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パーソナルスペース
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日葵にこうして母屋の方に遊びに来てもらうことになると、今度は真猫に母屋に慣れてもらう必要があった。
学校から帰ると、まず母屋の方に行ってもらい、そこでもやっぱり裸になってウロウロと家の中を歩き回ってもらって、そこもまた真猫の<縄張り>の一部なのだと理解してもらう。
ただ、そうなると今度は、母屋も真猫にとってのパーソナルスペースとなる訳で、
「わあ! 真猫ちゃん、裸だ!」
と、一緒にお絵描きをするために遊びに来た日葵が、裸のままで出迎えてくれた真猫に驚いて声を上げた。
これは、一種の<賭け>だった。これでもし日葵が遊びに来てくれなくなっても仕方ないと考えて、その上で普段のありのままの真猫の様子を知ってもらう為に敢えてそうしたのだった。
もちろん、相手が男子だったらこんなことはさせられなかったが。
しかし日葵は引くどころか、
「いいな~、真猫ちゃん。おうちでは裸んぼなんだ」
と羨ましがるような態度さえ見せつつ、当たり前のこととして受け入れてしまった。彼女も本当は服を着るのはあまり好きではなかったらしい。
なにしろ学校でも、教師がちゃんと見てないと、体操服に着替える為に三年生以上は更衣室に行くはずが、そのまま教室でも着替え始めてしまうくらい、そういうことには疎く、抵抗がなかったのだった。
『確かに、服を着てるのが煩わしいことは僕もあるな』
桃弥もついそんなことを思ってしまう。かといって、彼は裸にはならないが。
こうして、笹蒲池家の母屋のリビングで、日葵と、裸の真猫がお絵描きをして遊ぶという習慣が出来上がってしまった。
とは言え、誰もそれについて気にしないので、この家においてはまったくもって当たり前の日常の光景となった。
なるほど不埒なことを考える人間がこの場にいれば好ましくないことかもしれない。けれど現にここにはそんな人間がいないし、あくまで外から見られることもないパーソナルスペース内のことなので、とやかく言うことでもないだろう。
ここは真猫の家で、家では裸でいることの方が彼女にとっては自然で、精神的に安定するのだ。
何も自分の家の中でまでかしこまる必要はない。自分の家の中でまできっちりとせずにいられない人間がいるとしても、それが別に正しい訳でもないし、それに合わせないといけない訳でもない。
そうしたい人間は、そうしたい者同士で集まればいいだけなのだから。
学校から帰ると、まず母屋の方に行ってもらい、そこでもやっぱり裸になってウロウロと家の中を歩き回ってもらって、そこもまた真猫の<縄張り>の一部なのだと理解してもらう。
ただ、そうなると今度は、母屋も真猫にとってのパーソナルスペースとなる訳で、
「わあ! 真猫ちゃん、裸だ!」
と、一緒にお絵描きをするために遊びに来た日葵が、裸のままで出迎えてくれた真猫に驚いて声を上げた。
これは、一種の<賭け>だった。これでもし日葵が遊びに来てくれなくなっても仕方ないと考えて、その上で普段のありのままの真猫の様子を知ってもらう為に敢えてそうしたのだった。
もちろん、相手が男子だったらこんなことはさせられなかったが。
しかし日葵は引くどころか、
「いいな~、真猫ちゃん。おうちでは裸んぼなんだ」
と羨ましがるような態度さえ見せつつ、当たり前のこととして受け入れてしまった。彼女も本当は服を着るのはあまり好きではなかったらしい。
なにしろ学校でも、教師がちゃんと見てないと、体操服に着替える為に三年生以上は更衣室に行くはずが、そのまま教室でも着替え始めてしまうくらい、そういうことには疎く、抵抗がなかったのだった。
『確かに、服を着てるのが煩わしいことは僕もあるな』
桃弥もついそんなことを思ってしまう。かといって、彼は裸にはならないが。
こうして、笹蒲池家の母屋のリビングで、日葵と、裸の真猫がお絵描きをして遊ぶという習慣が出来上がってしまった。
とは言え、誰もそれについて気にしないので、この家においてはまったくもって当たり前の日常の光景となった。
なるほど不埒なことを考える人間がこの場にいれば好ましくないことかもしれない。けれど現にここにはそんな人間がいないし、あくまで外から見られることもないパーソナルスペース内のことなので、とやかく言うことでもないだろう。
ここは真猫の家で、家では裸でいることの方が彼女にとっては自然で、精神的に安定するのだ。
何も自分の家の中でまでかしこまる必要はない。自分の家の中でまできっちりとせずにいられない人間がいるとしても、それが別に正しい訳でもないし、それに合わせないといけない訳でもない。
そうしたい人間は、そうしたい者同士で集まればいいだけなのだから。
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