている。
「どんな風に調整されるかってもうわかってるの?」
「えーとね…」
そう呟きながら友人は鞄からゲームの情報誌を取り出した。
「そもそもファンディスクで攻略できるのはダグラスだけなんだけど、今までは誰かを攻略してからしかルートが解放されなかったし、ルート解放後も他の攻略キャラとのパラメータとか、絶対に間違えてはいけない選択肢とかがあって難しかったのよね」
情報誌をペラペラとめくりながら続ける。
「それが、今度のファンディスクでは王太子ルートを攻略すれば自動的にダグラスのルートが解放されるんだって」
開いたページをこちらに向けられ、私もそのページをのぞきこんだ。
「ん?」
「どうかした?何か気になるところがあった?」
私は友人が開いたページに書かれている情報をもう一度ちゃんと読む。
見間違いでなければ、ダグラスのルート解放のためには王太子を無印でいうところのトゥルーエンディングまで進めなければならない。
「これって、王太子とくっついた後にダグラスと恋に落ちるってこと?」
「ああー…。まあ、そうなるよね」
まったくもってこのゲームの制作側の意図が理解できない。
理解できないというか、共感できない。
「これじゃあヒロインの尻軽に磨きがかかるだけなんじゃあ…」
「んーでも、最近流行りじゃん?不倫ドラマも視聴率いいみたいだし、もしかすると今度のファンディスクはそこら辺を狙ってるのかも」
綺麗にマニキュアを塗った爪を見ながら友人が言った。
これ、乙女ゲームだよね?
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「…やる気が萎えるわぁ」
「えー!?そんなこと言わないで!」
友人はさらにペラペラと本をめくり目的のページを開くと、私に見えやすいようにこちらに向けた。
「今回の特集はダグラスだったんだよー。ほら、これ読んでやる気を出してー!」
見開きページの片側に黒髪のキャラが描かれている。
そこから何ページかの特集を組まれているのだろう。
乗りかかった船だと思って最後までつき合うしかないか。
そう思って、私は渡された本を読むために気持ちを切り替えた。
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