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体温

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普段はお互いにあまり関わろうとせずにそれぞれ好き勝手に振る舞っている真猫まな桃弥とうやだったが、寒さがいよいよ厳しくなってきた頃、その様子に若干の変化が見られるようになっていた。

エアコンはずっと利かせているものの、当然、それが間に合わない時もある。

いよいよ年の瀬が押し迫ったその日も、そんな感じで酷く冷え込んでいた。家の中にいても肌寒く、桃弥とうやは厚手のトレーナーを着込んでテーブルについた。すると真猫まなが、当たり前のように彼の膝に座ってきたのだった。

「さすがに寒いか。だったら服を着ればいいのに」

と彼が苦笑いしても、真猫まなは応えない。

ただ彼の膝に座って体を寄せてくるだけだ。

しかしそれは、真猫まなが、彼のことを信用している、彼の傍なら安全だと認識してるからこそのものだろう。風呂で体を洗ってあげる時にも同じようにして膝に座らせていたことも影響しているかもしれない。

そう考えれば無下に扱うもの忍びなかった。

だからそのままにしておいた。

風呂で体を洗っているときとはまた違う、のんびりとした雰囲気。桃弥とうやの方は服を着ているので肌が直接触れている部分はほとんど無いものの、彼女の体温が伝わってくるのは分かった。しかもとてもリラックスしてるのも分かる。安心しきっているのだろう。

『あたたかいな』

ふとそんなことを思ってしまう。

体温なのか匂いなのか、ふわっとした柔らかい空気が桃弥とうやの鼻をくすぐった。それがまた不思議と心地好い。

『子供って、こんななんだ……』

自分の頭をよぎる思考に、軽く戸惑ってしまう。そんなこと、これまで気にしたこともなかった。

決して攻撃的ではなかったにせよ、基本的に人間は好きではなく、<変わり者>と疎まれて避けられているのと同時に彼も他人を避けてきた。子供も、毛嫌いまではしていなかったが好きでもなかった。

それなのに。

『こんな感じだったら、子供もいてもよかったかな……』

そんなことも思わされてしまって、苦笑いが浮かんでしまう。

もちろん、真猫まなは普通の子供とは違う。けれど、<幼い子供>として見ればこんな感じの子供も確かにいる。

『そうか、こんな風に接すればよかったんだ。他人の子供とは無理でも、自分の子供となら』

とも思ったが、その為には<産んでくれる人>が必要なので、

『やっぱり無理かな』

と思い直してまた苦笑いを浮かべてしまったのだった。

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