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彼女の朝
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真猫の朝は早い。夜も九時過ぎには寝てしまうというのもあるが、とにかく外が明るくなり始めると目が覚めてしまうようだ。
相変わらず裸で、しかもリビングに敷かれたカーペットで寝ていた彼女は、ゆるりと体を起こしてまずリビングの中を見回した。
それからおもむろに立ち上がり、やはり裸のままゆるゆると歩いてリビングを出て行く。
彼女がまず行ったのは、トイレだった。以前も言ったがトイレについては決まった場所でというのが身に付いているのは桃弥にとっても幸いだった。ただ逆に、決まったところ以外では基本的にしようとしないので、学校でのトイレを覚えさせることに、宿角玲那はやや苦労したようだが。
温水洗浄便座の操作も、紙で拭くこともできるので、その程度の知能はあるのが分かる。実際、三歳児程度の知能があることは確認されていた。
となれば、最低限のルールくらいは覚えられるということでもある。普通の三歳児も、ルールは覚えていても目先の好奇心などには勝てずそれを失念してしまうことはあるので、そういう部分を周囲が気を付ければ問題なく社会生活を営むことだって可能だということだ。
何しろ、三歳の子供がいる家庭であっても、問題なく社会生活を営んでいるところが普通なのだから。
見た目の年齢に惑わされて、見た目の年齢通りの振る舞いを期待するから齟齬が生じる。ここは敢えて<大きな三歳児>と見做してそれに見合った対応をすれば問題はない筈なのだ。
とはいえ、真猫の場合は、知能は三歳児並みでも、服を着たがらない、ほとんど喋れない等、部分的にはそれ以下の能力しかないのも事実なので、注意は必要なのだが。
とにかく、トイレを終えた真猫は家の中を、いつものルートで巡回する。玄関に立ち寄って何かを確認するかのように匂いを嗅いだり、和室の床の間に座ってしばらく佇んだり、キッチンの隙間という隙間を覗き込んだり、テラスに出る大きな掃出し窓のある洋間から庭を眺めたりという具合に。
ちなみに、テラスのある庭は高い生垣に覆われている為、隣家からは中が見えないようになっている。また、四層以上の建築物については制限が加えられている地域なので、庭が覗けてしまうような高層建築が建てられる予定は今のところない。
こうして、彼女が立ち入れる場所はすべて立ち入って<確認>をして、彼女の一日は始まるのである。
その最後に、リビングに戻ってきて、起きてきた桃弥に、ハウスキーパーが作ったサンドイッチなどを出してもらって朝食にするのだった。
相変わらず裸で、しかもリビングに敷かれたカーペットで寝ていた彼女は、ゆるりと体を起こしてまずリビングの中を見回した。
それからおもむろに立ち上がり、やはり裸のままゆるゆると歩いてリビングを出て行く。
彼女がまず行ったのは、トイレだった。以前も言ったがトイレについては決まった場所でというのが身に付いているのは桃弥にとっても幸いだった。ただ逆に、決まったところ以外では基本的にしようとしないので、学校でのトイレを覚えさせることに、宿角玲那はやや苦労したようだが。
温水洗浄便座の操作も、紙で拭くこともできるので、その程度の知能はあるのが分かる。実際、三歳児程度の知能があることは確認されていた。
となれば、最低限のルールくらいは覚えられるということでもある。普通の三歳児も、ルールは覚えていても目先の好奇心などには勝てずそれを失念してしまうことはあるので、そういう部分を周囲が気を付ければ問題なく社会生活を営むことだって可能だということだ。
何しろ、三歳の子供がいる家庭であっても、問題なく社会生活を営んでいるところが普通なのだから。
見た目の年齢に惑わされて、見た目の年齢通りの振る舞いを期待するから齟齬が生じる。ここは敢えて<大きな三歳児>と見做してそれに見合った対応をすれば問題はない筈なのだ。
とはいえ、真猫の場合は、知能は三歳児並みでも、服を着たがらない、ほとんど喋れない等、部分的にはそれ以下の能力しかないのも事実なので、注意は必要なのだが。
とにかく、トイレを終えた真猫は家の中を、いつものルートで巡回する。玄関に立ち寄って何かを確認するかのように匂いを嗅いだり、和室の床の間に座ってしばらく佇んだり、キッチンの隙間という隙間を覗き込んだり、テラスに出る大きな掃出し窓のある洋間から庭を眺めたりという具合に。
ちなみに、テラスのある庭は高い生垣に覆われている為、隣家からは中が見えないようになっている。また、四層以上の建築物については制限が加えられている地域なので、庭が覗けてしまうような高層建築が建てられる予定は今のところない。
こうして、彼女が立ち入れる場所はすべて立ち入って<確認>をして、彼女の一日は始まるのである。
その最後に、リビングに戻ってきて、起きてきた桃弥に、ハウスキーパーが作ったサンドイッチなどを出してもらって朝食にするのだった。
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