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彼女と彼とクリスマスツリー
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桃弥は、クリスマスなど全く興味が無かった。クリスマスだけでなく、行事の類そのものに興味が無かった。だからこれまではそんな用意をしたこともなかった。なのに、今年は少し違っていた。笹蒲池家のリビングに、一般の家庭でなら十分に大きいと言えるほどのクリスマスツリーが、飾り付けもきちんとされた状態で飾られていたのである。
それは、彼の気まぐれだったのかもしれない。ハウスキーパーの椎津琴乃にチップを渡して、
「ツリーの飾りつけをお願いします」
と、宅配業者によって届けられリビングに置きっぱなしになっていたツリーに視線を向けながらそう言ったのだった。すると椎津琴乃は二人の部下と共に瞬く間にツリーのセッティングと飾りつけをしてみせたのだ。一応、こういうことも業務の一部には入っていたのである。だからチップを渡さずとも命じればよかっただけなのだが、彼はそういう細かいことを気にしない人間だった。単に、普段と違うことを頼んだから渡しただけだ。
椎津琴乃らはそのチップを三等分し、それぞれ子供へのプレゼント等に使うことにしたようだった。こういうところでも彼は気前が良くて、だから椎津琴乃らは彼の機嫌を損ねないようにこの仕事を失わないように、普段からきっちりと仕事をこなしていたのであった。
プロと言えども人間である。やはり気分良く仕事が出来るに越したことはないだろう。こういう部分でも、上手く噛み合う人間が呼び合うようにこの家には集まっていると言えた。
そうして飾り付けられたクリスマスツリーを、真猫は不思議そうに見つめていた。クリスマスツリー自体は初めて見るわけではないが、彼女の身長とほぼ変わらないこのサイズのものをここまで間近で見るのは初めてだったからかも知れない。
とは言え、彼女にとってもあまり意味のあるものでもないのも確かだったのだろう。飾り付けが何かの拍子で揺れたりすると興味深そうに見ていたりするものの、だからと言って特に何か起こるわけでもないので、すぐに関心が失せるらしい。
それでも、彼女は時折、それに視線を向けて眺めていた。イルミネーションの瞬きが気になっただけかも知れないが、ぼんやりとそれを見ていた。その姿は、大人しい子供がクリスマスツリーを静かに眺めている姿と何も変わらなかった。
クリスマス気分に乗って楽し気にはしゃぐのもそれはそれで良いことなのかもしれない。しかし彼女の姿を見ていればこうしてただゆったりとその空気の中にいるというのも、それもまたありなのかも知れないと思わせるのだった。
それは、彼の気まぐれだったのかもしれない。ハウスキーパーの椎津琴乃にチップを渡して、
「ツリーの飾りつけをお願いします」
と、宅配業者によって届けられリビングに置きっぱなしになっていたツリーに視線を向けながらそう言ったのだった。すると椎津琴乃は二人の部下と共に瞬く間にツリーのセッティングと飾りつけをしてみせたのだ。一応、こういうことも業務の一部には入っていたのである。だからチップを渡さずとも命じればよかっただけなのだが、彼はそういう細かいことを気にしない人間だった。単に、普段と違うことを頼んだから渡しただけだ。
椎津琴乃らはそのチップを三等分し、それぞれ子供へのプレゼント等に使うことにしたようだった。こういうところでも彼は気前が良くて、だから椎津琴乃らは彼の機嫌を損ねないようにこの仕事を失わないように、普段からきっちりと仕事をこなしていたのであった。
プロと言えども人間である。やはり気分良く仕事が出来るに越したことはないだろう。こういう部分でも、上手く噛み合う人間が呼び合うようにこの家には集まっていると言えた。
そうして飾り付けられたクリスマスツリーを、真猫は不思議そうに見つめていた。クリスマスツリー自体は初めて見るわけではないが、彼女の身長とほぼ変わらないこのサイズのものをここまで間近で見るのは初めてだったからかも知れない。
とは言え、彼女にとってもあまり意味のあるものでもないのも確かだったのだろう。飾り付けが何かの拍子で揺れたりすると興味深そうに見ていたりするものの、だからと言って特に何か起こるわけでもないので、すぐに関心が失せるらしい。
それでも、彼女は時折、それに視線を向けて眺めていた。イルミネーションの瞬きが気になっただけかも知れないが、ぼんやりとそれを見ていた。その姿は、大人しい子供がクリスマスツリーを静かに眺めている姿と何も変わらなかった。
クリスマス気分に乗って楽し気にはしゃぐのもそれはそれで良いことなのかもしれない。しかし彼女の姿を見ていればこうしてただゆったりとその空気の中にいるというのも、それもまたありなのかも知れないと思わせるのだった。
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