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レイラ
必要な電力
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レイラをはじめとした、彼女が運用されていた世界でのメイトギアはエネルギー効率が非常に高いため、実は必要な電力そのものは非常に少なくてよかった 。人間は、生きる上においておおむね百ワットの白熱電球並の電力に相当するエネルギーを消費していると言われているが、標準モードで稼動している時のメイトギアもそれよりは若干多い程度で済んでいる。
つまり、二十一世紀初頭頃の一般的なエアコンよりもはるかに電力消費量が少ないと言える。
とは言え、静香が持っているキャンプ用の小型太陽電池ではさすがに能力が足りないため、一日充電したとしても、おそらくは起動時の自己診断だけで使い切ってしまい、実際の起動までは至らないだろう。
しかも、太陽電池自体の品質が維持できる年数も短く、もったとしてもせいぜい数十年だと思われる。
つまり、レイラのバッテリーに蓄えられた電気を使い切ると、彼女はもう、起動できなくなると言っていい。ただ、バッテリーの寿命は百年程度と短いものの、それ以外の部品の耐用年数は千年単位、長いものになれば万年単位にまで至るため、よほど保存状態が劣悪でもない限りは、数百年程度は美しい姿や機能を維持できるだろうが。
彼女を構成する素材のほとんどは再資源化が前提になっており、通常、投棄されたりはしないのだ。ロボットは、いざとなれば自ら歩いて再資源化工場へと赴くことさえある。
が、ここにはその<再資源化工場>がないので、どこに行く当てもない。
レイラは、それまでの間に、自身ができるすべてをしなければと思う。
シェイナとパティリエカが寝付くと、そっと体を起こしてベッドから降り、部屋を出て、ニューティの待機室へと向かい、
「それでは、私は次の任務に行ってきます。シェイナとパティリエカ様をよろしくお願いします」
と声を掛けた。
「お任せください。それでは、行ってらっしゃいませ」
ニューティに見送られ、こちらも待機室にいたブルーディスにも「よろしくお願いします」と告げて、工房へと赴いた。
工房でも、
「よくぞご無事で……!」
職人達に労われ、そのまま作業へと移る。
新型弩砲も新型弩も製造は極めて順調だった。むしろ予測よりも進んでいる。
『彼らの能力の高さ、意識の高さが窺えますね』
と感心する。
それでも、デモニューマの襲撃を凌ぎ切るにはまだまだ心許ない。<魔王>を撃破してそれ以上増えることはなくなっても、その時点でレイラは活動限界を迎えるだろう。
そこから先は、人間自身が自らを守るしかない。
だからこそ、レイラは自身にできることをするのだ。
つまり、二十一世紀初頭頃の一般的なエアコンよりもはるかに電力消費量が少ないと言える。
とは言え、静香が持っているキャンプ用の小型太陽電池ではさすがに能力が足りないため、一日充電したとしても、おそらくは起動時の自己診断だけで使い切ってしまい、実際の起動までは至らないだろう。
しかも、太陽電池自体の品質が維持できる年数も短く、もったとしてもせいぜい数十年だと思われる。
つまり、レイラのバッテリーに蓄えられた電気を使い切ると、彼女はもう、起動できなくなると言っていい。ただ、バッテリーの寿命は百年程度と短いものの、それ以外の部品の耐用年数は千年単位、長いものになれば万年単位にまで至るため、よほど保存状態が劣悪でもない限りは、数百年程度は美しい姿や機能を維持できるだろうが。
彼女を構成する素材のほとんどは再資源化が前提になっており、通常、投棄されたりはしないのだ。ロボットは、いざとなれば自ら歩いて再資源化工場へと赴くことさえある。
が、ここにはその<再資源化工場>がないので、どこに行く当てもない。
レイラは、それまでの間に、自身ができるすべてをしなければと思う。
シェイナとパティリエカが寝付くと、そっと体を起こしてベッドから降り、部屋を出て、ニューティの待機室へと向かい、
「それでは、私は次の任務に行ってきます。シェイナとパティリエカ様をよろしくお願いします」
と声を掛けた。
「お任せください。それでは、行ってらっしゃいませ」
ニューティに見送られ、こちらも待機室にいたブルーディスにも「よろしくお願いします」と告げて、工房へと赴いた。
工房でも、
「よくぞご無事で……!」
職人達に労われ、そのまま作業へと移る。
新型弩砲も新型弩も製造は極めて順調だった。むしろ予測よりも進んでいる。
『彼らの能力の高さ、意識の高さが窺えますね』
と感心する。
それでも、デモニューマの襲撃を凌ぎ切るにはまだまだ心許ない。<魔王>を撃破してそれ以上増えることはなくなっても、その時点でレイラは活動限界を迎えるだろう。
そこから先は、人間自身が自らを守るしかない。
だからこそ、レイラは自身にできることをするのだ。
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