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家庭訪問
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「今度、家庭訪問を行い、笹蒲池真猫さんの家庭環境を改めて確認したいと思います」
宿角玲那が学校側にそう進言すると、自分で判断することをしたくなかった学校側はそのまま提案を呑んだのだった。
「家庭訪問を行って家での真猫さんの様子を窺いたいのですが、よろしいでしょうか?」
真猫を迎えに来た桃弥にそう尋ねると、彼も特に困った様子を見せるでもなく、
「はい、いいですよ。だいたい家にはいますから」
と応える。
そしてさっそく、翌日に家庭訪問することになったのだった。
翌日、いつものように学校での授業を終え、真猫は玲那に付き添われて校門まで来ていた。そこで待っていた桃弥と合流し、三人はそのまま笹蒲池邸へと向かう。
これまでは校門のところで分かれていた筈の玲那がついてくることに、真猫は不思議そうな顔をして桃弥と玲那を交互に見た。
「今日は、真猫さんのおうちで保護者の方とお話をさせていただきます」
彼女が疑問に感じていることを察した玲那が、努めて明るく穏やかな感じでそう言った。それがどこまで言葉として彼女に通じたかはいささか疑問だが、取り敢えず玲那が家までついてくると言ってるらしいというのは理解できたらしく、落ち着きなく二人の顔を窺うような様子は収まり、その後は真っ直ぐに前を向いて淡々と歩くだけだった。
家に着くと、真猫は、玲那が見ているにも拘らず玄関でランドセルを放り出し躊躇いもなく服を脱ぎ、全裸になってしまった。
『あらかじめ聞いていたけど、これは…』
と、玲那も面食らう。ただ、<服を着るのを嫌がる>という事例は初めてではないので、戸惑いもそれほどではなかっただろう。
桃弥はそんな玲那には目もくれず、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してグラスに注ぎ、
「どうぞ」
と一声だけかけてテーブルの上に置き、座布団を敷き、自分は作業台の椅子に腰を下ろした。社会人としてはいささか有り得ない態度であり、恐らく他の教師なら眉をひそめる者もいるかもしれない。だが玲那はそんなことには全く構う様子さえなかった。
「学校での真猫さんは、大変に落ち着いていて順調だと思います」
玲那は余計な前置きは抜きにして、単刀直入にそう事実だけを述べた。こういうタイプには回りくどい話は適さないことを知っているからであった。
宿角玲那が学校側にそう進言すると、自分で判断することをしたくなかった学校側はそのまま提案を呑んだのだった。
「家庭訪問を行って家での真猫さんの様子を窺いたいのですが、よろしいでしょうか?」
真猫を迎えに来た桃弥にそう尋ねると、彼も特に困った様子を見せるでもなく、
「はい、いいですよ。だいたい家にはいますから」
と応える。
そしてさっそく、翌日に家庭訪問することになったのだった。
翌日、いつものように学校での授業を終え、真猫は玲那に付き添われて校門まで来ていた。そこで待っていた桃弥と合流し、三人はそのまま笹蒲池邸へと向かう。
これまでは校門のところで分かれていた筈の玲那がついてくることに、真猫は不思議そうな顔をして桃弥と玲那を交互に見た。
「今日は、真猫さんのおうちで保護者の方とお話をさせていただきます」
彼女が疑問に感じていることを察した玲那が、努めて明るく穏やかな感じでそう言った。それがどこまで言葉として彼女に通じたかはいささか疑問だが、取り敢えず玲那が家までついてくると言ってるらしいというのは理解できたらしく、落ち着きなく二人の顔を窺うような様子は収まり、その後は真っ直ぐに前を向いて淡々と歩くだけだった。
家に着くと、真猫は、玲那が見ているにも拘らず玄関でランドセルを放り出し躊躇いもなく服を脱ぎ、全裸になってしまった。
『あらかじめ聞いていたけど、これは…』
と、玲那も面食らう。ただ、<服を着るのを嫌がる>という事例は初めてではないので、戸惑いもそれほどではなかっただろう。
桃弥はそんな玲那には目もくれず、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してグラスに注ぎ、
「どうぞ」
と一声だけかけてテーブルの上に置き、座布団を敷き、自分は作業台の椅子に腰を下ろした。社会人としてはいささか有り得ない態度であり、恐らく他の教師なら眉をひそめる者もいるかもしれない。だが玲那はそんなことには全く構う様子さえなかった。
「学校での真猫さんは、大変に落ち着いていて順調だと思います」
玲那は余計な前置きは抜きにして、単刀直入にそう事実だけを述べた。こういうタイプには回りくどい話は適さないことを知っているからであった。
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