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外伝

百ワット電球

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学校スクール>の創設も、元はと言えばレイラ・タリアの提案が最初だった。『賤民出身のシェイナが第一王女の侍女として召し抱えられる』といういわば<シンデレラ・ストーリー>に、シェイナと同じ年代の少女達は興奮。

『自分もそうなれるかもしれない!』

と考えて向上心を見せる者が続出したのだが、いかんせん、それを実現するための道はあまりにも狭く遠かった。当てもなくどうすればいいのかもよく分からずただ闇雲に努力して、そして年に数回あるかどうかの<求人>に応募してそれに採用されなければいけないのだ。

もはや現実離れした<夢物語>である。しかし、そういう、

『努力したい』

と考え、実際に能力を持つ者はいるはずなのだ。なのに、それを拾い上げる仕組みがないから埋もれたままになっているというのは、あまりにも不合理というものだろう。

だから、そういう者に対して道を指し示し機会を与えるのが<学校スクール>だった。誰も彼もが当たり前に学校に通えるようになったことでその意義が見失われてしまった社会ではやや陳腐化しているのだとしても、意欲と向上心を持ちながらそれを実現する機会が与えられていなかった社会では、画期的なものだっただろう。

しかも、<無償>である。それが実現できたのは、<ベル・ルデニオーラの恩人>たるレイラ・タリアに支払われる<褒賞>を財源としているからだ。

ロボットであるレイラには、稼働に必要な電力とメンテナンス用のコスト以外に望むものは何もない。贅を嗜む感性もない。彼女が日常的に活動するのに要する電力量は、百ワット電球よりわずかに多い程度。本当はメンテナンス用の資材と設備も欲しいところではあるもののそれについてはここの文明レベルでは到底用意できるものでもない。だから、どれほど褒賞をもらっても無用の長物なのである。

ならばということで考え出された<褒賞の使い道>が<学校スクール>だというわけだ。

今から約一年前、<未曽有の災禍>に見舞われていたベル・ルデニオーラを、レイラ・タリアは救ってみせた。彼女がいなければ間違いなく国が亡ぶどころか、人間そのものが滅亡していただろう。それを彼女は覆してみせたのだ。そんな彼女に対しては、どのような困難を排してでも大恩に見合う褒賞は支払われるべきと、誰もが考えていた。

そしてその彼女が受け取った褒賞をどのように使おうとも、文句をつける筋合いもない。

そのようにして運営されている<学校スクール>に、今、向かっているのである。

レイラ・タリア。

パティリエカ。

シェイナ。

その三人の訪問を、生徒達も皆、心待ちにしているという。

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